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Channel: あたちのモンハン日記
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Recollection No.5_51

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そわそわ・・もじもじ・・そわそわもじもじ
(いつぞやもお邪魔した、こじんまりとした石造りの質素な病院の休憩室。木製のダイニングテーブルの丸椅子に腰を下ろしたまま革製ブーツな両足を「そわそわもじもじ」させながら、向かいに見える引き戸をじっと見つめている)


スッ・・・チッチッチッチッチッチッ(おもむろに懐から猫型の懐中時計を取り出し、その針の位置がまだ午前中であることを確認する)


ちら・・(それとなく物置棚を見つめると、「いつもの位置」に肉球マークがプリントされた「最新デザイン」の水筒が置かれていることから、今日もあの看護婦アイルーが出勤していることが予想できる)

スッ・・・・ひょい(テーブルに置かれた「盛り沢山な種実類(ロックラッカセイとロックラックルミだろうか)」が詰まった木製ボールに一瞬、お手を伸ばすも、すぐに引っ込める)


ムーア「はぁ・・・・・・・・」(がっくし肩を落とし、俯いてしまう)


ガラガラガラ


ムーア「!!」バッ(顔を見上げ、ドアを見つめる)

看護婦アイルー「ニャんニャニャんニャニャ~~♪」(例の小粋な歌と共に部屋にインしてくる)

ニャッびっくり(とすぐにこちらの存在に気づき、猫が豆鉄砲食らったみたいな顔する看護婦アイルー)

ムーア「はぁ・・・・・・・」

看護婦アイルー「ごめんニャさぁ~い♪つい誰もいニャいものかと・・てへへへ」(の顔が実に猫可愛らしい)

ムーア「ぜんぜん。それよりエスターは?」よいしょっとニャ(と、例の水筒を手に取る看護婦アイルーに聞く)

看護婦アイルー「それもごめんニャさいね。今、病院が人手不足ニャの。水分補給をしてる時間も惜しいくらいにニャ」キュポんハッゴッゴッゴッゴッゴッ・・アセアセ(ボトルの蓋を開け、腰をえらく後ろに曲げながら両手に掲げた水筒をがぶ飲みする看護婦アイルー)

ムーア「どしてそんなに人がいないか?」

看護婦アイルー「みゅううう・・・あたしは最近この病院にお勤めするようになったばかりだから、詳しい事情は知らニャいんだけど、ニャんでもローゼンクロイツが大きな医療プロジェクトを行っているみたいでニャ、病院からもそっちに応援に行っている人が多いからニャの。(ひと目を気にするような仕草をみせ小声で)ここだけの話、エスターの旦那さんもそうニャの。ほら、所謂、単身赴任ってやつニャ」

ムーア「・・・いつ戻ってくるの?」

看護婦アイルー「それが分からニャいんですって。可愛そうなエスター。旦那さんと出逢って、挙式をあげる間もなく、彼の異動が決まってしまったんですってニャ。お腹の子を残したままね・・・」

ムーア「じゃあ旦那さんはエスターに子供が産まれたことも知らないの?」

看護婦アイルー「そうみたいニャ。手紙でも出せば?って言ったんだけど、彼女、人一倍、優しい子でしょ~?旦那さんが大事ニャ大事ニャお仕事に集中できるようにって、彼が戻ってくるまで黙っておくって・・・・ほんといい子よニェ~~~~」しくしくタラー(ハンケチを取り出してそれを噛みながら泣いている)

ムーア「そうだったんだ・・・大変だね・・エスター・・」

看護婦アイルー「気丈ニャのよ。だから健気に患者さんのために働いている彼女をみると、みんな頑張ろうって思うニャ」ぷぅ~~~~ん(と豪快にハンケチで鼻をかむ)

ムーア「エスターの子供が産まれたら、みんなで育ててあげたいね」

看護婦アイルー「あなた本当にいい子ニャ~。もちろん、そうニャったら、あたしも赤ちゃんにたっぷり愛情を注ぐつもりにょ♪」

ムーア「あたちもそうしたい・・・でぼ・・ぼうシュレイドに帰らないと・・・」ぐずん(鼻をすする)


だきっ(惜別の情に駆られる潤った視界がモフモフな両腕によって抱き寄せられる)


看護婦アイルー「また来るといいニャ。お空を浮かぶお船に乗ってね♪」パチリん(小粋なウィンクで激励してくれる)

ムーア「・・・・・・(ゴシゴシで革の篭手に包まれた腕で涙を拭いながら)お名前は?」

看護婦アイルー「アレクサンドラ。アレクサンドラ・ミケ美ニャ♪」

ムーア「また逢おうね。ミケ美さん」だきっDASH!(今一度、再会を誓うハグを交わす二人。視点の主は涙を堪えてか、鼻を「ぐずんぐずん」言わせながら...)






