シオン「もともとあの農場は私の家のもの。どうしようと勝手でしょ?」
ゲンス・ゴンス「なんだと?」
シオン「あなた達のような無法者を雇った両親の過ちを私が・・・いえ、私達が正した」スッ(両脇にいるオトモガルクとオトモアイルーの頭を両手で撫でながら)
カーブー「彼女の名前はシオン・プラウズ。UBUさんの盟勇だ」
「あたちのモンハン日記」
Anthem of a Dying lights
~アヤ北部首都、エル・ディアラ・サンドリア、マーケットエリア....

ガヤガヤガヤガヤガヤ
(賑わう街並みを歩いて行く赤装束の小柄な女性とブロンドヘアの行商人の男性)
イェル・ミナ「外街・・・そんな都市もあるのね・・」ガヤガヤガヤ・・

肉まん君「噂ですよ?よその大陸に憧れる夢見がちな人間の妄想かも」やれやれ
イェル・ミナ「そうよね・・・結局、私達は、このアヤのことしか知らないんだから・・・・。あなた、出身は?」ガヤガヤガヤガヤ
肉まん君「東部です。そこで商才を学んで、晴れて、都に来ることができました(ふぅ~~~・・こうもペラペラ嘘が出てくるのも、ユーリィが読んでいた本のおかげだ・・)」ガヤガヤガヤガヤ
イェル・ミナ「パパグラナーナか・・・羨ましいわ」ガヤガヤガヤガヤ
肉まん君「・・・・・・・(彼女達、ゲ・アゲルゾンはコズンダの私兵と聞いたが・・・政変後、使者団の長老達に手を下したのも彼女達のはず・・・・)ご出身は?」
イェル・ミナ「西部。昔も今も人の住むところじゃないわ」ふふ
肉まん君「・・・・・(西部・・・確か失望の谷といったか・・・クソッ・・・カーンの奴め・・肝心のアヤに関することはろくに教えてもらっていない。ジーナは引きこもったっきり・・・クライアントの個人情報など優先するんじゃなかった・・)」はぁ~~~~~
イェル・ミナ「びっくりした?谷の人間で?」くすっ
肉まん君「・・・その境遇がご自身の力になっているのですね」ガヤガヤガヤガヤ
イェル・ミナ「私は運が良かっただけ・・・。あのまま谷に残っていたら・・・・小さい頃、よく遊んだ友達とは、もっと思い出ができていたかも・・」ガヤガヤガヤガヤ
肉まん君「自分もです。大切な人より、自分のプライドを選択してしまった・・・」ガヤガヤガヤガヤ
イェル・ミナ「・・・・・あなた、名前は?」
肉まん君「ニックマン。そこから今は肉まん君と呼ばれています」
イェル・ミナ「ふふっ。へんなあだ名ね」
肉まん君「昔、あんまんが好きな友達がいて、その子に、こっちの名前も好きになってもらおうと思ってつけたんです」やれやれ
イェル・ミナ「その子が好きだったんでしょ?」くすっ
肉まん君「・・・・・・・・・・・(俺としたことが・・・どうして・・・・)」
イェル・ミナ「図星。ねぇ、それより、あんまんて何?」
肉まん君「え・・・・(しまった・・・こっちにはないのか!?重ね重ねカーンの奴め・・!!)」
イェル・ミナ「肉まんはお肉が入ってるあれのことでしょう・・・「あん」って何だろう・・」ふむ・・
肉まん君「正解はあんこです。あんこが入った蒸し饅頭。そんなのがあったらいいなぁ~って、子供の頃(危ない危ない・・・そういうことにしておこう・・)」ふぅ~~
イェル・ミナ「夢見がちな人」
肉まん君「え・・?」
イェル・ミナ「嫌いじゃないわ。そういう人」にこっ
肉まん君「・・フフッ・・・」
勇敢なハンター諸君よ!!
(如何にも饒舌そうな演説者の前に人だかりができている)
肉まん君「ん・・・」
日夜、狩猟に明け暮れる君たちの壮大なサーガは常に危険がつきもの!!
君たちは一度クエストを請け負ったら、自分の命は顧みず、依頼人から託されたタスクを達成するため、果敢にモンスターに挑む!!そんな勇猛なハンター諸君に我々は常日頃から感謝している!!
イェル・ミナ「そういうもの?」
肉まん君「ゼニー欲しさの場合もあるでしょうね」ふふっ
だが!!残された家族、恋人はどうなる!?
一家の稼ぎ頭を失い、路頭に迷う遺族の不幸を私はたくさん見てきた!!
遺族にとって最大の脅威とはモンスターではなく、ゼニーなのだから!!
そこでだ!!この「しあわせハンター保険」があれば・・・
(途端に群衆が遠ざかっていく)
イェル・ミナ「パパグラーナの保険屋ね。今のエル・ディアラ・サンドリアで宣伝しても意味ないのに」やれやれ
肉まん君「君たちがいるから?」
