
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ・・
(晴天の白色光が次第に橙色へと変わりいくロックラックの賑わう商店街をロージー、キンババ、ヴィルヘルム、そしてガルクに跨ったアイルーと共に歩くシオンの姿)
キンババ「どう思う?彼女の話」ガヤガヤガヤ・・
ヴィルヘルム「監視するはずの都市で、そこのギルドのリーダーに惚れちまった・・・よくある話だな」ハンッ
ファイヤージンガー「お前とクイーン・ドラグライトみたいにか?」ははははは(笑う一同。墓穴を掘ったと気まずそうな顔のヴィルヘルム)

シオン「グランデギルド・・・東部最大の都市、パパグラーナの実権を握る商工ギルド・・・。そこがあなたのお家と内密に連絡を取り合っていたなんてね」

ロージー「・・ほんとに・・あたしはお家のことを何にも知らない・・・」
キンババ「元気だしなよ。ただの情報交換や交易だろ?別に悪いことをしているわけじゃない」
ヴィルヘルム「そのグランデギルドってのも胡散臭えな」
シオン「あなたはどう感じた?」

ジークガルム「コズマに嘘の気配はなかった。伝えることは伝えのだろう」

ミオン「みんないたからミャ。言えない部分はあるはずミャ」ふむぅ~(名探偵みたいな素振りで)
ヴィルヘルム「邪龍教の伝道師。あの婆さんを思い出す」ガヤガヤガヤ・・
ロージー「・・オヨネさんのこと?」
シオン「今は思い出に耽っている場合じゃないでしょ?それより、お父様はすぐに発たれると仰っていたけれど、あなたはいいの?」
ロージー「・・・うん・・。だって・・・あたしは・・・・だから、みんなに来て欲しいの・・・・会ってほしい・・・ムーア・・・UBUちゃんに」
「あたちのモンハン日記」
Anthem of a Dying lights
~ユクモ村....

ホォーホォー・・ホォーホォー・・
(村長宅のよく整った庭園から渓流の美しい夜景を見上げている山猫族)

泥吉「はぁ・・・・・・・・」

鉄平「飯でも行こうぜ。近くにうまい釜飯屋・・・と言っても経営者はいかちぃババァだが・・味は保証するぜ。村長さんがおごってくれるってよ」(中庭と繋がる縁側から一也、吾郎、おトキさんと共に声を掛けてくる)

一也「ジャブ吉もみんなと一緒に外で待ってるニャ。フラワー達も彼に興味津々でニャ。すっかり人気者だニャ」
泥吉「へへ。あいつは・・・シャーマラーン・ハハーン族はみんないい奴らばっかです。操竜術だって、モンスターとの共生を意味していやす」

おトキ「森にいる雌火竜は大丈夫でしょうか」
泥吉「ははっ。ご婦人、珍しいですね。モンスターの心配するなんて」
おトキ「・・少し・・彼らとは縁がありまして・・・」(思い出を振り返るように少し微笑みながら俯く)
一也「おトキさん・・・」

吾郎「いわゆる知的生命体種ってやつでしてね。気立ての良い・・・そりゃ~もう勇敢な火竜でした。あっしらの誇れる仲間・・・いえ・・家族でしたよ」
鉄平「・・・・・・・・・・・・・・」ぽん(吾郎の肩を抱き寄せる)
泥吉「そうでしたか・・。シャーマラーン流操竜術、彼らが操るモンスターは知的生命体種じゃなく、野生の普通種なんです。卵生でないモンスターの場合、身籠っている親を捕獲し、子供と共に手懐けちまうんです」
吾郎「そりゃまたすげぇ・・・卵からかえった子は?」
泥吉「いわゆるインプリンティングってやつですかね。彼ら独自の育成方法で調教、馴化させちまうんですよ。家族同然に暮らしながら」
鉄平「でも時には危ないこともあるんじゃないのかい?」
泥吉「そういう時は、彼らが代々、秘儀に用いる薬をモンスターに使用することで沈静化させ、従順させる場合もあるみたいでさぁ。そうやって彼らはモンスターと共に生活をしながら狩猟も共に行うという術を身に着けた。彼らは操竜するモンスターの食物連鎖的に捕食の対象とされるモンスター、あるいは縄張り争い上、敵対しているモンスターを捕獲して、彼らは貴重な素材を、操竜したモンスターには食べ物を分け与えることで本能的に利害を一致させながら共生に成功しているんです」
一也「理想の相利共生だニャ」
泥吉「なのでご安心を。俺達を乗っけて来てくれた雌火竜も今頃は、この美しい夜空を見上げながら眠りにつく頃でしょうよ」ハハハ
鉄平「ギルドが知ったら、さぞ詳しく聞きたがるだろうぜ。どうやって手懐けたんだ?ってな。あ、それから書士隊もな」ハハッ(笑う一同)
バサバサバサバサバサ
(屋根の上からインコが飛んできて鉄平の頭の上にとまる。鳥類の鋭い爪でおでこあたりを「グッ」てやられている鉄平もまた一瞬「うっ」て顔をする)

