カーーーーーン・・カーーーーーン・・
(多彩な蝶達が舞う幻想的な旧後宮内の中央、現在は噴水稼働していない円型大噴水の真ん中に設置されている「一対の絡み合った龍像」の取り外し工事を淡々と続けている職人達。その周囲、本来、水場となっている噴水の中には、その服装から芸術家と思われる者達の遺体がところどころに、また重なり合いながら無造作に転がっている)

シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・」カーーーン・・カーーーン・・(アーチ型入口の外より壁際に身を伏せながら中の様子を窺っている)
セフィティス「・・・・・・・・・・・・・・」(噴水の向こう側でこちらに背を向けながら腕を組み、目の前で必死に絵画を「強要」されている画家達を監視している。また彼らのイーゼルを覗き込みながら、せかせかと見回っているカトゥッロの姿も)
コズンダ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」カラカラカラ・・・カラカラカラ・・(それらの光景が一望できるステージに繋がる幅広な階段の一番上に虚脱感と共に座り込んだまま、片手に握る長剣の剣先を意味もなく踏み板に引きずらせている)
シオン「・・・・・・・・・・(いつまでこんな馬鹿げたことを続けさせるわけ・・?)」カーーーン・・カーーーン・・
ふぁたふぁたふぁた・・・(シオンの目の前に「宝石のように輝く羽を持つ」マボロシチョウが何気なく飛んでくる)
シオン「・・・・・・・・(めったに人前には姿を現さないくせに・・・今はだめよ。あ~~虫網が欲しい・・!できれば星型タイプの・・)」しっしっ(と、仕方なく)
ふぁたふぁたふぁた・・・(願いが通じたのか、シオンから離れ、おもむろに宙を舞い上がっていくマボロシチョウ)
シオン「・・・・・・・・・・・・・・」ふぅ・・・
コズンダ「嘆かわしい。そう思っているのだろう」
シオン「!!」びくっ
カトゥッロ「滅相もございません。崩御された母君の思いを汲み、この後宮で政など無関心に弄んでいた先王の妾に賜死を命じ、事もあろうに自らを国の美として描かせた、傲岸不遜なスカルリーナの肖像画と共に灰と化す・・・これぞ変革と呼ぶに相応しい処置かと」
シオン「・・・・・・・・(一掃・・・・そして粛清・・)」
コズンダ「母上を自害に追い込んだスカルリーナが支配していたこの後宮を開放したまで・・・・根拠のない虚像を創造主と嘯く古い仕来りを廃除し・・そこに母上の彫刻を置く・・・」カーーーン・・カーーーン・・!
シオン「・・・・・・・・(そのモチーフにする為、お母様の絵を・・・・採用された絵画もまた、竜信仰を象徴する芸術品の代替えにするつもりね・・。先王の・・お父様の代まで受け継いできた、この国の芸術文化をも破壊するつもりなんだわ・・・・)」
カトゥッロ「まさに聖母。コズンダ様の創意に富んだ着想に皇后様も喜んでおられることでしょう」(大袈裟に振る舞いながら)
シオン「・・・・・・・・(母親を正妃と認めさせ、そして正史をも塗り替える・・・・自らの父親をその手で殺め、薬物に溺れているのは、母親の愛情が足りないから・・・・たぶん、彼はここを自分の憩いの間にするつもりなんだわ・・・・)」ふぅ・・・
ガコッ・・・よし・・(龍の彫像が乗っている台座を噴水から切り離し、彫像を横に寝かせながら慎重に運び出す職人達)
シオン「・・・・・・・・・(まずい・・こっちに来る・・・)」
コズンダ「待て」
ぴた・・(君主の命により、彫像を抱えたまま立ち止まる職人達)
コズンダ「自分の手で壊す。そこに寝かせておけ。お前達は引き続き、ここの古い装飾品を撤去しろ」ハッ(言われた通り、龍像をその場に寝かせ、広間の各所に散っていく職人達)
カトゥッロ「お前達も早くな」(怯え震える筆を走らせる画家達に発破を掛ける)
コズンダ「カトゥッロ・・。改革案を述べろ・・」カラカラカラ・・・
カトゥッロ「ハッ。今後、コズンダ・アヤ王国が行うべき改革、進むべき方針の大綱を示すものとして、まず税制改革が必要かと」
コズンダ「申せ・・」カラカラカラ・・・
カトゥッロ「ハッ。人頭税、土地税を見直し、信仰に関係なく課税することで聖職者特権を撤廃します。また徴兵を望む奴隷に対しては賦役を免除し、これを臣民の身分保障とすることで弱者層の支持も得られることかと・・」ちら・・(君主の顔色を窺うように覗き込む)
シオン「・・・・・・・・・(子供の頃、両親に銀行員になるよう強要されたこともあったわね・・・反抗しないで、簿記だけでも勉強しておけばよかった・・・)」はぁ・・
コズンダ「セフィティス・・お前の意見は?」
セフィティス「賛成です。今度の決闘裁判で罪人の武力をふるいにかけ、腕の立つ者がいれば将軍に抜擢するのも良いかと。イェル・ミナを看守長に任命したのは、コズンダ様の名案でございます」