イェル・ミナ「そのつもり」ふふっ
信仰とはなにか!?アヤの創造主をなくして、アヤを治めることなど不可能!!
(別のところにまた人だかりができており、「タイプの違う饒舌そうな演説者」が)
肉まん君「使者団のメンバーですかね?」ガヤガヤガヤガヤ
イェル・ミナ「それはないわ。都の門が開かれたのをいいことに、おおかた、旧国王派の人間から小金を握らされたのよ」ガヤガヤガヤガヤ
捕らわれたグランドマスターの命運たるや!!
熱心な竜信仰を持つ彼を助けるため、立ち上がった一人の男がいる!!
イェル・ミナ「嘘でしょ・・・」
その名はデスカーブー!!
おおおおおお!!(盛り上がる観衆達)
イェル・ミナ「ああ・・・・・」クラッ・・
肉まん君「大丈夫ですか?」
イェル・ミナ「ええ・・・あの名前を聞くと・・・・・ちょっと待っててね」ザッ
肉まん君「・・・デスカーブー・・・・」
ビラ配りの男「ほら、そこのあんたも!」バッ(チラシを渡してくる)
肉まん君「ん・・・・・決闘裁判開催・・・グランドマスターの代理人・・・デスカーブー・・・・原告側は・・ゲ・アゲルゾン・・・・」
イェル・ミナ「あなた達!誰の許可を得ているわけ!?」
演説者「赤服・・・・散れ!!」
バッ!!ダッダッダッダッダッダッ!!
(演説者は演説台より飛び降りると、一味と思われるビラ配りの仲間と共に人混みの中へ散っていく)
イェル・ミナ「まったく・・・誰が噂を・・・」ガヤガヤガヤガヤ(肉まん君のもとに首を振りながら戻ってくる)
肉まん君「長老府。カトゥッロ様と、その美人秘書達ですよ。それより、追わなくても?手伝いますよ」
イェル・ミナ「いいえ。今の私の管轄じゃないし。放っておきましょ。カトゥッロ様がわざと噂を広めているのなら、それもイベントを盛り上げるため・・。それに、あんなのをいちいち捕まえていたら、牢獄が満員になっちゃう。ただでさえ、人気なのよ?うちのモーテル」ふふ
肉まん君「フフッ・・さ、行きましょう」スッ・・(もらったビラを丸めて懐にしまう)
ザッザッザッザッザッザッ・・・(人混みを抜け、寂れたバラックが立ち並ぶ外周エリアへと入っていく赤装束の女性と行商人の男は、なにやら話が盛り上がっている様子を見せながら茫洋たる断崖に向かって歩いて行く)
イェル・ミナ「ほんとに?自分を捨てるために下着姿でいたの?」
肉まん君「ほんと、恥ずかしい話。変わった格好や派手な身なりをして、あいつは常識にとらわれない凄い奴だ、って周りの人間に思わせたかった。今はもうしていないけどね」やれやれ
イェル・ミナ「それで何か収穫はあった?」
肉まん君「今までの自分じゃ絶対にやらない真逆のことをしてみて初めて分かった。自分もただの目立ちたがり屋だったってことを。感情とプライドだけにとらわれていては、世界を自分で狭くしているだけだって・・・そう思ったんだ」
イェル・ミナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
肉まん君「嫌なんだね?決闘裁判に出るのが」
イェル・ミナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ブブブブブブブブブ(上空より一匹のくすんだマゼンダのちいちゃいオオナナホシがイェル・ミナの右肩にとまる)
肉まん君「猟虫?」
イェル・ミナ「とは、ちょっと違うんだけど」ふふ
クク「新しいボーイフレンド?」こそっ(と、ヘッドホンのように彼女の耳元に張り付きながら小声で)
イェル・ミナ「こら!!」
肉まん君「??」
イェル・ミナ「なんでもないの。続けて」
肉まん君「ああ・・・なんの話だっけ?」ハハハハハ
クク「アジャリナは元気。けど、モンスター達は妙ね・・なんだか、ここのところ、ずっと寝たきりなの」こそこそ
イェル・ミナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」ザッザッザッザ・・・
肉まん君「・・・・・ん・・?」ザッザッザッザッ・・
ぽへぇ~~~~~~ん・・・・(バラックに挟まれた寂れた往来のど真ん中、ひとつの侘しい大タルがぽつんと置いてある)
ハロルド「ったく・・あいつら、知り合いなのか・・?」(蓋の隙間から光るいやらしい両眼)
なんでこんなところにタルが・・・
(背後より女性の声が)
ハロルド「いっ