Recollection No.5_51






エスター「ごめんね、ムーアちゃん。お見送りできなくて・・」(病院前。目の前の彼女は身を屈め、視点の主に目線を合わせながら申し訳なさそうな表情を浮かべている)

ムーア「だいじょぶ、だいじょぶ。あたちったら。さっき泣いたら少しだけ強くなれた気がする」えっへん

エスター「・・・あなたを見てると、あなたのご両親・・・特にお母様がどんな方だったのか、わかる気がするわ。ルチアがあなたとあなたのご両親のことを自慢する気持ちがよく分かる」なでなで

ムーア「へへへ。神殿のみんなにも、エスターは元気にやっているって伝えておくね」

エスター「よろしくね。ロックラックの風があなたを無事にシュレイドまで導きますように・・」(祈るように目を瞑る)

ムーア「大げさだな。船も船長もしっかりしているから平気だよ」


ひゅおおおおおおおお・・・
(乾いた風が通りを突き抜けていく)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

エスター「ロージーとはちゃんとお別れした?今日は来ていないみたいだけど・・」

ムーア「昨日、船乗り場までお見送りに来てねって伝えたから、今頃、そっちに行ってるかも。もちろん元気はないと思うけど・・」

エスター「あなたもでしょ?」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり

エスター「あなたもロージーもとても心の優しい子・・。でもね、こういう経験を繰り返していくことで強くなっていくのよ」なでなで

ムーア「・・・・・・んぐっ・・んぐっ・・」こくり

エスター「偉いわね、ムーアちゃんは」

ムーア「じょんなごとない。あたぢより、ばだちいちゃい、ロージーの方がじんばい(心配)」えぐっえぐっ

エスター「・・・・・・・そのロージーのことなんだけど・・実はね・・」えぐっえぐっ(少し嗚咽している視点の主にはその声は聞こえていない様子だ)

医者「ベッカー君!すまない!手を貸してくれないか!?」(入り口の向こう側から声が掛かる)

エスター「はい!今!」

ムーア「あたちなら平気だよ。もう行って」グッ(涙を拭う)

エスター「ありがとう、ムーアちゃん。また・・・また必ず逢いましょうね」


だきっ


エスター「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」すりすり(エスターのマタニティなお腹を撫でている)

エスター「あなたみたいに強い子が産まれるといいわね」フフ・・

ムーア「エスターはあたちがおてんばなことしても、いつも優しくしてくれたよね。ありがとう」

エスター「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ほろっ・・

ムーア「あれ・・・どちて泣くか?」

エスター「フフ・・ごめんなさい・・。なぜか突然・・・・いえ・・なんでもないわ」スッ・・(涙を拭いながら静かに立ち上がる。その手を名残惜しそうに離す視点の主)

ムーア「少しの間だけだったけど、会えて嬉しかったよ」

エスター「私も・・また逢いましょうね。ムーアちゃん」

ムーア「うん。また修学旅行をやってくれるよう、ローゼンクロイツの人にお願いしてね」

エスター「ふふふ。もちろん。次に来るときはこの子とも遊んであげてね」すりすり(お腹を撫でてみせる)

ムーア「もちろん!赤ちゃんの「運搬」も上手にできるよう、神殿に帰ったら、漬物石で抱っこの練習しておくね!」

エスター「フフ・・・それじゃあね・・・・・ムーアちゃん」




タッ・・・・・タッタッタッタッタッ・・・・・・
(駆け出すエスターは入り口の通路前で一瞬、立ち止まって振り返り、こちらにその安心感を抱かせる優しい大人の女性の笑みを見せると再び、眩い光の束に包まれながら病院の中に消えていく)




ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



ひゅおおおおおおおお・・・



??「おい、キャロルムーア」

ムーア「ほえ・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(振り返るとビリー一味(真ん中にご自慢のリーゼントを決め込んだビリー、こちらから見て右側に「いつものへんてこメガネ」をかけてケイシー、左側にはあれ以来、目と顔が真っ赤になったままのデービス)が現れる)


ムーア「なにさ?今はあんた達を相手にしている気分じゃないの」

ビリー「お前、俺に借りを作ったと思ってるのか?」

ムーア「別に。あたちはただ、あたちの学園の中から犯罪者を作りたくなかっただけ。そのクエストはあたちが勝手に受けただけだし」はぁ~~~

ビリー「・・・・・いい気になるなよ。俺は別に・・感謝なんかしてねぇからな!!」ダッ(照れくさそうに振り向き、飛行場の方へ走っていく)

デービス「あれでも感謝してるつもりなんだよ」クスッ

ケイシー「ほんとに・・お前達のおかげで助かったよ。ありがとうな、キャロル・・ムーア」

ムーア「ふふっ・・いいよ、別に。それより、ビリーはちゃんと二人に謝った?」

ケイシー「それとなくな。だから俺たちも・・許してやったよ」ポリポリ

デービス「お詫びの印に、ビリーの奢りでお土産を買ってもらったんだ」しししし(と、ロックラックのモニュメントの「ちっさいバージョン(木彫り)」を自慢気に見せる)

ケイシー「俺は地酒。お前もいるか?」(と、蒸留酒の瓶を出す)

ムーア「だいじょぶ、だいじょぶ。あたちったら。そのお土産を三人の大切な思い出にして」


ビリー「お前ら!何やってんだ!!置いてっちまうぞ!!」(通りの向こうで吠えている)


ケイシー「分かったよ!!それじゃあな」ビッ(二本指立ててイケメン挨拶かます)

デービス「君も早く飛行場へ向かった方がいいよ。それじゃあ、あとで」


タッタッタッタッタッタッタッ
(仲良く肩を組みながらビリーのもとへ駆けていく。三人揃うと、これまた仲よさげに雑談をかましながら通りの奥へと消えていく)


ムーア「さて・・・あたちも・・・・・」



ビュオオオオオオオオオ



ムーア「今日も風が強いなぁ・・・・・。でも・・この風ともお別れかぁ・・・・・」


パンパンハッ(顔を両手で叩く)


ムーア「よし。あたちも帰ろう」


タッタッタッタッタッタッタッ(病院を後に軽快に走り出していく視点の主を砂漠の太陽が心地よく照らしている...)


To Be Continued








★次回ストーリーモードは3/26(木)0時更新予定です★





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