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Channel: あたちのモンハン日記
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Recollection No.1_43

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ザーーーーーーーーーーーーーー
(土砂降りの雨の中、黒い傘を差しながら、人気のない細いスラムの公道を抜けていく一人称視点)



ザーーーーーーーーーーーーーー
(突き当りに見えてくるL字路の角に獣人用の小さな小屋が建っている)



ザーーーーーーーーーーーーーー
(店前にあった憩いのテラス席は撤去されており、店主を失ったかつての馴染みの店もまた無人の廃墟と化している)



ザーーーーーーーーーーーーーー
(大粒の雨に打たれる空虚なニャ・モンド跡地をただ黙って見つめている)



ザーーーーーーーーーーーーーー



「すっかり大雨になってしまいましたニャ」



ザーーーーーーーーーーーーーー
(視点の主が来た道とは別の公道を振り返ると、頭にターバンを巻いた「パープル毛のメラルー」が肉球柄の傘(J字状の手元は猫の尻尾型)を差したまま立ち尽くしている)


アニャニャ・カーン二世「今朝はまだ雨が降る前でしたので、引っ越しも順調のようでしたニャ」

ジーナ「そうですか」


ザーーーーーーーーーーーーーー
(再び誰もいない小さな店を見つめる)


アニャニャ・カーン二世「寂しくなりますニャ」

ジーナ「ええ。そうですね・・」


ザーーーーーーーーーーーーーー


アニャニャ・カーン二世「ご報告が」

ジーナ「なんでしょう」

アニャニャ・カーン二世「引っ越し作業を監視している途中、神殿よりマスターを迎えに来たルチア・ロッティが、少々厄介な遺物を発見してしまいましたニャ」

ジーナ「遺物とは?」

アニャニャ・カーン二世「指輪ですニャ」

ジーナ「・・・・・・・・・・。何処でそれを?」

アニャニャ・カーン二世「マスターが手なづけていた野良犬ですニャ。マスターと一緒に引っ越しすることを悟ったのでしょうニャ・・・自分の宝物を埋めている場所から指輪を彫り探し、それを咥えて出てきたところをルチアが発見し、奪い取るように指輪を手に取って眺めていましたニャ。その光景を見て、すぐに気づきましたニャ。その指輪の持ち主がボリスのものであると・・・」

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・」

アニャニャ・カーン二世「申し訳ございませんニャ。「解体」する前に、きちんと所有物を確認しなかった私のミスですニャ」(深々と頭を下げる)

ジーナ「彼が指輪をはめているのは私も見ました。無理強いをしたのは私です。あなたの責任ではありません」

アニャニャ・カーン二世「しかし、ルチアはおそらくマスターにあの指輪のことを聞いているはず・・・となれば、野良犬たちに餌をあげたジーナ様が疑われることに・・」

ジーナ「それほど危惧する必要はないかと。マスターと私は互いの名前も知らない仲でした。仮にマスターが私の特徴を伝えていたとして、その情報をもとにルチアが我々のもとに復讐を果たしにこようとも恐れるに足らず。ウー家との関係に支障をきたすことも・・・」(喋りながらなにかに気づいたように言葉を詰まらせる)

アニャニャ・カーン二世「スヘイラによれば、最近のジェイソン・ウーは今までの悪行に飽き足り、新たな志が芽生えているとか・・・監視後、自宅に戻るとこれが・・」スッ・・(懐より封筒を取り出す。赤い封蝋の上にはウー家の紋章が捺されている)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・」カショリ・・(封を開け中に入っている手紙を広げて読む)



親愛なるジーナ・ジラントへ

この度、外街より有能なシェフを迎えた白の同盟を祝し、白雪神殿にてささやかな遊宴を開催してもらえるよう盟主バーニー・ブラントに嘆願書を送った。それに伴い、君には再び私の護衛としてこの晩餐会に出席していただきたい。日時は追って連絡する。~君の隣人 ジェイソン・ウーより



