
ザーーーーーーーーーーーーーー
(歴史を感じさせる尖頭交差ヴォールト天井を支える角柱の陰から降りしきる雨を見上げている)
シオン「しばらく止みそうにないわね」ザーーーーー(隣を見ると尖頭アーチが水平方向に連続して繋がったトンネルを背景に、アンニュイな装いで細い腕を組んだ姿勢がよく似合う彼女が叙情的な仕草と共に不安定な雨空を見上げている)
カツカツカツカツ・・(どこまでも続いて見える連続的な尖頭アーチのトンネル(両サイドは筒抜け状の)奥から並んで歩いてくるキンババ、ヴィルヘルム、そしてニッキーの姿が。また彼らの奥には建造物の壁面と小さな勝手口が見え、それが先程まで居た礼拝堂であることも見て取れる)
シオン「どうするって?」(とぼとぼと歩いてくる男子三人組に聞いている)
ニッキー「安心しろ。雨が止むまで親睦会は続行。よって密談も継続」フフッ
キンババ「タイミングよく雨が降ってくれて感謝だよ。だってまだ説明が足りてないもの」ふぅ~
ヴィルヘルム「な?ムーア。俺の予想が当たったろ?」フフン
ムーア「まさか義賊の正体が・・・ねぇ・・・」(と白々しく目を細めてシオンとニッキーを見つめる)
ニッキー「そうスネるなよ。重大な秘密なんだぞ?だからこそ他でもない君たちに明かしたんだ」ザーーーー(角柱に肩から寄りかかる)
ムーア「あたちは知らない方が幸せだったかも」ザーーーーー(と雨を見上げる)
シオン「なぜそう思うの?」
ムーア「秘密を知ったからには、その代償がつきものだから」フン
キンババ「僕は未だに信じられないよ。本当に君たちが盗みを働いたのかい?」こそっ(周囲を気にしながら)
シオン「ええ、そうよ」(平然と)
ニッキー「と言っても悪行や不正を働いて稼いだ金品だ。証拠も掴んでいる」
ムーア「なるほどね・・外街に忍び込んでいたのは社会勉強が目的じゃなくて、そういった連中がどこで誰と繋がっているかを知るためだったのね?」
シオン「結果としてよ。外街であなた達と知り合い、王都にはない現実をたくさん見てきたわ。そして闇に隠れた世界があることも・・」ザーーーーーー
ニッキー「バールボーン家がなぜ王都にも勝る権威を誇るのかもね」しっしっしっしっ(としてやったりのヴィルヘルム)
ムーア「それで何を掴んだわけ?」(懐から例のシガーを取り出し、それをおもむろに口に咥える)
ニッキー「君と俺が大好きなそれさ。ヴェルドに蔓延る危険な薬物をはじめ、かつて東側を革命へと追いやった偽札然り、そして東西分裂・・・・この影に潜むものはなんだ?疑問に思うのは当然だろ?」(シガーをよこせと手招きしている)
シオン「私達の目的は、自由の中に隠れた独裁を暴くこと」シュボッ(視点の主は柱を利用してマッチに火を点ける)
ニッキー「その独裁の根源を知り、公にすることさ」フカァ~~~~(と煙を実直に話す彼に向かって吐くと、火のついたタバコを彼に手渡す)
ムーア「だって。そんなことされたら商売あがったりね」(とヴィルヘルムに向かって言う)
ヴィルヘルム「そうともいえねぇぞ。商売敵がいなくなったらバールボーン家の独り勝ちだ。だから俺様はこいつらをバックアップすることにしたのさ」フゥ~~(とニッキーは一服したタバコを今度は彼に回す)
ニッキー「王都と外街は切っても切れない縁にある。俺たちの友情もね」(ウィンクかましてくる)
ムーア「キモいんですけど。それともうひとつ。名家のあんた達がいくら親を嫌っているからって、何もそこまでリスクを冒す必要があるわけ?親の期待を裏切ることが復讐ってわけじゃないでしょ?」フゥ~~(戻ってきたタバコをふかす)
シオン「そうね。王都に生まれていなければ・・・」ザーーーーーーー
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ザーーーーーーー
キンババ「ロンさんの財布を盗んだのは?」
ムーア「そうね。傲慢ではあるけど、不誠実な人間ではないでしょ?」
ニッキー「気まぐれさ。彼がよくランチをしているテラスにいた時、聞いてしまったんだよ。「肉まん君」の悪口を言っていたのをね」(しらを切るように後頭部に両手を回して石柱に背中から寄り掛かってみせる)
シオン「私は返すように説得したのよ?そしたらニッキーが・・」
ニッキー「寄付したと思えばいいのさ。あの高慢ちきな男は確かに頭はいいが慈恵に欠けている。俺に財布をすられた後、彼は被害者面をするどころか、高級タブロイド紙の記者に向かってこう言ったんだぜ?「私のポケットマネーが外街市民を少しでも救うのなら慈善活動も悪くはないね。だが次回からはガーディアンと一緒にランチをしなくてはいけなくなった(以上声色をロン氏に真似て)」ってね。奴らにとっては、はした金でも外街市民にとっては大金だ。俺は彼に寛容という美徳を教示してやったのさ」
ムーア「うん。納得」
キンババ「じゃないよ

