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Channel: あたちのモンハン日記
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Recollection No.1_10

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パチパチパチパチ・・・・・・・・・・・・・・・
(次第に拍手が鳴り止み、カーテンが開かれた舞台上に俯きながら立ち尽くす白いドレスの少女に観衆の視線が釘付けになる)


おお・・(その神々しい天使のような出で立ちをした無垢な乙女を前に、観客席より感嘆の声があがる)


♪~~~~~~~~~~~~~
(舞台袖の上手と下手より、氷結感漂うストリングスの薄ら冷たい旋律がクレッシェンドにボリュームを上げていき、音質の密度が上昇していく共に賛美に満ちたステージエリアの空気感を刻々と凍りつかせていく)


♫----------------
(ブリザードのように荒々しくテンポを上げたメロディが室内を反響し、サラウンドとなってエリア全体を擬似的な冷気に包んでいく中、舞台上の白いドレスの少女は本当に凍えているような身震いをみせながら両腕を交差させ、そのか細い体を温めるように自らを抱きしめている。そして偶然なのだろうか?少女が息を切らせながら吐く息もまた白く見える・・)


♫-------・・・・・・・・・
(音響が次第に薄らいでいき、無事に吹雪が観客席を通り過ぎていく・・)




!!!!!!!!!
(観客席の誰もが安堵した次の瞬間、沈黙を破壊するシンバルのけたたましい高周波の破裂音と重響な太鼓の一打から成る合一轟音なクラッシュサウンドが観衆の心臓をバウンスさせながら体を突き抜けると同時に白いドレスの少女が顔を上げ、その神秘的なオッドアイを開眼させる)



ジーナ「楽しませてもらいましょう」(視点の主が小声で呟く向こう側のステージ上では下手側から投げ渡された「牙型ランス」を正面を向いたまま颯爽とキャッチする白いドレスの少女の姿が)







Recollection No.1_10







ドコドンドコドン♪ドコドンドコドン♪ドコドンドコドン♪
(打楽器のワイルドな猛打のリズムに合わせながら、牙槍を片手に白銀の長い髪を振り乱して演舞を踊り始める白いドレスの少女を左右から飛んできた大雷光虫達が追いかけるように野性味あふれるスポットを当てていく)


♪~~~~~~~~~~~~~~~
(少女の槍舞が激しくなると太鼓のリズムもBPMを疾走させながら同調させていく)


ジーナ「まるで本物の狩猟みたい」フフ・・(その言葉通り、ステージ上を舞う少女は自分にしか見えない虚構のモンスターとひと狩りを愉しむように槍を突き上げている)


ダンッ!!
(力強く踏み切り、牙槍を振り上げながら宙を舞う少女)


ヒョオオオオオオオオン!!
(飛翔した最も打点の高い位置よりランスを穿つ)


ジーナ「相手は・・・古龍・・」(舞台上では着地した少女が見えない敵の腹部めがけて槍を連突きしている)


ブオオオオオオオオオン!!
(少女が薙ぎ払ったランスより気迫の籠もった風力が観客席に向かって飛んでいく)


おおおおお・・・・・・!!
(聖なる少女より放たれた風圧を受けた観衆が歓喜にどよめく中、視点の主にも突風が浴びせられ、視界の両端、上端に映っていた黒いフードが後方に吹き飛ばされる)


ジーナ「クエスト達成・・」フフ・・(視点の主は微笑しながら再びフードを先程と同じ位置に深々と被り直す。視界の奥に見える少女は、怒涛の終奏に動きを合わせながら牙槍を力強く構えてフィニッシュポーズを決めている)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(一章の終幕を感じ取った観衆達は、各々が受けたインプレッションを頭の中でまとめあげているかのように一斉に息を呑み、一瞬にしてステージエリアの喧騒をミュートさせる)



