ザーーーーーーーーーーーーー
(雨脚強まる灰色の空を背景に、獣人しか入れないサイズ感のちいちゃい木造レトロ風バンガロー(屋根下の看板には「Antique shop NyaNya堂」と記されている)を見上げている)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ザーーーーーー
シオン「ここね・・けど・・」ザーーーーーーー(視界の右側から同じく顔を見上げる彼女とニッキーは共にロングコートのフードを被っている)
ヴィルヘルム「どうやって入るんだ?」いちちち(左側より顔を「切り傷だらけ」にした彼とそれを介護するキンババの姿が)
キンババ「お父さんがここは昔、喫茶店だったって言ってたけど・・だとすれば、君のお母さんはこんな小さい所で育ったってことだね

ニッキー「子供の頃はちょうど良かったんだろう」ザーーーーー
ムーア「さすがあたちのお母さん」うんうん(一人頷く)
シオン「どうするの?全員で入るのは厳しそうだけど」
チャッ・・(バンガローの獣人サイズのドアが内側より開かれる)
スカーフェイス「何をしている?」ぬう・・(家の中から、ガタイがいいメラルー(首元に唐草肉球柄の紺色マフラーを、腰には革性のベルトを巻き、衣類は纏っていない部族的な「雄らしさ」を感じる)が牽制かましながら、その傷だらけの顔を覗かせてくる)
ムーア「残念。今日はあんたに会いに来たんじゃないの」
スカーフェイス「・・・・だったらここには用がないはず。うせろ」しっしっ(爪際立つ猫手で)
ムーア「ジェイソン・ウーの使いだとしても?」
スカーフェイス「なに・・?」ザーーーーーーーー
ニッキー「と言っても疑うのは無理もないだろう。これが証拠だ」スッ・・(懐より手のひらサイズの鉄製の割符に似た通行証(ここからもウー家のルーツが東方にあることが窺える)を見せる)
スカーフェイス「ウー家関連の偽造品はいくらでもある。見せろ」
ニッキー「・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・(こちらの返答を求めるように顔を向けてくる)
ムーア「大丈夫。その人、「一応」鑑定士だから」
ニッキー「ちゃんと返してくれよ」スッ・・(腰を屈め、よこせよこせと鋭い爪を持つ猫手を差し出しているメラルーに通行証を手渡す)
スカーフェイス「ふむ・・・・」(猫目を細め、鉄券に施された装飾をくまなく確認している)
ヴィルヘルム「ああいうタイプでも、たまには「ニャア」って言うんかな」ズルズル(猫アレルギーな鼻をすすりながら)
ムーア「どう?」(鑑定中のメラルー(無骨な猫指で慎重に鉄券に施された昇り龍の装飾(おそらくウー家の紋章だろう)をなぞるように触れている)に問いかける)
スカーフェイス「紛れもない。東方産だ。どこでこれを拾った?」スッ(ニッキーにそれを返す)
ムーア「言ったでしょ?ウー家の使いだって」
スカーフェイス「ジェイソン・ウーも焼きが回ったな。お前らみたいなガキを取り立てに雇うとはな。だが、うちはウー家の世話にはなっていない。他をあたれ」(ドアを閉めようとする)
ムーア「お金は借りてなくても、繋がりはあるんでしょ?」ガッ

スカーフェイス「うちが扱ってるのは骨董品だけだ。消えろ」
ムーア「だからあんたには用がないっての」パサッ(先程、モールでゴルゾンより受け取った手紙を広げて見せる)
スカーフェイス「・・・・・・・何を頼まれたか知らないが、お前も知っての通り、主は病に伏している。それこそ論外だ」ギッギッ

ゴホッゴホッ・・(家の奥から咳き込む音が聞こえてくる)
ムーア「ねぇ!!いるんでしょ!?あたちはジェイソン・ウーの使いで来たキャロルムーア!!あなたにいくつか質問をしたいだけ!!お願い!!中に入れて!!」ギッギッ

ゴホッゴホッ・・・・・・チリンチリン・・
(咳き込んだ後、ハンドチャイムの返答が)
ムーア「いいってこと!?」ギッギッ

チリンチリン・・チリンチリン・・
スカーフェイス「待ってろ!!これ以上騒ぐようなら本当に容赦しないぞ!!」ドンッ

ムーア「早くしてよね。戻って来ないようなら、屋根を引っ剥がしてでも問いただしてやる」バンッ

シオン「大丈夫かしら・・」(振り返ると心配そうな表情を浮かべた彼女の姿が)
ムーア「たぶんね。ああ見えても、気に入ってるから。あたちのこと」
ザーーーーーーーーー・・・・
ヴィルヘルム「ハァ~~ッブショイ!!」ブブーーー