六本木「ナニシテル。フランソワ、ジャブキチ、オコッテル。ハラヘッタッテ。ジェイムズタチモ、キテイルゾヨ」バサバサバサバサ
泥吉「すいやせん。あっしはここにいやす。どうも食欲が・・」
鉄平「・・・後から俺達も行く。先に行っててくれ」
六本木「オーケーオーケー。アマリ、オモイナヤムナヨ、ドロキチヨ」バサバサバサバサ
泥吉「ほんとに・・お優しい方ばかりですな。このユクモは・・・」ほわほわほわ(ホタルが山猫族のもとに飛んでくる)
鉄平「お人好しが売りだよ。だから守り甲斐がある・・・なんて、守られてるのは俺たちも同じだがな」ニャハハハハハ(馬鹿笑いする一也)
泥吉「クルセイダーズのリーダーはサムソンの旦那で?」
鉄平「ん・・・ま、その一人だな。実行権を持っているのは今の所・・・・泥吉さん。王都には別の用事で立ち寄ったんだろ?よかったら、聞かせてくれないか。そのぉ・・もっとあんたのことを知りたいんだ」うんうん(と一同)
泥吉「いやぁ・・・つまんねぇ話ですよ。自分がまだ幼かった頃、とんだヘマやらかしちまって、奴隷商人に捕まっちまったことがありましてね・・・。王都の外街っていうスラムに連れて行かれ、そこの支配者に買われちまったんです。なんでもバカ息子のペットにするって」
吾郎「ヴィルヘルムの坊主だ」しーーーーっ(とおトキさん)
泥吉「そこで倉庫の牢屋に閉じ込められていた時、あっしを助けてくれた御方がいましてね・・・・その頃のあっしと同じ年頃の女の子でした」
おトキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
泥吉「そのお嬢さんは、どういうわけか、あっしを檻から出してくれると、事情を聞いてきましてね・・・お恥ずかしい話、その頃のあっしは学がなかったもんで、言語を話すことができなかったんですが、そのお嬢さんだけは親身になって、あっしが言う猫語を理解してくれたんです。なんでも一緒に暮らしている獣人がいるみたいでした。心底羨ましいと思いやしたよ」
おトキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ぐわっ・・(反射的瞬間的に涙ぐむ顔をすかさず両手で覆う)
泥吉「そしてあっしを逃してくれたんです。別れ際にハグもしてくれやした」
吾郎「お嬢さん・・・・・」
泥吉「オトモダチ。それが、その子から教わった初めての言葉でした」へへへ
おトキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」グッ(顔を両手で覆いながら慟哭を抑える彼女の肩を強く抱き寄せる吾郎)
泥吉「その後、あっしもすぐに逃げれば良かったんですが、どうも、その子のことが気になっちまって・・・追いかけてみたら、勇敢にもそのお嬢さんは、スラムの支配者の悪ガキと決闘しているじゃありやせんか!あっしはなんとしても恩返しがしたくて、お嬢さんが勝つよう、陰ながら応援させてもらいやした」
一也「投げナイフ・・・・」
泥吉「その後、外街から彼女の言う通り、四番街にあるっていう、獣人が営むアンティークショップに行き、そこの主に事情を話すと、これまた同族思いの熱い男でしてね・・。食べ物を食わせてもらったり、紅茶もいれてくれやした。なんでも紅茶をいれるのが趣味だって。あの時の紅茶のあたたかさは今でも忘れねぇです・・」
鉄平「・・アニャニャ・カーン・・二世か・・」
泥吉「驚いたことにその男はグリムリンクスを知っているって言うんです。その時、ガキだったあっしでもすぐにピンときやした。このネコは大物だってね」
鉄平「闇社会ではな」しーーーーっ
泥吉「それであっしが帰れるよう、ご丁寧に馬車まで手配してくれましてね。もちろん「人間の御者付き」でした。それはもうたいそうな馬車でして、どこぞの貴族が乗っているものでしょうね。それに乗って、あっしは無事に仲間がいるフィールドまで帰ってこれたんです」
吾郎「ベックフォードの旦那か・・・・するってぇと、ヴェルドに立ち寄ったのは・・」
泥吉「ええ。あのお嬢さん・・キャロルムーアにお礼を言うためです」
おトキ「・・・・・・・・・・・・・・・」うっうっ・・(溢れ出る涙を必死に猫手で拭っている)
吾郎「本当に感動的な話だ」うんうん・・
泥吉「ええ。あっしが今生きているのも、あのキャロルムーアのおかげなんでさぁ」にかっ(同時に嗚咽して泣き始めるおトキさん)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(西陽に照らされたローゼンクロイツホスピタルのお花畑がオレンジ色に染まった中庭。ロージー一行は、黒猫に支えられた車椅子の女性の前で呆然と立ち尽くしている)
UBU「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(白衣を着た「少し髪が伸びた」彼女は、車椅子にぐったり座ったまま顔を俯かせている為、その表情はまるで見えない)
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(沸き起こる自分自身への怒りを眉間に激しくシワを寄せながら最大限の抑制力をもって震え殺している)
キンババ「嘘だろ・・・・ムーア・・・・僕だよ・・・ほら・・・・君と最初に学園で出逢った・・・」
ミオン「ムーア!!ほら、シオンだミャ!!会いたかったんだミャ!?私だって、ムーアにお礼を言いたかったんだミャ!!ねぇ、ムーア!!ねぇってば!!」
UBU「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴィルヘルム「どけ。ローゼンクロイツの医療術でも駄目なら、力づくで・・・・」
グッ(ヴィルヘルムの豪腕を掴む、もうひとつの豪腕な猫手)
BBB「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」バッ(俯いたまま、掴んだヴィルヘルムの腕を荒々しく振りほどく)
ヴィルヘルム「・・・・いつからなんだ?」
スッ・・(黒猫は俯いたまま二本の猫指を立てる)
BBB「二回・・・・二回も龍災を味あわされんだ・・・・・最初の龍災から、こいつの心はもう・・・・クタクタだったんだよ・・」グッ(車椅子を押す)
シオン「待って」
BBB「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シオン「約束する。この子の・・キャロルムーアの心は必ず私が取り戻してみせる」
BBB「・・・・・・・さぁ・・砂漠の夜は冷えるからな。もう中に入ろう・・」