オオオオオオオオオオオオ!!
(一瞬の間を置いて、満場一致の猛烈なスタンディングオベーションの拍手喝采が室内に大反響すると、舞台上の少女は圧巻されたように目をまあるくしたまま、きょとんとしながら観客席を見下ろしている。また視界には視点の主が拍手している両手も映っている)



ワアアアアアアアアアア!!
(大歓声の中、ようやく状況を理解した少女はドレスのスカートの両端を「ちんまりと」両手で摘み上げ、少し恥ずかしげに挨拶を交わしている)


ジーナ「可愛らしいこと」パチパチパチパチ(舞台上で頭を下げている少女を左右から流れてきたカーテンが一斉に隠していく)


パチパチパチパチパチパチ
(今だ鳴り止まない拍手を背に、例の「ひょろ長色白お貴族」が観客席を抜けてこちらに向かってくる)


ひょろ長色白お貴族「ホッホッホ。予想を遥かに上回る演舞でしたな」パチパチパチパチ(いやらしい笑みでこちらを見つめている)

ジーナ「思い描いていた彼女の姿、そのものでしたわ」パチパチパチパチ(彼女もまた拍手をまだ送っている。その姿を見て満足毛に頷いているひょろ長色白お貴族)

ひょろ長色白お貴族「メサイアの妖精とはよく言ったものだ。あの天使のような少女があんなに大きい武器を軽々振り回すとは・・・そのギャップにすっかりハートを射抜かれてしまった。一心不乱に舞い狂う彼女から漂う、白銀の髪に汗が入り混じったあのほのかな甘い香り・・・久々に恍惚感を覚えましたな」うひひひひひひひ(「キモ引きせざる得ない」笑い声をあげる貴族の醜悪な顔には視点が合っておらず、その視線は未だ舞台上に向けられている)

ジーナ「狩猟の腕前もまた、聞きしに勝る力量のようで」パチパチパチパチ

ひょろ長色白お貴族「そのようですな。最も、ハンター業とは無縁である王都の人間が評価をすること自体、おかしな話ですが・・・今の演舞から恐ろしい龍の顔が浮かんだのは間違いないですな」うひひひひひひひ

ジーナ「それが妙なのです」

ひょろ長色白お貴族「・・と仰ると?」

ジーナ「アクラでは古龍の目撃談はないはずなのに・・・彼女は必死に頭部を狙っていました。風翔龍・・または霞龍か・・・」(少し俯きながら自問をする彼女をまったくもって無視されているひょろ長色白お貴族が不思議そうに見つめている)

ひょろ長色白お貴族「ようやく拍手がやみましたな。無理もない。今では招待客の誰もが彼女の虜だ」(観客席に座る貴族達の後ろ姿を感慨深げに見つめている)

ジーナ「ひとつ質問が」

ひょろ長色白お貴族「なんでしょう!?」(待望の疑問に対し、ここぞとばかりに首を高速に反転させながらこっちを向いてくる)

ジーナ「ジェイソン・ウーは招待されていないのですか?王都では皆様方同様のインフルエンサーだとお聞きしましたが・・」(それとなくおだてられ、満足げな笑みを浮かべるひょろ長色白お貴族)

ひょろ長色白お貴族「知人が声を掛けようとウー家の屋敷を訪れたようですが、本人に伝わる間もなく使用人によって追い返されたみたいですな」ん~(いないのを分かっていて観客席を見渡している)

ジーナ「欠席の理由はハンターズギルドとの癒着に関係が?」

ひょろ長色白お貴族「よくご存知で。最も、シュレイドならずともこの大陸でウー家の名を知らぬ者はおりませんからな。おっしゃる通り、ギルドはウー家のお得意様ですよ」

ジーナ「そうでしたか・・。ですが、ジェイソン・ウーといえば、実直なマキャベリストであるとも。イデオロギーを無視した利益還元主義ならば、相手がギルドに反する狩猟団体であろうとも融資するのでは?」