イェル・ミナ「おかしいわね・・・タルはちゃんと積んであるはずなのに」
肉まん君「誰か動かしたんですかね・・・・・ん・・・・・・・!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(道の先に見える巨大な断崖の下、頭部以外、ルドロスXシリーズを身に纏った女性の後ろ姿が見え、その両脇には蒼いガルクと杏色の毛をもつネコの後ろ姿も見える)
肉まん君「!!(シオン!!ジークとミオンも!?)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(彼女達が向き合っている先には、切り株タイプの椅子に腰を下ろしている「手枷足枷をつけられた上半身裸なドボルヘルムの男(下はボロボロの白黒縞々囚人ズボン)」を中心に、彼の左右よりハンターライフルの銃口をそれぞれ向けている傭兵姿の男女、そして奇王剣を肩に担いだ鮮血のチャチャブーフェイクを被った大男がシオンを睨んでいる)
肉まん君「・・ゲンス・・・ゴンス・・・・・」(思わずその名前を小声で口ずさむ)
イェル・ミナ「ちょっと!!何してるの!?」ザッザッザッザッ
ハロルド「・・・・・・・・(この声と正直な気配・・・・イェル・ミナ・・?)」

シオン「ん・・・・」ちら・・
イェル・ミナ「何が起きているの?」(シオンの顔を見ながら)
シオン「セフィティスにあなたがここにいるって聞いて挨拶しにきたの。そしたら囚人が外に出ていた。それだけよ」(引き続きゲンス・ゴンスを睨みながら)
クク「彼のこと、取られちゃうかも」ぺしん(黙って、と言わんばかりに耳元に張り付いている彼女の鞘翅を軽く叩くイェル・ミナ)
ゲンス・ゴンス「ちっ・・・つくづくタイミングが悪い女だ」ズンッ!!(奇王剣を地面に突き刺す)
カーブー「看守長!!お助けください!!」(ドボルヘルムの表情を「情けない顔」にさせながら)
カリサ「はぁ!?あんた、恥ずかしくないわけ!?」グンッ!(助けを求めるドボルヘルムの後頭部に銃口を突き刺す)
イェル・ミナ「また無断で彼を外に出して・・・何を企んでいるの!?」ザッ
ゲンス・ゴンス「この男が俺に話があるといった。だから、あんたが派遣した監視の目から逃れるために外に出た。あんたこそ、ヘッジを移動させてまで、こいつらの会話を盗聴させているんだろ?」ふんっ
イェル・ミナ「あなたもそれに加担しているわけ?」
カーブー「そうなんです!こいつ、マジでやばいんすよ!?」
ダニー「てめぇ!!」ゴッ

肉まん君「ドボルヘルム・・・期待通り、問題を起こしくれやがったか・・」フッ・・
ハロルド「・・・・・・・・(横にいる男・・・・何者だ・・・・気配・・そして頭の中を読まれないように「訓練」してやがる・・・シリウスさんのように・・・)」
イェル・ミナ「説明しなさい」
ゲンス・ゴンス「・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・
カーブー「話せばいい。どっちを信用するか・・あんた次第だ」ケホっケホっ
ゲンス・ゴンス「・・・・・・。看守長。こいつは俺を買収し、脱獄を企んでいる。だから斬り捨てようとしていたところだ」
イェル・ミナ「その話を素直に信じろと?」
カーブー「ほらな」フッ・・
ゲンス・ゴンス「ちっ・・・クソ野郎共が・・」
シオン「あの男を信用しちゃダメよ」スッ・・(イェル・ミナの背後から小声で忠告する)
イェル・ミナ「彼を知っているの?」(ゲンス・ゴンスを睨みながら)
シオン「向こうの大陸で。彼は・・悪人よ。その手下も」
イェル・ミナ「・・・・・・・・・・・・・・」
肉まん君「頃合いか・・・・」ザッ
ハロルド「??」
肉まん君「ヘイ!!デスカーブー!!困っているようだな!?」ザッザッザッザッ
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・(振り返り、彼の存在を確認する)

