あニャ~~、こりでもニャ~ねぇ~・・ポイポイッ

(薄暗い宝庫の中で背を向けた隠密毛のメラルーが身の丈よりも大きい宝箱の中を「背伸び」しながら覗き込み、次々とお面を取り出しては査定を繰り返し、納得がいかないようにそれを外に放り出していく。またその隣では燭台を手に持ったベックフォードが宝箱の中を照らしてやっている)
スヘイラ「ニャ~~~ん・・ジーナ様にお似合いの「カッコいいお面」がニャかニャか見当たらニャいニャ・・」ガサガサ

ベックフォード「たくさんありますからね。納得いくものを探してください」
ジーナ「突き合わせてしまって申し訳ございません」へこり
ベックフォード「とんでもない。我が主に変わって自分がしっかりサポートさせてもらいます」ニャ~もぉ~これ~

ジーナ「ウー様もお忙しいようで」ニャにこれ(と今度はババコンガをデフォルメしたマスクを取り出して見てる)
ベックフォード「今日は東方の貿易商が来られているので、そのお相手をしなければならないのです。すごく残念なご様子でしたよ」(と、こちらに向かって微笑む。その下ではスヘイラがコンガの面を容赦なく放り投げている)
ジーナ「ウー家は元々、東方の商人でしたね。貿易品とはヒンメルンの鉱石でしょうか?」
ベックフォード「はい。白雪神殿から送られてくる鉱石や資源として利用できる大陸素材が主です。一般の人間では標高が高いヒンメルンの希少な天然素材を採ることは容易ではありませんからね。返済が難しくなった債務者を現地に滞在させて採取、採掘にあたらせるというアイデアを考えたウー様は当代随一の実業家ですよ」うニュ~~?(と今度は「歯がギザギザ」になった悪魔みたいな顔をしているメラルーのマスクを発見して訝しげな表情を浮かべているスヘイラ)
ジーナ「英雄の偉業はそれを支える英傑がいてこそ。あなたもまた有能の士なのでしょう」
ベックフォード「私など、前任のヴィリエ様に比べればラオとにが虫。日々是精進です」はぁ~(ため息をつく下ではスヘイラが当然の如く「デビルメラルーの面」を投げ捨てている)
ジーナ「では、貴重な時間を無駄にしないよう、早く選ばねばなりませんね。スヘイラ。私も探しましょう」
ベックフォード「やや


スヘイラ「こりゃ!しっかり照らすニャ

ベックフォード「すみません

ジーナ「急を要してはいません。気を落とさずに。それにしても・・ほんとうにたくさんありますわね」(宝箱を覗き込むと様々な文化形態を象徴している面がたくさん詰まっている)
ベックフォード「ええ。この宝庫には先代よりも前の当主が収集していたものばかりですからね。特に面集めは初代当主の趣味でしたので、面と共にその嗜好も代々受け継がれているのですよ」
スヘイラ「しょれで東方風の面が多いわけニャんだニャ」カポッ(鮮やかな色合の京劇面を被ってみせる)
ジーナ「でしたら好都合です。東方戯曲に使われていそうなものを選びましょう」ガサガサ
スヘイラ「ニャんでだニャ?」にょにょ~~

ジーナ「護衛とはいえ、ウー家を代表して葬儀に面を被っていくのです。理由を問われた際、言い分に説得力を持たせる為です」ガサガサ(する中から「最高のお面」がチラッと見える)
ベックフォード「なるほど・・・そうだ。確か東方のある地域では、逝去した遺体から離れた魂を死霊から守る為、葬儀に参加した者が恐ろしい面を被るという風習があったはずです。理由付けには最適かと」
ジーナ「あなたの博識に感嘆致します。それでいきましょう」ガサガサ
ベックフォード「お役に立てて光栄です。それでは後ほどアカデミーで証拠となる文献を探し、それを元に解説文を作成してウー様にお渡ししておきます」
ジーナ「お願いします」ガサッ(宝箱の中から、黒の下地の上から不死鳥のように羽ばたく火竜を彷彿させる赤を基調とした模様が入っている面を選ぶ)
スヘイラ「にょにょ!カッコいいお面ニャ♪」にょにょ~~

