ザッザッザッザッザッザッ
(ガーディアンシリーズを身に纏った衛兵達が回廊を抜け、こちら(中庭)側へ歩いてくる姿が見える)
シオン「早くない!?」
ムーア「ニッキーとキンババよ。あのバカ共・・!!」バッ(シオンの手を取り、近くの垣根に身を伏せる)
シオン「ヴィルヘルム!」(垣根から顔を覗かせると皇太子妃に何やら別れの挨拶をしている彼の姿が)
ヴィルヘルム「プリム。また必ず会いにくる。それまで何があっても負けんなよ」
プリム「あなたにも、導きのご加護がありますように。ヴィルヘルム・バールボーン」
ヴィルヘルム「ヘヘッ・・・」
スッ・・(ヴィルヘルムは皇太子妃の前で跪くと、彼女の小さく穢れなき手を無骨な手に取り、そっと口づけをする)
シオン「嘘でしょ?そこまで?」
ムーア「の関係になったみたいね。ヴィルヘルム!行くぞ!」(名残惜しそうに手を離すヴィルヘルムの背後からはこちらの存在に気づいた衛兵達の影が近づいてくる)
ヴィルヘルム「へへへへ。わりぃわりぃ」バッ(垣根の影に飛び込んでくる)
ムーア「ポレット先生に戯曲でも書いてもらったら?禁断の愛。王国の皇太子妃とスラム王の皇太子ってね」ちらちら・・(と周囲に逃げ場がないか確認しながら)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(プリムを見ると衛兵達に背を向けながら、こちらに向かって、一旦宮廷の中に逃げるよう指で指示してくる)
ムーア「ほんといい子・・・今よ!!」
ダッダッダッダッダッダッ!!
(姿勢を低くしながら一直線に宮廷の回廊を目指して駆けていく)
バッ

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちらっ・・(柱から顔を覗かせ、庭園を確認する)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(駆けつけてきた衛兵達に何やら説明をしているプリム)
ムーア「大丈夫かなぁ・・・」
ヴィルヘルム「心配いらねぇ。もし俺たちと一緒にいるところを目撃されていたとしても、舞踏会の出席者が自分に会いに来たっていう「手はず」になっている」
シオン「大した絆だこと。さぁ、行きましょう」
ムーア「もう少しお話をしたかったなぁ・・」(名残惜しそうに遠くのプリムを見つめながら)
シオン「あの娘は私達とは違う強さを持った人ね」
ムーア「そうかなぁ・・・本質は同じ気がするけど・・」
ヴィルヘルム「俺は彼女に出逢って生まれ変わった気がする。今に見てろ。王宮も外街も、俺たちがもっともっと良くしてやる」えっへん
ムーア「その台詞どっかで・・・・って、そうだ。もう一人、「熱い奴」がいたんだっけ」スッ・・(と袖の中から「打ち上げ花火タイプの」狼煙筒を取り出す)
シオン「ニッキー達に知らせるつもり?」
ムーア「もあるけど、もっと時間稼ぎになる方法♪」しょっ!ンボッ

しぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ
ドシューーーーーーーーーン

(マッチの火を右手に握った狼煙の導火線につけるとすぐさま筒の中へ燃え上がっていき、景気よく一発打ち上げる)
ヴィルヘルム「よく見てろ・・プリム」
パァ~~~~~~~~~~~~~~ン

(見上げる夜空にめでたげな破裂音と共にアイルー型(実に憎らしい顔)の青い火花が浮き上がる)
なんだ!?(そのまま視線を下げ、プリムの方を見ると慌てながら空を見上げている衛兵達とは対象的に、感嘆しながら満面の笑みを浮かべて花火を見上げている彼女の初々しい姿が頭上の青い光によって照らされている)
ムーア「不思議な王女様だったね」
ヴィルヘルム「王女?プリムは皇太子妃だぞ」
ムーア「そっか。なんだかそんな気がして・・また逢えるかな」(遠くのプリムは再び今にも捜索をしようとしている衛兵の足止めをしてくれている)
ヴィルヘルム「あたりめぇだろ。会いたい気持ちに階級なんて関係ねぇ」
ムーア「うん。そうだよね」
シオン「さぁ、行くわよ!」(振り返ると宮殿へ繋がる通路に一足早く向かっている彼女の姿が)
ムーア「改めてさよなら言いなよ」
ヴィルヘルム「・・じゃあ・・・また明日な、プリム」
ダッ(通路へ向かって走り出す二人)
Recollection No.5_102
ダッダッダッダッダッダッダッダッ
(目の前に見えるT字路に向かって走っていく)
ムーア「あんた、ロイヤルスクールの彼女にはなんて言うわけ?」ダッダッダッダッ(右側を並走する宮廷道化師なヘボッチョに向かって)
ヴィルヘルム「何って、別に今まで通りの付き合いさ」ダッダッダッダッ
ムーア「可愛そうなガールフレンド。これから上の空なあんたを見続けるんだから。ちゃんと別れてあげなさいよ?」ダッダッダッダッ
ヴィルヘルム「それはそれ。これはこれだ。それがバールボーンの恋の流儀だ」バッ(とT字路の交差地点の壁に身を伏せる)
ムーア「いいわ。あたちがバラしてやる」ちら・・(大広間に繋がる通路を覗くと、先程と変わらぬ演奏隊の優雅な音楽が聴こえてくることから、舞踏会に参加している者達には「まだ」外で起きている騒動が伝わっていないということが推測できる)
ヴィルヘルム「好きにすればいいさ。だいたいがプリムは皇太子妃なんだぞ?王室の人妻なんだ。俺にだって女がいてもいいだろう」(と弁解決め込みながら「あっち?」と違う方の通路を指差している)
ムーア「あんた、一体プリムと何があったわけ?そんなに時間があったわけじゃないでしょうに」むぅ・・(と、向かいの通路を睨みながら)
ヴィルヘルム「本当の恋なんてしたことのないお前には分からないのさ。燃え上がるのなんて時間を超越した刹那の一瞬さ。お前も早くいい男を見つけ・・」バチぃ~~~ん