ひょろ長色白お貴族「まさしくそこなのです。ジェイソン・ウーが今宵の歌劇を断った理由は。然しながら納得もしています」

ジーナ「と仰ると?」

ひょろ長色白お貴族「ジェイソン・ウーを見た者は王都の貴族をしてもごくわずかな者しかいないのです。何分、今やウー家の資産は大陸中に流出されておりますからな。同時に・・その債務者の数も増加の一途を辿っているほどです」こしょり・・(最後のセリフだけ小声で囁く)

ジーナ「それほど利息が?」

ひょろ長色白お貴族「ここ近年、急増してきた多重債務問題の根源はあのヴェルドの高利貸しが宿痾とも言われております。故に、ウー家を恨んでいる者の数もまた知れません。そんな悪名高い立場だからこそ、屋敷から一歩も外に出ることが出来ないのでしょうな」

ジーナ「余程、用心深いお方のようですね」

ひょろ長色白お貴族「あまり興味を持たれぬように。特にジェイソン・ウーは好色家とも聞きます。奴の屋敷に招待され、行方不明になった美女も大勢いるとか・・・貴方のような美貌を持つ淑女が、パラノイアを抱く不遜な男の毒牙にかかってはいけません。やはり貴方には私のような美男が・・」(頬をキモいくらい「桃色」に染めながら口説きモードに入ってくる)


パチパチパチパチパチ・・・
(拍手と共に再び舞台上に語り手が上手側より登場してくる)


ひょろ長色白お貴族「それではまた後ほど」ちっ・・(舌打ちをしながらそそくさと席に戻っていくのを尻目に焦点は語り手に合わせている)


語り手「次なる章では我が白の盟主、オクサーヌ・ヴァレノフが如何にしてメサイアの妖精と呼ばれるまでに至ったか・・・そのエピック感満載の冒険劇をご覧頂きましょう。第二章、奔走記」


パチパチパチパチパチパチ
(視点を一瞬だけ右手に控える黒人の修練者に向けるも先程同様、腕を組みながら舞台を静観している)

パチパチパチパチパチパチ
(視点を戻すと、語り手の退場と共にカーテンが両開きにゆっくりと開かれていき、舞台上の奥に美しい森丘の景観が描かれたパネルが配置されているのが見える)


ジーナ「Arcolis Region」


パチパチパチパチパチパチ!!
(より一層拍手が大きく鳴り響き、再び舞台の中央に白いドレスの少女が例の如く俯きながら立ち尽くしているのだが、先程違うのはその小さな右手に、マグマのようなオレンジ色の赤熱を持つ、刀身の幅が広い剣先が両端に少し尖っている片手剣を握り、華奢な左腕にはその燃えたぎる剣の相棒として相応しい火竜の刺々しい真紅の甲殻をそのまま採用したかのような小盾を装着していることであった)


ジーナ「イフリートマロウ。一章でみせた氷のフィールドを溶かすつもりかしら・・」フフ・・


ガッガッガッ!!ドンガッガッ♪
(白いドレスの少女が顔を勇ましく上げ、戦闘直前の一軍が相手を挑発するように、まだ鍛冶途中のように熱の籠もった帯広の刀身で、火竜の甲殻型小盾をリズミカルに叩くと、そのビートとBPMに合わせて舞台裏に控える打楽器隊もまた力強くそれぞれの太鼓を打ち鳴らしていく)



ドンガッガッ!!ドンガッガッ!!
(臨戦態勢の気迫が込められた合奏がより重撃を増していく中、少女はゆっくりと炎の剣を天に掲げ、正面の見えない敵に向かって刀身を振り下ろす)



ジーナ「Go Hunting」ダッ!!(微笑を含ませながら狩猟開始を告げるヴィジョンの向こう側では、白いドレスの少女が狭いはずの舞台上を広大な森丘フィールドを駆け抜けるかのように突撃を開始していく)


To Be Continued





★次回ストーリーモードは3/11(月)0時更新予定です★






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