ベックフォード「それは東方の戯曲に使われているものかと。大陸共通で怖れられているリオレウスならば、死霊も恐れ慄くでしょう。それと瞳の色で気づかれぬよう、当日までに目の穴を覆うフィルターを施しておきましょう」助かります(と視点の主)
スヘイラ「あニャ~~~ん


ベックフォード「それはどうだい?」
スヘイラ「にょにょ・・・カッコいいお面発見!!」バッ

ベックフォード「これでひとまず仮装の準備は整いましたね」(その隣ではドラゴンマスクを被った獣人が再び「にょにょ~~」と言いながら小躍りをして喜んでいる)
Recollection No.1_38

ゴトゴトゴトゴトゴト・・
(豪奢な内装を施した馬車の中から小窓越しにヒンメルン山脈の広大な景観を眺めている一人称視点)
ちら・・(進行方向側の席に目を配ると礼服を着たままシートにふんぞり返っているジェイソン・ウーがまったりとした目つきでこちらを見ている)
ジーナ「景色にはもう飽きてしまわれましたか?」クス・・
ジェイソン「小さい頃、四六時中、望遠鏡で覗いていたこの風光明媚なヒンメルンを生まれて初めて眼下に眺望する喜び以上に、今こうして君と二人きりでいる時間の方が有意義だと感じる。それに景色を楽しむのなら、君の美質に恵まれた雅やかな美貌とその妖艶なマゼンダの瞳に投映されたヒンメルンを堪能する方が余程価値がある」
ジーナ「それ程の価値はございません」フフ・・
ジェイソン「優艶な謙遜に嫌味は感じられず、それどころか知らぬ間に魅了されている・・・君といると、つくづく気品とは俗人では決して装うことができない天性の気質だと思い知らされ、自分が惨めにすら思える。高貴な血筋など、権威を振るう為の道具でしかなく、その本質の殆どは美徳とはかけ離れているからだ。どんなに風雅を取り繕っても、心の醜悪さは消せず、傲慢に蝕まれた人間達しか寄り付かない。故のウー家なのさ」(目を反らすように景色を眺めだす)
ジーナ「人の本質は血統や容貌だけでは評価できません。性善と性悪が表裏一体であるようにすべての理知が統合することなどあり得ないからです。人の希望と絶望を司るあなたが大陸に影響を齎すことができる数少ない人間であることは間違いありません」
ジェイソン「それは物質界での話だ。僕が小さい頃、目指していた姿とは違う」
ジーナ「志に従って生きる自由奔放な狩人生活・・信仰心と忠誠心に満ち溢れた自尊心高き騎士道精神・・・あなたが心象に描く崇高な理想にもまた、欺瞞と虚偽による苦難は存在します」
ジェイソン「それでも僕はこのヒンメルンを自分の足で歩みたかった・・。絢爛豪華な馬車より無骨な鎧が欲しかったんだ。君も分かるだろう?ウー家に幽閉されている僕から滲み出る意気地のない悲壮感を・・」ゴトゴトゴトゴト・・(籠の中の小鳥のような眼差しで窓の外に見える雄大な景色を見つめている)
ジーナ「それでもあなたは生きている。ウー家を本当に恨んでいるのならば、自害し、血筋を断てばいいだけのこと。あなたがそれをしないのは、少なからずとも希望を覚えているから・・・いつか王都より一人で旅立ち、シュレイドから離れ、様々なフィールドを訪れることを夢見て・・・」
ジェイソン「若い頃はね。けど今は現実的に考えている。特に君に出逢ってからは・・」(懇願の眼差しでこちらを見つめてくる)
ジーナ「あとは決断するだけ。血筋を絶やさず、ウー家を大陸に保持したまま、そこから乖離し、好きなことをできる手立てはあります」
ジェイソン「それが出来ればとっくにやってるさ」ゴトゴトゴトゴト・・(否定するように再び首を景色の方へ傾ける)
ジーナ「幸いにもあなたの顔を知っている人間は大陸でもごくわずかです。病気を患い、「屋敷でしか行われない」商談を信頼できる従者に一任したとして、誰があなたの存在を疑いましょうか」
ジェイソン「それならヴィリエが生きているうちに考えたさ。問題は後継者だ。もちろん、君のような人に早く出逢っていれば・・」
スコォーーーーーーーーーーーーーン!!
(視点の主の背後から木板を豪快にスライドする音が聞こえる)
スヘイラ「コリャ~~~~!!ニャにを軽々しくもジーナ様を口説いているニャ~!!あちきが「お山登り」を外で楽しんでいるからっていい気にニャるニャぜよ!!」シャアアアアアアア(振り向くと操縦席側からスライド式の小窓を通して吠えている愛猫の顔面が)
ジェイソン「それも叶わぬ夢さ。君の心はこの世界にないのだから」(窓越しに空を見上げる)
スヘイラ「いい心がけだニャ。しょの通り、ジーナ様は気高い存在ニャのだ。お前がどんなにカッコつけても無駄よにょ」お~~にょほほほほほほほ

