~水没林、マングローブエリア....
スイスイスイスイ・・
(マングローブの樹樹の間に広がる濁水の川を小さな青いカヌー(船首には白い肉球マークがプリントされている)が抜けてくる)
スイスイスイスイ・・(密林越しに見えるカヌーに「すっぽり収まった」青いどんぐりネコ兵士二名が、オールを器用に使って漕ぎ進んでいく)
どんぐりネコA「このあたりが匂うな・・・」ス~~~~・・(漕ぐのを止め、慣性の法則に身を任せる)
どんぐりネコB「ああ。ペイントの実の強烈な香りがプンプン匂うぜ」くんくん
どんぐりネコA「モーテルの連中め・・俺達の嗅覚を頼りに、密会の場所へ匂いで誘導するとはな・・」プカプカプカ・・
どんぐりネコB「てめぇらから同盟を媚びてきやがったくせして、戦地には未だ姿を見せてねぇ。北にも南にもだ。交易だけが目当てじゃあるまい?」
どんぐりネコA「連中だってギルドやクルセイダーズの存在は鬱陶しいはずだ。ましてや帝国軍はラインハルト自ら駐留してるんだ。俺達と手を組めば、致命的なダメージを与えられるというのに・・・何を考えているんだか・・・」プカプカプカ・・
どんぐりネコB「モーテルだって大将自ら来てんだろ?アマゾネス軍団を率いる・・え~と、なんつったか・・そうそう、フレデリック・ミストラルだ」
どんぐりネコA「その孤島の女帝が、今回の密会を指定してきたんだ。聞けばモーテルの資金源となっているヒロインドミネーションは、そのフレデリックのフェロモンから精製されているという。一度、その女帝が放つフェロモンをかいでしまったら、大陸中の雄という雄は、セックスやジェンダーに限らず、瞬く間に虜になっちまうらしい」ガポン(「猫耳付き」のガスマスクを付ける)
どんぐりネコB「それほんとかね?種を問わず、紫水獣の虜になっちまうなんて・・おらぁ~ごめんだぜ」シュボッ(木製カヌーのボディを利用してマッチに火を点け、タバコをふかす)
どんぐりネコA「おいおい用心しろよ?俺達は宰相様からのご伝言を承っているんだ。マタタビならまだしも、媚薬にやられて伝達出来ませんでしたなんて日には、間違いなくギロチン行きに・・・・ん・・」
スファアアアアア・・・・・
(カヌーが浮かぶ水面に紫色の化合物が流れてくる)
どんぐりネコA「毒素・・・しかも、かなり濃度が高い・・・近くまで来ているぞ」プカプカプカ・・
どんぐりネコB「えへへへへ・・・・」トロ~ん(まるでマタタビがキマってしまったかのように顔を赤面させている。また目の焦点は合っていない)
どんぐりネコA「おい!マスクを付けろ!!」(カヌーに収まった上半身を反転させ、後部座先でメロメロになっている同士を気遣う)
タポン・・(カヌーの前に広がる水面より、ショッキングピンクをした「まあるい海綿質」の襟巻の一部が浮き上がってくる)
どんぐりネコA「!!」
ザポン・・(濁水の水面から紫水獣の大きい顔面が「半分だけ」姿を見せる)
フレデリック「伝令、ご苦労」プカプカプカ・・
どんぐりネコA「あ、あんたが女帝、フレデリック・ミストラルか?」(目をハート型にさせながら飛びかかろうとする後部座席の同僚を抑えながら聞く)
フレデリック「如何にも。気遣いに感謝する」プカプカプカ・・
どんぐりネコA「い、いや・・こっちも確実に伝言をしないといけないのでな・・。一人で来たのか・・?」
フレデリック「そのカウントは間違っている。我らモンスターを数える時は一頭が正しい」プカプカプカ・・
どんぐりネコA「??」
フレデリック「置き去りになった憧憬・・・気にするな。学生身分の時、今の貴公と同じ過ちをした人間に・・親友がそう教えていたのを思い出しただけだ。それより、まずはそちらの伝言を聞こう」
どんぐりネコA「あ、ああ・・。あんた達、アクアパラダイスモーテルには、北部、或いは南部のどちらかに奇襲を仕掛けて欲しい。勿論、交易は継続。そっちがヒロインドミネーションを提供する代わりに、こちらからは兵器とドスコカ、それにいにしえ麻薬の用意もある」