コズンダ「無益な殺生はしないと?先程の画家のようにな・・・」フッ・・
シオン「・・・・・・・・(良かった・・・セフィティスは眠らせただけ・・・・それにしても一体どうやって、あんなに早く眠りにつかせたのかしら・・・)」ふむ・・
コズンダ「聖職者特権を撤廃すれば、お前はどうなる?カトゥッロ」
カトゥッロ「旧体制の改革の担い手である大臣、使者団の高位にあたる邪龍教徒の政治家や官僚達から財産と安全を剥奪します。新体制に従わず、尚も棄教しない使者団の信者は処刑し、高官達による政権の要職独占を抑止することで人事の停滞とは無縁になります」ヒヒョヒョヒョヒョ
コズンダ「自らが使者団を治める長老府の長となり、特権を独り占めするつもりか・・・」フッ・・
カトゥッロ「とんでもございません。新体制では国王が臣民に対し財産没収や処刑の権利を有するものとし、王権の安定を図るつもりです。信仰に束縛された官僚制を廃止し、厳格な政教分離を敷くことで、君主優位の原則を徹底した専制政治の確立を目指します」ひらり・・
コズンダ「余が命じれば・・・か・・。いいだろう。文教政策は他大陸を見習い、自由教育で構わん。だが官僚の養成を意図した教育は撤廃しろ」
カトゥッロ「ハッ。都にある行政学院の方針を変えさせます。それと・・・」ちらちら(周りの画家達や職人達をあからさまに気にしながら)
コズンダ「構わん」ぴっぴっ(気だるそうに手を振り、提言を催促する)
カトゥッロ「今後・・ハンターズギルドが干渉してくるおそれもあります。これに関しては・・」
コズンダ「あくまでも内発的な改革であることを示しながら君主の強権化を推進しろ。古いしきたりを排除し、再秩序化を図れ。不平等を前提とした共存こそ大陸本来の姿であると認識させろ」ふら・・(おもむろに立ち上がる)
シオン「・・・・・・・・(食物連鎖に弱肉強食・・・・平等な共存とは・・)」
コズンダ「コズンダ・アヤ王国の臣民はしきたりと信仰に屈しない真のアヤの民とみなし、これを臣民のアイデンティティになるよう植えつけろ。伝統的な制度と新体制を併存させるな。邪龍教に変わる信仰を広め新たな信仰を作れ。君主の逆鱗に触れることのない範囲で信教の自由や自治を認める・・・・・」ふらふら・・(千鳥足で階段を下りながら)
シオン「・・・・・・・・(お母様を偶像化する気・・・?)」(見つめる画家達も同じことを察したのか、更に筆を握る腕の震えが止まらなくなる)
コズンダ「邪龍などいう虚構に代わり、余が絶対君主となる」ガスッガスッガスッ!!(無表情のまま、横向きに置かれている龍の彫像を踏み潰すように幾度となく狂気的な蹴りを浴びせ続ける)
「あたちのモンハン日記」
Anthem of a Dying lights

肉まん君「・・・・・・・・(リスクを冒した分、収穫はあったな・・・やはり今回の件もハンターズギルドが絡んでいるようだ・・)」ちら・・(石柱の陰に隠れながら、目の前の交差リブ・ヴォールトな天井の陰に隠れているアンソニーを気にかける)
アンソニー「・・・・・・・・(改革案も聞けたことだし、頃合いだよ?シオン・・)」ちら・・
ふぁたふぁたふぁた・・・(見下ろすアーチ型入り口の陰に隠れているシオンのもとに先程のマボロシチョウが戻ってくる)
アンソニー&肉まん君「・・・・・(まずい・・)」
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・」ハ・・ハ・・・・(鱗粉が鼻に入ったのだろうか、くしゃみ寸前状態になる。マボロシチョウは役目を終えたと言わんばかりに優雅に広間へと戻っていく)
アンソニー&肉まん君「・・・・・(堪えろ・・!!)」ハラハラ・・
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・」ふがふが・・(鼻を上げたり下げたり、ちょっと変な顔をみせながら抵抗を試みてる)
アンソニー&肉まん君「・・・・・(頼む・・!!)」ハラハラ・・
シオン「ごっくん」
アンソニー&肉まん君「・・・・・(飲んだ・・・)」はぁ・・・
カトゥッロ「それではコズンダ様。私めはこれにて」(広間から声だけが)
コズンダ「長老府に戻るのか?」
カトゥッロ「その前に赦免の回廊へ・・」ククク・・
コズンダ「ほぉ・・・スカルリーナがいなくなったんだ。密会せずとも、ここに商人を呼んだらどうだ?かの一族は母の恩人。手厚くもてなせ」
肉まん君「・・・・・・(かの一族・・・カーンのことか・・?)」
カトゥッロ「有難きお言葉。そのように伝えておきます」ヒヒョヒョヒョヒョ
肉まん君「・・・・・・・(こっちの出方を見ようってことか・・・・気をつけろ、シオン・プラウズ)」タタタタタタ・・・・(忍び小走りスタイルで足早に外に出ていく)