アニャニャ・カーン二世「商談の内容とは思えませぬが?」(訝しげな顔で手紙を読む視点の主を見上げている)

ジーナ「またしてもヒンメルンに登る羽目になりそうです」スッ・・(手紙を黒衣の袖に中にしまう)

アニャニャ・カーン二世「出すぎたことを言うようですが、これ以上、ウーと関わるのはおやめになられた方が・・・」

ジーナ「あなたの心中は察しています。今の諫言もまた心に留めておきましょう。ですがまた、この白雪神殿への度重なる来訪も有益に使わせてもらいましょう」フ・・(こちらを見上げる二世のキョトンとしたまあるい猫顔)


ザーーーーーーーーーーーーーー






Recollection No.1_43







ゴトゴトゴトゴトゴト・・(例の豪奢な内装を施した馬車の中から「いつものように」小窓越しにヒンメルン山脈の広大な景色を眺めている「仮面越しの」一人称視点)


キュキュっハッ(前方に目を向けると、こちらもいつもどおり進行方向側のシートにふんぞり返って座っているジェイソン・ウーが、クラヴァット(首に巻いたスカーフ状の装飾)をご機嫌に巻き結んでいる)


ジェイソン「君も嬉しいだろう?なんといってもマスターのパイを再び味わえるんだからねぇ~」キュキュっとな(自慢げに結んだスカーフが重力に逆らったへんてこな方向を向いているもこれでいいのだろう)

ジーナ「本当に。此度はお誘い頂き感謝しております」へこり(する目の前では「そうだろう、そうだろう」と自慢げに頷くジェイソンの顔が)

ジェイソン「それともうひとつ、僕には密かな企みがある。聞きたいかい?」えっへん

ジーナ「ええ。是非お聞かせください」

ジェイソン「いいだろう。このように僕はこの歳にして、屋敷の外の世界を知ることに喜びを隠せない日々を送っているのだが、それもこれも君がいなければ成し遂げられないこともまた事実だ。どこに僕を殺そうとしている連中がいるか分からないからね。けど、君がいれば安心だ。たとえシュレイドを滅ぼしたという巨龍が訪れようともね」えっへん


すかーーーーーーーーん!!
(視点の主の後ろから、御者席と繋がるスライド式の仕切りが壊れんばかりに豪快に開く音が聞こえる)


スヘイラ「こりゃ~~~!!ニャにをジーナ様の「お手柄」を自分のことにように話しているニャ!!お前がこうしてお外に出れるのはぜぇ~~~~~んぶジーナ様のおかげニャんだぞ!!」シャアアアアアアアアドンッ(例のドラゴンマスクを被った獣人の顔面が仕切りの向こう側より迫力満点に飛び出している)

ベックフォード「そんなに身を乗り出したら危ないよ?」(御者席の方から優しい声が聞こえてくる)

スヘイラ「にゅうう・・・」グッグッDASH!(予想通り、首が抜けなくなり、向こう側から両手で木板を押しているようだ)

ジェイソン「まぁいい。君もそのまま聞きなさい」

スヘイラ「ニャんだと偉そうに」グッグッDASH!(と首の抜けないドラゴンマスクのスヘイラ)

ジェイソン「君の言う通り、僕は君達に守られていなければ、一人で外を歩くこともできないただの中年高利貸しだ」ほんとだニャ(とスヘイラ)

ジーナ「何が仰っしゃりたいのですか?」ほんとだニャ(とスヘイラ)

ジェイソン「いいぞ。君の結論を急ぐ合理的な思考とその知的な美貌が(「いちいちキモいやつだニャ」とスヘイラ)。そこでだ。この度、僕は盟友バーニー・ブラントことアーロン・ロザリーに頼んで、神殿で剣術の修行をしてもらうことをお願いしようと思っているんだ」えっへん

ベックフォード「え~~~~~!!そんな危険なこと、絶対いけません!!」(声だけが飛んでくる)