フレデリック「なに・・?いにしえ麻薬の専売特許はブラックギルドのはずだが?」
どんぐりネコA「用意がある。一兵卒の俺にはそれしか伝えられていない。了承するかしないか返答を聞きたい」
フレデリック「こちらとしても交易は歓迎だ。我らのパフュームは既に実戦で試してみたか?」
どんぐりネコA「いや。戦地で使うにはまだ量に不足を感じている。それに他の勢力との交易にも使えるのでな・・切り札として保管してあるそうだ」
フレデリック「そうか・・・。こちらも次に渡せるパフュームが用意出来次第、また連絡をしよう。孤島からパフュームを輸出するのには、何かと面倒でな」
どんぐりネコA「ああ、その件なんだが、ついに水没林へDEAが入ってきた。あんたらも気をつけろ。海路にも連中の警備が出回ってるに違いない」
フレデリック「ギルドめ・・・して、DEAは今何処に?」
どんぐりネコA「安心しろ。捕らえて投獄してある」
フレデリック「それも切り札に保管しておく気か・・殺さずに投獄しておき、ギルドとの交渉に使う・・・利用は出来そうだが、ギルドは血も涙も無い連中だ。現場の捜査官ごときに大枚を叩くとは思えん。K&Rなら情に厚い相手を選ぶことだな・・・そう・・クルセイダーズならば・・・だが、卿らの力で彼らを捕獲するというのは無理というものか」フッ・・
どんぐりネコA「ならばお前たちが倒して証明してみせろ。交易以上の戦果を我が宰相様は求めておられる」
フレデリック「無論、そのつもりだ。だが、まだ時は熟していない」ブクブクブク・・(ゆっくりと潜水していく)
どんぐりネコA「盟約を破るつもりか!?」
フレデリック「諄い。クルセイダーズの本隊が到着次第、討伐に向かう。なぜ好戦的な彼らが討って出てこないのか、よく考えろ。それは戦の主体となる狩人が到着していないからだ」ブクブクブク・・
どんぐりネコA「分かった風な口を・・そいつらが来たら必ず出撃しろ!!いいな!?」
フレデリック「貴公は今の自分の状況に気を配れ・・・・では失礼する」ブクブクブク・・・
どんぐりネコA「なんだと・・・?」きょろきょろ
・・・・・・・・・・・・・・・
(左右を挟むマングローブの枝々の上から、ボウガン、或いは弓でこちらを確実に捉えているルドロスUを纏ったアマゾネス兵士達)
どんぐりネコA「ちっ・・・孤島のマフィアが・・たった二人の獣人相手にご苦労なこったぜおい!しっかりしろ!帰るぞ!!」ぽかっ
(後部席でメロメロ状態になっている相棒の頭を小突く)
「あたちのモンハン日記」
~Fourth Stage~
~フェイリンメイリン国、領内....
みゃあみゃあざわざわみゃあざわざわ
(相変わらず領内はせかせかと働く猫民で溢れかえっている。そんな「猫混み」の中、二人のセルタス猫と、頭の毛をリーゼント風に固めた茶アイルーが神殿へと繋がる公道を歩いて行く)
ボニー「イタタタ・・まったく、二日酔いで街を歩くなんて久しぶりだよ。君たちキャッツセインツの歓迎会はいつもあんなにどんちゃん騒ぎなのかい?」ふらふら
ダミアン「ハッハッハッハッ。みんな嬉しかったのさ。革命を戦い抜いたクルセイダーズのキャットが来たんだ。その英雄二人が語る武勇伝を酒のつまみに興奮しない奴なんて猫にして猫にあらず。本能を失った獣人ほど悲しいものはないだろ?」
純平「声が大きいぞ。もっと俺達の話を聞きたければユクモに来ればいい。ここにはない温泉もあるしな」
ダミアン「それは遠慮しておくぜ。神殿の連中ほどラディカルじゃないが、人間は信用出来ねぇ。クルセイダーズでリスペクトするのは、あんた達、獣人だけだ」スッ(シケモクを口に咥える)
ボニー「うちのリーダーと鉄平に会えば、その心の棘も取れるさ」イタタタ・・