アンソニー「・・・・・・・・(おじいさんがこっちに来るな・・・気をつけろよ、シオン)」バッ!!バッ!!しゅとっ・・てててててて・・・(交差リブ・ヴォールトな天井に背を向けて張り付いたまま、出口側の天井に飛び移り、音と気配を殺しながら着地すると、すかさず忍び小走りスタイルで外に出ていく)
シオン「・・・・・・・(おじいさんが来るわね・・・セフィティスに見つかる前に私も・・・って、ずっと同じ体勢で屈んでたから、足がしびれて・・・・)」クラッ・・・
ぐでん・・(シンプルに横倒れるシオン。しかも入り口側に)
シオン「・・・・・・・・・・・・・・(終わった・・・か・・?)」ちら・・(恐る恐る顔を上げる)
カトゥッロ「なんじゃお前は!?」
シオン「・・・・・・・・・・・・・・(チョップして気絶させようかしら・・・でもおじいさんだしなぁ・・)」う~~ん・・
セフィティス「・・・・・シオン?何してんだ?」(カトゥッロの背後から)
シオン「・・・・・・あ~~~~~、神殿内を散歩してたの。そしたらなんだか音が聞こえたもんで・・あ、外の黄金魚は釣ってないわよ。安心して」
セフィティス「ほら、カトゥッロさん。彼女、ハンターズギルドの・・」こそっ
カトゥッロ「むぅ・・・・」(怪訝な顔で)
コズンダ「どうした?」ふらふら・・・(蹌踉と少し右足をかばいながらこちらへ来る。おそらく壊れもしない彫像を蹴り続けたせいだろう)
シオン「素敵な宮殿でしたので、興味本位から入ってきてしまいました。ギルドナイツのシオン・プラウズです」(きちんと一礼する)
コズンダ「ほぉ・・・・ギルドナイトか・・・」
カトゥッロ「盗み聞きしていたのか?小娘」ふんっ
シオン「いえ。今、来たばかりです。中もすごい作りですね・・」ふ~む(天井を見上げながら)
カトゥッロ「ふん。余所者にアヤの芸術が分かるてか?早く行け」しっしっ
コズンダ「まぁ、良い。気にいったのならば、見て行けばいい」バッ・・(颯爽と振り返り、戻っていく)
シオン「だって」(とセフィティスに向かって)
セフィティス「また今度。さ・・」
シオン「はいはい(でしょうね・・。死体も転がっているわけだし・・・・って、それを承知で新王は・・・どういうつもりかしら・・・・単に存在を忘れているから・・?それとも薬物のせいでハイに・・・違う。苛虐な国政を敢えて見せしめることで国王の権威を誇示するためか・・・)」むぅ~~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(幅広の階段をよたよたと上がり、再び最上段に俯きながら腰を下ろすコズンダ)
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
カトゥッロ「さ、行くぞ」ぐいっ
シオン「それじゃ、セフィティス」ばいばい

セフィティス「ああ。また」
ねぇ、おじいさん 外のあんまり見たことない魚、あれなに?
鯛公望!!
釣ってみてもいい?
ダメ!!
(などと、ちいちゃい邪龍教徒のおじいさんに手を引っ張られながら通路を後にするシオン)
セフィティス「フフッ・・・」
コズンダ「ああいうのが好みか?」(ドーム型宮殿に彼の声が反響する)
セフィティス「フッ・・。お戯れを」
う~~~~~~ん・・・・・ひいいいいい!
(先程、セフィティスに眠らされた画家が噴水の中で目覚め、あたりの遺体に気づき、悲鳴をあげている)
コズンダ「今は気分が良い。余生を楽しめ」しっしっ(気だるそうに追い返すジェスチャーをする)
画家「あ、ありがとうございます!!」へこり
タッタッタッタッタッタッタッ
(慌てて、その場を後にする画家)
セフィティス「運が良かったな」
画家「し、失礼します!」へこり
バッ・・・・(画家が頭を上げた瞬間、振り乱れるミドルロングな髪に紛れ、首元の龍らしきタトゥーが一瞬、垣間見える)
セフィティス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
タッタッタッタッタッタッタッ
(逃げるように通路を走り去っていく画家)
セフィティス「すぐに戻ります」(ステージ上のコズンダに声を掛けると、彼は俯いたまま軽く手を上げ、返事をする)
To Be Continued
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次回「あたちのモンハン日記/Anthem of a Dying lights」
第111話 「モノクロの邂逅か・・」
3/6(月)0時更新予定
今日のおまけのコーナーは、私、シオンがお送りするわね
なんでも巷では「モンスターハンター デフォルメぬいぐるみ」
の完売商品が今年の夏に復刻するらしいんだけど、
その泡狐竜の顔がおかしいのよねぇ~♪
あの子なら、しっぽでぶたれてもいいかも
そんなわけで!
次回も見よう!読も見よう!!
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