ミオン「ニッ・・・・!?」バッ(その口を塞ぐシオン)
イェル・ミナ「彼のこと、知っているの?」ザッザッザッ(彼女の横に来た肉まん君に向かって)
肉まん君「ええ。自分の仲間です。俺と同じで新入りだったんですが、手癖の悪い奴でしてね。パン泥棒を働きやがった。まさかここでも問題を起こすなんてね。昔から、口だけの男なんです。おおかた、看守に気に入られれば、ここから出れると思ったのでしょう。な!?」(付け入る隙を与えないよう、わざと早口で)
カーブー「おお・・肉まん君・・・僕はここで殺されてしまう・・・」(ヘルムがまた情けない顔になる)
ゲンス・ゴンス「肉まん君・・・・そうか・・あの娘と一緒に襲ってきた小童か・・・・看守長!こいつらを信じるのか!?」
シオン「騙されちゃ駄目。囚人を使って、なにか企んでいるはずよ」
肉まん君「あいつはバカでも、素直な男だ。どうか許してやってください」
イェル・ミナ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
カーブー「肉まん君!俺の代理人になってくれ!!」
肉まん君「なんだと・・・?」
カーブー「俺が助かるには、もうそれしかない!!お願いだ!!助けてくれ!!」
シオン「だって。お願い、聞いてあげれば?」くすっ(イェル・ミナ越しに顔を覗かせながら「他人行儀な感じ」で)
肉まん君「・・・だったら、君が受けてあげれば?」(同じくイェル・ミナ越しに顔を覗かせながら)
シオン「はぁ!?なんで私が!?」
カーブー「おお、シオン・プラウズ!!お願いだ!!お助けあれぇ~~~!!」ゴチ~ん

シオン「!?」
ダニー「プラウズだと!?」チャッ(同じくその名前に反応したカリサと共に銃口を彼女に向ける)
ゲンス・ゴンス「こいつ・・・どこまで知っているんだ・・・」チッ・・
イェル・ミナ「あなたも関係があるようね?シオン」
シオン「あのヘルムの男は知らない。どうして私の名前を・・・・」ちら(肉まん君を睨む)
肉まん君「俺じゃない。あいつ・・・・・まさか同じ夢を・・・」ぼそっ・・
イェル・ミナ「それで、どうするの?シオン」
シオン「え?」
イェル・ミナ「あの男の代理人になるの?」
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら
ハハァ~~~~~~・・・・むくり・・
(と土下座をしているドボルヘルムの罪人がゆっくり顔を上げる)
シオン「??」
ちょいちょい(シオンに向かって手招きするドボルヘルムの怪しすぎる囚人)
イェル・ミナ「ダメよ、行っては」
シオン「大丈夫」ザッザッザッザッ(カーブーに歩み寄るシオン)
ゲンス・ゴンス「今度はこのお嬢様を誑かそうっていうのか?そっちの「坊主」も一緒にな」フッ
肉まん君「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シオン「なに?」スッ・・(ひれ伏すカーブーの近くでかがみ込み、顔を寄せる)
カーブー「一緒にUBUさんを・・キャロルムーアさんを助けて欲しい。頼む」
シオン「!!」
イェル・ミナ「何を喋っているの!?」ザッ
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・・(俯いたまま立ち上がる)
イェル・ミナ「??」
シオン「いいわ。彼の代理人。このシオン・プラウズが受けてあげる」
To Be Continued
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次回「あたちのモンハン日記/Anthem of a Dying lights」
第123話 「どうじょ」
4/17(月)0時更新予定
今日のおまけのコーナーは、私、シオンがお送りするわね
やい シオン ぬう(と暗闇より光るいやらしい両眼)
あら、ハロルド なに?
シオンは狩猟日記にも出ているから、いいよなぁ・・
・・でたいの?
・・・・・別に・・
・・・・(でたいんだ・・)
お願いってわけじゃないけど、いつものあれ・・俺も一緒にいい?
いつもの?
あれだよ、あれ いつからか、決まり文句みたいになってた、あれ
ああ、あれね
そうそう あれ
それじゃあ、一緒にいくわよ
う、うん・・
すぅ~~~~(二人一緒に大きく息を吸う)
次回も見よう!!読も見よう!!(二人一緒に元気よく)
■あたちのモンハン日記てなぁに?
■あたモン目次録