キンババ「遅いね・・・」ザーーーーーー(顔に浴びせられたそれを雨のシャワーが自然と流していく)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ザーーーーーー・・・
チャッ・・(ドアが開かれる音がし、反射的にそちらへ顔を向ける)
ムーア「入ってもいいって!?」
スカーフェイス「これを被るならな」(左手に持つは肉球マーク入りの麻袋)
ムーア「はいはい・・」クスクス・・(と背後からは仲間の笑い声が)
Recollection No.5_84
もぞもぞ・・もぞもぞ・・(麻袋を被せられた「なんだか薄茶色」に染まった視界の中、おそらくは身を屈めながらスカーフェイスに手を引かれて移動しているのであろう)
ムーア「ちょっと。そんなに見られたらまずいものだらけってこと?わかった。薬を製造してる部屋とかあるんでしょ?においで分かるし」クンクン
ごちん

スカーフェイス「おっと。頭を下げないとぶつけるぞ」(前方より声だけが聞こえる)
ムーア「もうぶつけたっつーの

スカーフェイス「何をブツブツ言ってる。入れ」グイッと

ゴホッゴホッ・・・(先程の咳が間近に聞こえることから、主が寝ている部屋に入れられたことが分かる)
スポッ・・(背後から頭に被っている麻袋を取られる)
ムーア「あ~~~鼻がムズムズした・・・・・」
パチクリパチクリ

ゴホッゴホッ・・・(咳が聞こえる右側に首を傾けると、これまた獣人サイズのベッドに仰向けで布団を被せられたパープル毛のメラルーが咳をしながら寝ており、その傍らではスカーフェイスが額のおしぼりを交換したりと看病している)
アニャニャ・カーン二世「はぁ・・はぁ・・・・」(頭は上を向いたまま、虚ろな視線でこちらを確認してくる痩せこけた彼の顔は、以前のような快活な気概がすっかり消え失せてしまっており、その乱れた呼吸から、容態を聞くまでもなく、生命の灯火が消えかけている様子であった)
ムーア「どうぼどうぼ。あたち、キャロルムーア」
アニャニャ・カーン二世「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」(不思議と呼吸が整っていく)
ムーア「まずはありがとう・・・え~と・・」(相手の名前を知らされていないことに気づくフリをする)
スカーフェイス「聞きたいことがあるのだろ?端的に、簡潔に説明しろ」(猫背な背中を向けたまま、看病しながら催促してくる)
ムーア「あんだってこにょ・・・・ええと・・あたちがウー家の使いだってのは聞いたわよね?」
アニャニャ・カーン二世「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」こくり・・
ムーア「OK。実はね、最近、彼・・ジェイソン・ウーが頭を抱える問題が発生してね、そのクエストをあたちが請け負ったってわけ。あ、クエストっていうか、調査みたいな。OK?」
アニャニャ・カーン二世「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」こくり・・
ムーア「で、その問題っていうのが、単刀直入に言うと、彼・・ジェイソン・ウーが脅迫されているみたいなの。なんでも犯人はジェイソン・ウーにとって、都合の悪い秘密を握っているとか」
アニャニャ・カーン二世「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」
ムーア「お~ほほって笑っちゃうわよね。散々悪いことしてきた罰が当たったんじゃないかって、あたちなんかは思っているんだけど」
ギロッ(スカーフェイスに睨まれる)
ムーア「あんだってこにょ・・・・そこで外街一のエージェントであるあたちが犯人探しを依頼されたわけなんだけど、まずはあなたにヒントを貰えって、ジェイソン・ウーが。そういうわけで今ここにいるってわけ。どう?だいたい分かった?」
アニャニャ・カーン二世「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」こくり・・
ムーア「OK。じゃあ早速、質問。犯人に心当たりはある?」
アニャニャ・カーン二世「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」フリフリ・・(小さく首を左右に二回振る)
ムーア「でしょうね。いきなりだもんね。あ、そうそう。犯人の要求なんだけど、その秘密っていうのを公にされたくなければ、ジェイソン・ウーが持っている兵権を王宮に返せって。そう彼に伝えてきたみたいなの」
アニャニャ・カーン二世「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(虚ろな瞳でこちらをじっと見つめながら遠くを見ている印象を受ける)
ムーア「いい反応ね。心当たりがあるって感じだけど?」
アニャニャ・カーン二世「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(首を左側にそっと傾けると、すぐさまスカーフェイスが顔を近づかせる)
アニャニャニャニャ・・・アニャニャニャニャニャニャ・・・
(二世は実に弱々しいか細い声でスカーフェイスに何やら耳打ちをしている)
ムーア「なんて?」
スカーフェイス「今から言うことをしかと依頼主に伝えよ」
ムーア「OKOK。どうぞどうぞ」
スカーフェイス「哀れジェイソン・ウー。もはや用済みとなった貴様に待つは不遇な死のみ。所詮、貴様は捨て駒に過ぎなかったのだ。真の世継ぎを残せぬまま、偽りの名声と共に朽ち果てるがよい。以上だ」
To Be Continued

★次回ストーリーモードは7/27(月)0時更新予定です★