ヴィルヘルム「牢獄行き決定だな」クッ(首を掻っ切るジェスチャーをしてみせる)
ムーア「二人にも会えなくなる」うん・・(と俯きながら頷くキンババ)
シオン「心配しないで。そんなヘマは絶対にしないから」
ニッキー「忘れたのか?ムーア。俺たち、三人の目標はモンスターハンターになることだってことを。君だって、いつまでもシュレイドに留まっているつもりじゃないだろ?それまでの暇つぶしさ。俺もシオンもエネルギーが満ち溢れているだけさ」フカァ~~(視点の主からタバコを奪い、それをふかす)
ムーア「退屈しのぎにしちゃ、大それたことだけど・・・OK。プロセスはだいたい分かった。でも、気が向いたら、あんた達の本当の動機を聞かせてもらいたいものね」
ニッキー&シオン「・・・・・・・・・・・・・・・」(互いにおどけた表情で顔を見合わせている)
ムーア「まったく・・・・あたち達が喋らないって保証はないのよ?」
ニッキー&シオン「ある」にんまり
ムーア「・・・・・・クソニッキーにクソシオン」ピッ

ジュ~~~~~~~~~~
(それが濡れたコンクリートの地面に落ちて鎮火する)
Recollection No.5_69
ヴィルヘルム「あ゛~~~~っぐしょい!!」ブブーーーーー

シオン「やだ汚い

ヴィルヘルム「フフ。お前のその心底嫌がる顔が一番色気を感じるぞ」ズズズ・・(鼻をすすりながら。対し「変態野蛮人」と吐き捨てるシオン)
キンババ「冷えてきたね。中に戻る?」
ムーア「そうね。今度こそ乱闘騒ぎしてないか心配だし・・」
ニッキー「っと。本題は別にある」(行く手を阻むように立ち塞がる)
ムーア「・・・・・今度は何を告白するつもり?まさか自分がクリプトヒドラの正体だなんてつまんない冗談言うつもりじゃないでしょうね」むぅ~
シオン「ヴェルドに・・いえ、シュレイドに蔓延するカルト教団の話、聞いたことあるでしょ?」
キンババ「ああ・・・あやしげな宗教集団があるって・・でもそれは王都内の話でしょ?」
シオン「外街にも信者がいるらしいの」
ムーア&キンババ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」じーーーーーー(とヴィルヘルムを見つめる)
ヴィルヘルム「俺じゃねぇぞ」(と、懐から例の水晶ドクロを取り出し、それを庇うように胸に抱く)
ニッキー「そいつらは一切、素性を明かすことなく、外街に潜み続けているらしい。王都にも信者がいるってもっぱらの噂だ」
ムーア「何か問題があるわけ?」
ニッキー「さっきの話。ヴェルドに隠れた闇を暴いてみないか?」にやっ
ムーア「あんたがその顔する時って、たいてい良くない時」はぁ~~
シオン「見て」
ザーーーーーーーーーーーーーー
(振り続ける雨のフィルター越しに朧気になった大豪邸が見える)
キンババ「ずいぶん立派なお屋敷だね」
シオン「ジェイソン・ウーの屋敷よ」
フリフリ(人の気配を感じ、礼拝堂の方を見ると、王都の女子生徒(金髪ロングカーリーヘアな日焼けギャル系ソーシャライトな女子高生)がこちらに向かって手を振っている)
ムーア「呼んでるよ」(とシオンに向かって言うと彼女は首を左右に振って答える)
ヴィルヘルム「今行く!!」
キンババ「え~~~~!?君、いつの間に!?」
ヴィルヘルム「彼女、バックギャモン同好会に入ってるんだ。残りの話は後からこいつらに聞くからよ。じゃあな」ダッダッダッダッダッ
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(仲睦まじく礼拝堂の中に戻っていく初々しいカップルを目で追っている)
シオン「嘘でしょ?あの子、あういうのが好みだったんだ・・」ザーーーーーーー
キンババ「んーーーー・・・・で、なんの話だっけ?」
ムーア「お屋敷」
シオン「続けて、ニッキー」
ニッキー「ああ・・・。バールボーン家が外街の支配者なら、ウー家は王都・・いや、シュレイド地方をも飛び越え、大陸を牛耳る影の支配者だ」にやり(としながら豪邸を物色するように眺めている)
ムーア「伝説の大泥棒にでもなったつもり?まさか今度はそこに忍び込もうってわけ?」ふぁ~~あ
シオン「ほんと、あなたって勘がいいわね。だから好き」
ムーア「はぁ?」
ニッキー「君が忍び込むんだよ。キャロルムーア」
ムーア「はぁ?」パチくり(する視界にはニヤニヤとこちらを見ているニッキーとシオンのいやらしい顔が)
To Be Continued

★次回ストーリーモードは6/4(木)0時更新予定です★