シオン「はいはい。不毛な恋愛話しはそこまで。ニッキー達を見つけるわよ」ダッ(と、まだ行ったことのないルートへ向かっていく彼女を追いかける)
ムーア「あんただって人の事言えないでしょ?あんたに彼氏がいた話なんて今まで「微塵も」聞いたことないもの」ツカツカツカ
シオン「理想が高いの。それはあなたも同じでしょ?いいから仮面つけて」ツカツカツカ
ムーア「あたちは普通の男に興味がないだけ。ここがミナガルデやドンドルマだったら、とっくにモテハンターガールになってるし」カポッ

シオン「嘘よ。どこ行っても帰属意識に欠けるあなたの気質じゃ、みんなを敵に回すだけ。ちなみに私は違うから。こんな街とっとと出て、自由に生きるの。愛らしいアイルー科の子と、出来れば犬と一緒に暮らしたい」ツカツカツカ
ムーア「ハンターになるつもり?ま、あんたは確かに運動神経はいいけど。もちろん、あたちには負けるけどね」ツカツカツカ
シオン「狩人の道が正しいと思えれば、それも悪くないかも。でもそれはニッキーの夢。私はとりあえず、両親のもとを離れたいだけ」ツカツカツカツカ(確認もしないで目の前にあった階段を登っていっちゃう)
ムーア「ほら。結局、あんたは両親に自分の存在を気づかせたいだけなのよ」ツカツカツカツカ(お喋りしながら追いかけていっちゃう)
シオン「勝手に決めつけないで。あなたに私の何が分かるっていうわけ?」ボギャアアアアアア(踊り場の開き窓の向こう側から飛竜系の咆哮が轟いてくる)
ムーア「あんたは自分の言うことを聞いてくれない両親を見返してやりたいだけなのよ?心配させるだけなら、うちにおいでって。一緒にあんまん作ろう」ボギャアアアアアア(そんな咆哮など気にもとめず、ずんがずんがと踊り場を折返して階段を上っていくシオンを追いかけていっちゃう。視界の端では咆哮に反応したヴィルヘルムが開き窓の向こう側を見上げている)
シオン「人の力を借りずに自分の力を試してみたいの。だから・・ダメ」ボギャアアアアア・・・
ヴィルヘルム「おい、大変だぞ」(後ろから声が)
ムーア「意地っ張り」ツカツカツカツカ
シオン「おせっかい」ツカツカツカツカ
ヴィルヘルム「おいって」
ムーア「心配している人の気持ちも知らないくせに!」(2階に上りきった所で立ち止まっての文句)
シオン「頼んだ覚えないでしょ!?それがおせっかいだっていうの!!」ひえええええええ・・(と、視界の右端に映る通路の奥より、こちらに向かって血相を変えながら走ってくるニッキーとキンババの姿がフレームインしてくる)
ヴィルヘルム「なぁ、大変なんだって」(左からは彼の声が)
ムーア「そんなんだからお父さんとお母さんも話を聞いてくれないんじゃないの!?相手を疑う前に、自分がどうなのかって考えたりしないわけ!?」ひええええええええ!!(右から)
シオン「余計なお世話!!自分の両親が奴隷制度を良しとして、淡々と贅沢な暮らしをしているのよ!?おトキさん達と仲良く一緒に暮らしているあなたに私の気持ちが分かるわけない!!」なぁ、おいって(左から)
ムーア「だからこそ分かるでしょうが!!両親のやり方に反対するなら、何も家を出なくたっていいんじゃないかって言ってるわけ!!」ム~~~ア~~~

シオン「だったらどうすればいいっていうのよ!!」シオン!聞いてくれ!(そちら側にはニッキーが)
ムーア「あたちは、あんたに出ていって欲しくないだけ!!それだけ!!悪い!?」ム~~~ア~~~

シオン「・・・・・・・・・・悪く・・・・ない・・・」シオン!!早くここから逃げるんだ!!
ヴィルヘルム「おいって!!マジでやべぇぞ!!」(踊り場から)
ムーア&シオン「あによ!?うっさいわね!!」ひええええええええ

To Be Continued

★次回ストーリーモードは9/28(月)0時更新予定です★