キコキコキコキコ・・・(お花畑に挟まれた黄昏色の一本道を振り返らず真っ直ぐに進んでいく黒猫に押された車椅子のUBUを神々しく眩い夕陽が優しく包み込んでいく中、「おそらくは大事な話が終わるまで」待っていたのであろう、木陰から飛び出してきたチェルシーと思しきガルクネコマスクを被った浴衣姿のアイルーのシルエットがそんな二人に寄り添いながら共に光の向こう側へと消えていく...)
ヴィルヘルム「なんで黙ってた。ロージー」
ロージー「ごめんなさい・・・・あなた達の顔を見たら・・・・辛くて・・・・ごめんなさい・・・」(左肩のドスビスカスに慰められながら、顔を両手で覆って泣いている彼女の背後から眩しいばかりの夕陽が差してくる)
シオン「彼女を責めるのはお門違い。あなた達二人はムーアのそばにいて。守ってあげて」ザッ(それに颯爽と続くオトモガルクとオトモアイルー)
キンババ「どこに行くの!?シオン!!」(沈みゆく太陽に向かって歩いていくシオン一行に向かって)
シオン「私は・・・私のなすべきことをする。そして彼女の・・・あの子が失った光を必ず取り戻してみせる」
To Be Continued
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次回「あたちのモンハン日記/Anthem of a Dying lights」
第19話 「必ずまた逢いましょう」の巻
3/28(月)0時更新予定
こんな形で再会するなんて・・
もしもあの時のロックラックに帰れたら
ムーア・・君は・・・・
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