ダミアン「龍之鉄平・・・花嫁泥棒の英雄・・・か・・。しかし驚いたぜ。あのジェラードもあんた達の仲間だったなんてな。道理で物覚えがいいはずだ」カスッカスッ(明らかに湿気ったマッチの火を一生懸命つけようとしてる)
純平「そのゲルハルト・・ジェラードは何処に行った?酒場で目覚めた時には既に姿はなかったが・・」きょろきょろ
ダミアン「壁塗り。ここでは俺の「弟子」ってことになってるんだ。今頃、工房の連中と城壁作りを手伝っているよ」カスッカスッ
ボニー「ほんと、彼ってなんでも器用にこなすよね。主人に似なくて正解だ」イタタタ・・
純平「それで、今日はどこに案内してくれるんだ?このまま神殿に入るわけでもあるまい?」
ダミアン「まぁね。神殿に入るには工房の人間でも「召喚状」が必要だ。それなりの理由が無ければ中に入ることは許されねぇ。ボニーの姐さんみたいに、騒動にかこつけて侵入でもしない限りな」シュボッふかぁ~・・
ボニー「それを狙っているんじゃないのかい?君たちセインツがサボタージュでも起こして、その隙に牢獄のロイ・ファウラーを救出・・いい感じじゃん」イタタタ・・
ダミアン「残念。俺達はあんた達ほど、腕っ節に自信がある奴ばかりじゃないんでね。サボタージュでもなければテロでもない、アナキストの反乱でもなければ主義者の革命でもない。そうだな・・強いて言うなら無血革命かな」ふかぁ~・・
純平「セインツ結成のきっかけは、労働党のメンバー募集なんだろ?昨晩、俺の隣でピッタリくっついてた剣豪ネコから聞いたよ」
ダミアン「俺をその気にさせたフィクサーが、最初にそう言ってそそのかしたんだ。だが、人間社会を代表する労働党のように「ゆりかごから墓場まで」なんて、強いプロパガンダを主張すれば、この国ではすぐにギロチン行きさ」ふぅ~~~~~
ボニー「じゃあどうやって無血革命をするのさ?」
ダミアン「セインツを主体としたデモクラシー運動は、血の海の先にある」ピッ(数センチしかなくなったタバコを指で弾いて飛ばす)
純平「・・・・・俺らを利用する気か?」
ボニー「え・・」
ダミアン「・・・・・・・・・」ちょりちょり(と、髭を触りながら俯くその口元はほころんでいる)
ボニー「どういうことだい?純平」
純平「彼が歓迎しているのは、武勇伝でも俺達でもない。こうしている今も北部と南部で戦いを繰り広げている、神殿の騎士団とクルセイダーズの領内突入さ」
ボニー「本格的な戦いに紛れて、ロイ・ファウラー救出と政権奪取か・・・悪い猫だ、君は」こちん(ダミアンを軽く「裏拳」でぶつ)
ダミアン「最も理にかなってるだろ?君らの武力をもってすれば、目の敵である神殿の連中も排除、自ずと工場長だって救える。だろ?」
ボニー「まったく・・このヤンキーキャットに何か言ってやりなよ、純平」
純平「その分、潜入工作のアシストと、領内での情報提供をみっちりやってもらうさ。同盟ってことでいいか?」
ダミアン「英雄たちと盟を結べるなんて大歓迎だ。乗ったぜ」カチン(純平と拳を叩き合わせる)
ボニー「ハングリーな猫はしっかりしてるね・・・って、仮にボクらがニャン=ジュストに勝ったとして、その後の領内はどうするつもりなのさ?」
ダミアン「言ったろ?デモクラシーの狼煙はあんた達が上げるのさ。俺達はその煙に追い風を吹かせ、煙が去った後、残った猫民だけで小さな所からスタートするのさ」
純平「・・・・・・・。一からやり直すつもりか?この領内にいる多くの猫民が、お前の吹かせた風に乗ってきたらどうするつもりだ?」
ダミアン「さぁね。予想出来ない未来を考えるのはあまりにもネガティブ過ぎる。だが、その仮定で生まれる悲劇的なバッドエンドのフラグをぶっ壊すプランもまた想定できる。その為のキャッツセインツなのさ」パチリん(ウィンクをかます)
ボニー「彼、似てるかも・・って、あんまん女の顔を思い出したら余計に頭が痛くなってきた」イタタタ・・
ダミアン「なんだぁ?」
純平「大剣を持たないハンター・・もとい、ニャンターか・・。お前が束ねた無数の個性という種をしっかり芽吹かせることだ。そうすれば、ロベスニャエールが描いた未来を切り開くことが出来るかもな」