ジェイソン「黙れ、ベックフォード。これは天が僕に授けた啓示なのだよ。長年、屋敷の中でくすぶって暮らしていた僕が、自らの力で運命を解き放つ絶好のチャンスなんだよ!最近の僕を見てもわかるだろう!?こんなにも活力に満ちた気分を味わい続けている日々はかつてなかった!!いざ、今こそ旅立たん!!」ナァ~ッハッハッハッハッハッ

スヘイラ「しょれは殊勝な心掛けニャが・・・毎回こうやってヒンメルンを登っていくつもりニャ?あちきらだって「しょうしょう」暇じゃニャいんだぞ?こにょっ」グッグッDASH!

ジェイソン「それに関しては泊まり込みでやらせてもらうつもりだ」えっへん

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・」

ベックフォード「なりません!!そんなことをしたら誰がウー家の仕事をこなすのですか!?ぜぇ~~~ったい駄目です!!」パチぃ~んハッヒヒィ~~~ンDASH!(気持ちが高揚したのだろう。その怒りを手綱にぶつける。同時に馬車がスピードアップする)

ジェイソン「それならベックフォード。お前がやればいい」(真顔で言う)

ベックフォード「え・・・」

ジェイソン「お前も知っての通り、僕の役目は「決断」だけだ。それに応じて種類にサインしたり印章を捺せば終わり。つまり、僕じゃなくても行えるということだ」

スヘイラ「確かにニャ。しょれなら誰でも出来るニャ」グッグッDASH!


すぽぉ~~~~~~ん!!(スヘイラを後ろから引っこ抜き、代わりに顔を出してくるベックフォード)


ベックフォード「本気で言っておられるのですか!?あなたはウー家の血を継ぐ・・」

ジェイソン「それが何だと言う?」

ベックフォード「へ・・・・?」

ジェイソン「その血筋の呪縛が長年、僕を苦しめてきたんだ。ならばウー家の仕来りごと、煩わしい因果に変革を齎すのが僕に与えられた使命なのだよ。ベックフォード、お前だって、しがない従者で生涯終わるつもりなどないのだろう?これは互いの「真の実績」を身につける良いきっかけであり、これこそ本当の意味での相乗効果というものなんだよ」(実に清々しい顔で言ってのける)

ベックフォード「・・・・・・・・・・・・・・・」ゴトゴトゴトゴト・・

スヘイラ「こりゃ!しっかり手綱を持つニャ!!「あばれ馬」が崖から落ちるニャ~アセアセ」ヒヒィ~~ンDASH!(どうやら代わりに彼女が手綱を引いている様子だ)

ベックフォード「あ、ごめんアセアセ


カトン・・(言い負かされたかのように静かに仕切りを閉めるベックフォード)


ジェイソン「なんて、このアイデアも君のものだがね」フフッ(こっそり耳打ちするように身を乗り出してくる)

ジーナ「相乗効果・・それならば、是非、我々にもお与えください」ほら!早く持つニャ!!(とスヘイラの怒号)

ジェイソン「ん・・君の願いなら喜んで。何が望みだ?」ヒヒィ~~~ン!!こら、言うことを聞け!!(とベックフォード)

ジーナ「神殿に派遣している監視員に「栽培」して欲しいものがあるのです」ゴトゴトゴトゴト!!(揺れがいっそう激しくなる。順調に?崖に向かっているようだ)

ジェイソン「・・・・・・ああ・・なるほど。いいんじゃない?盟主にバレなきゃ」そりゃ~~~!!タシィ~~~~ン!!(ベックフォードの気合と共に手綱であばれ馬をひっぱたく音が聞こえる)

ジーナ「感謝致します」


ブヒヒヒ~~ン・・・・ゴトゴトゴトゴト・・・(ベックフォードが馬の向きを修正したのだろう。御者席からベックフォードとスヘイラの「安堵のため息」と共に再び静かに山道を登っていく車輪の音が車内に心地よく聞こえてくる)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは7/4(木)0時更新予定です★



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