スコォーーーーーーーーーーーーーン!!
(ジェイソンの淡い恋心を打ち消すように豪快に木板をスライドして遮断するスヘイラ)
ジェイソン「君と志を共にできる彼女は幸せ者だ。バーニー・ブラント・・いや、ロザリー家の呪縛から逃れたアーロン・ロザリーもね。彼の立場は少なからずとも僕の境遇と似ている。だから僕は彼が羨ましいのかもしれない」
ジーナ「そんな彼にシンパシーを覚えたからこそ、助言し、手助けしたのですね。彼が自由に生きれるように」
ジェイソン「だね・・」ゴトゴトゴトゴト・・
スコォーーーーーーーーーーーーーン!!
(再び背後からけたたましく仕切りが開けられる音が車内に響き渡る)
スヘイラ「神殿が見えてきたニャ」むぅ~(とジェイソンが悪さをしていないか見張っている)
ベックフォード「直に到着します。そろそろ準備をお願いします」(スヘイラの顔を押しのけ、馬車の手綱を握っていると思われる従者が顔を出してくる)
ジェイソン「了解。と言っても、準備が必要なのは君たちだろ?」(外を見ながら呆れ顔で話している)
スヘイラ「お面を被るだけニャ」ふん
ベックフォード「ジーナ様もお願いします」にこっ(微笑みながら仕切りをそっと閉めていく)
スヘイラ「ニャにニヤニヤしてるニャ!!こにょ!!」いててててて

ベックフォード「ではまた後ほど」どけ!ジーナ様に顔を近づけるニャ!!
スコォーーーーーーーーーーーーーン!!
(豪快に木板をスライドして締め切るスヘイラ)
ジェイソン「本当に心配性な男だ。ま、それがなければヴィリエの後継者は務まらないがね」はぁ~~~~~
ジーナ「先程の話ですが・・世継ぎにこだわらなくても宜しいかと」
ジェイソン「??」
ジーナ「信頼できる者に血筋と一緒に託してしまえばいいのです」
ジェイソン「・・・・・・影武者・・・・それをベックフォードに・・?」
ジーナ「あなたの決断しだいで運命は如何ようにも開かれます」
ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・」(こちらをまじまじと見つめるブラウンカラーの瞳に「白装束のフード」を被った美女の微笑みが映っている)
ジーナ「ひとまずは、葬儀を無事に終えてからということで・・」カポッ・・(視点の主が面を被ると同時に視界がブラックアウトしていく)
To Be Continued

★次回ストーリーモードは6/17(月)0時更新予定です★