ダミアン「♪♪」(満面の笑みを浮かべて応える)
ザッザッザッザッザッザッザッザッ
(前方からゴアネコシリーズを纏った獣人達が歩いてくる)
喉あらば叫べ 耳あらば聞け 心あらば祈れ
(ブツブツと経文を唱えながらボニー達の前を通り過ぎていく邪龍教徒の行列)
ボニー「・・・・・・・(間違いない・・・いにしえ麻薬の匂いだ・・。だとすれば、彼らは薬で洗脳されているのか・・?)」ザッザッザッザッ・・
純平「問題は領内で猛威を振るう、あのウイルスだが・・・」ザッザッザッザッ・・
ダミアン「信仰に対抗できる抗生物質というイデオロギーが通用する細菌じゃあなさそうだ。俺の予感が間違ってなければ・・・」ザッザッザッザッ・・
純平「あの連中もまた、俺達同様、大歓迎するつもりか?」
ダミアン「俺にはドラッグ信者があんた達に勝てるとは思えねぇ。最も、その背景にあるクソ共を始末するのも、あんたらの仕事だろ?」にや
純平「オフコース・・」ふぅ~~~~
ダミアン「薬といえば、先日、DEAの捜査官三名が領内に強行しようとして捕まったらしい。狙いはあんた達と同じだろうな」
ボニー「・・・・・・・・・」ぴくっ
純平「DEA・・・そうか・・ついに彼らが動き出したか・・」
ボニー「彼らは無事なのかい!?」ガッ(ダミアンの胸ぐらを掴み上げる)
ダミアン「ちょっど、どうしたってんだよ!?」
純平「よせ、ボニー。ニャン=ジュストは彼らを捕虜として利用する気だろう。神殿の騎士団との戦いに備えた切り札としてな。それまでは安易に殺したりはしないさ」
ボニー「ニャン=ジュストめ・・・くそっ!!」ダッ
ダミアン「おい!そっちは神殿だぞ!!」
ダッダッダッダッダッダッ
(ピラミッド型の巨大建造物へ繋がる公道を一直線に掛けていくセルタスボニーの後ろ姿)
ダミアン「いいのか?」
純平「彼女だってバカじゃない。何かを調べにいったのだろう。なに、この装備がある限り、そう簡単にバレやしないさ」
ダミアン「頼むぜ。あんた達は俺達にとっての切り札なんだからよ。DEAの捜査官も、工場長と一緒に助けちまえば、ノープロブレムさ」
純平「簡単に言ってくれるぜ。まずは南部に駐留する鏖逐将星を倒してからだ。お前たちの作った兵器以上に厄介な猫だよ」やれやれ
タッタッタッタッタッタッ・・・
(公道を掛けていくセルタスボニーの姿が遠のいていく)
ダミアン「なぁ・・ボニーの姐さんは二日酔いになったのが「久々」だと言っていたが、前回はいつなんだ?」(目線の先にはボニーが陽気に歩いている)
純平「・・・・・遠い昔さ。婚約者を失ってからだ」
ダミアン「・・・・・・・。どんな男だったんだい?」
純平「さぁな・・。詳しくは知らないが、彼女の婚約者もまた、いにしえ麻薬の出処を潰そうと調査していたらしい。が、逆に敵組織に捕まってしまい、薬漬けにされた挙句、麻薬常習者として処刑されてしまったらしい」
ダミアン「悲恋による義憤か・・彼女の原動力は・・。辛いな・・」
彼の者の名は・・彼の者の名は・・
(巨大なピラミッド型建造物を背景に、読経しながら歩いて行くゴアネコの行列。それとは対照的に神殿へと向かって一直線に掛けていくセルタスネコの姿も見える)
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次回「あたちのモンハン日記」ザ・ストーリーモードはさ!?
5/6(土)0時更新 「これで生きる目的が確実に出来た」の巻
をお送りいたします♪ほいだらさ!次回もシンプルに読も見よう
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「大歓迎するつもりか?」の巻
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