~ヒンメルン山脈麓、原生林地帯....

ザッザッザッザッザッザッザッ!!
(一人称視点。樹海の森を凄まじい速度で駆け抜けていく)
バッ



(直進したまま大木の枝に向かって飛び上がり、両手でそれを掴むと鉄棒の要領で華麗な空中前回すると、その推進力と勢いを利用して前方に見える一際高い大木の枝に飛び移る)
・・・・・・・・・・・・・・・・
(曇り空の下、森フィールドを一望できる高木の枝上から周囲の様子を素早く目視すると、そう遠くはないエリアから白煙が上がっているのが目視できる)
ダン!!
(それを確認するやいなや、そのエリア方向目掛けて躊躇なく飛翔していく)
ブワッ・・ブシュウウウウウウウ!
(雲天目掛け飛び上がった頂点に達すると黒衣に覆われた左腕の袖を瞬時に捲りあげ、おそらくずっと口に咥えていたのであろう小銃型注射針を右手で掴むと、素早く左腕の関節部付近に注入していく)
ドウウウウウウウウン!!
(見上げる視界に映る灰色の空が、覚醒を示す鼓動音と共に凄惨なマゼンダに染まっていく)
ブン!!
ビュオオオオオオオオオ

(注射針を空中で投げ捨て、視界の前で黒衣に包まれた両腕をクロスさせながら森の中へ急降下していく)
ガササササササササササ!!
(煩わしい木々の小枝や葉っぱが視界を塞いでいく中、慌てて飛び去っていく小鳥たちの鳴き声も混ざって聞こえてくる)
ダン

(力強く着地するやいなや、その反動を利用して森の中を駆け抜けていく)
ギャアアアアアアアアアアア!!
(突如、視界の右側前方に見える茂みの中より小型の鳥竜種(ランポス)が飛び出してきてはけたたましい咆哮と共に襲いかかってくる)
ソイーーーーーーーン・・・・
(スーパースロー。空中より奇襲を仕掛けてくるランポスがよだれを垂らしながら大口を開け、その鋭い牙を見せながら刻々と迫り来るのを確実に捉えながら両手をそれぞれの肩越しに背中へと回し、両刃の黒い刀身に大陸古代文字が刻まれた一対のショートソードを抜く)
ショルン・・・・
(ランポスが両手の尖爪を剥き出しに襲いかかってくる中、左右の手に握る黒い短剣から一瞬それぞれの手を離し、空中に浮かぶ一対の柄を逆手に握り変える)
ブシャアアアアアアアアア!!
(スロー解除と同時にすっ飛んできたランポスの両眼目掛け、両手に握った黒刀をためらうことなく突き刺す)
ズシュウウウウウウウウ!!
ダンッ!!
(奇声を発しながら前屈みに倒れてきたランポスの両目に突き刺さったツインソードを抜き上げると傷口から鮮血を激しく吹き上げるも、視点の主はそれに構うことなく倒れてくるランポスの頭部を踏み台に大きく前方へ飛んでいく)
スチャッ・・ダッダッダッダッダッダッダッ!!
(空中上で双剣を背中に納刀して着地すると、何事もなかったかのように再び走り出す)
バッ!!
ボオオオオオオオオオ・・・・・
(森を抜け視界に入ってきた部族集落のような盆地エリアの隅々に建てられた茅葺き(かやぶき)の仮設住宅から、もれなく火が上がっており、おそらくは襲撃があったことを意味している)
ソイン・・・
(再び背中の双剣を抜いて構え、周囲を警戒しながら燃え上がる集落の中に入っていく)
ンボオオオオオオオオ・・・
(激しく燃え上がる一棟の仮設住宅の中を慎重に覗くと、胸に矢を射たれ息絶えている「一家族」の遺骸が所々に転がっており、ここで何があったのかを証明している)
パチパチパチパチパチ・・・
(住居を抜け、周囲を見渡すと、そこらじゅうに山賊の遺体が転がっているのが確認でき、その一部に引火して燃え立つ炎が、燃え上がる藁(わら)から飛び散る火の粉に交えて、集落エリアに薄気味悪い死灰を漂わせている。また遺体の中には老人だけでなく、子供も混ざっていることから無差別に殺されたことも窺え、見るからに近衛兵が好むであろう銀製ランスが背中の中心に突き刺さったまま朽ち果てている遺体もある)
ソイン・・
(視界の主はそれを見届けると静かに双剣を背中に納刀する)
「うう・・・・・・・」
バッ!!(慌てて声が聞こえる方を振り向く)
「助けて・・くれ・・・・・・」ンボオオオオオオ・・(火災により倒壊した建造物の残骸から声が聞こえる)
ダシャーーーーーーーーン!!
(視界の主が燃え上がる木板を蹴り飛ばすと、中からうつ伏せになった一人の山賊の男が姿を現す)
「何がありました?」スッ・・(身を屈めて男に接近する)
「襲われた・・・王都の衛兵に・・・・」ハァ・・ハァ・・・(頭から血を流し、うつ伏せのまま顔をこちらに向ける髭面の山賊)
「拠点の場所をリークされたようですね。誰が犯人か検討はつきますか?」
「・・デーモン・・・・・財宝も持ち逃げしやがった・・・」
「最初から病気など患っていなかった・・そうですね?」
「・・・あいつは災厄から逃れ・・シュレイドを捨てて、俺たちを頼りにしてきた・・」
「アーロン・ロザリーをあなた達に育てさせる為。そして彼に教養と武勇を与え、自分の護衛として成長させた。デーモンもまた、あなた達には病気だと振る舞い、その裏では虎視眈々と肉体が怠ることなく鍛え上げながら、この機会を伺っていた・・・アーロンはそんな父親の画策などつゆ知らず、襲撃から父を護りながら逃げた・・・。デーモン・ロザリーは金品を持ったまま逃げたのですか?」
「・・違う・・・財宝を持っていては、アーロンに疑われちまう・・・・あいつは自分の過去すら実の息子に教えていない臆病者だからだ・・」
「アーロン・ロザリーは父親から、自分はこの集落で生まれたと嘯かれ、それを信じ込んでいました。目的は?」
「・・自分がシュレイドの暴君だと知られたくなかったから・・・俺たちも奴のその「演技」に騙されちまった・・・あいつは最初から、俺たちの財宝が・・目当てだったんだ・・・」
「持ち逃げしていないということは、どこかに隠したのですか?」
「たぶんな・・・財宝を資金源に、また悪巧みをするに違いねぇ・・・」
「・・・・・・・・。二人が何処に逃げたか分かりますか?」
スッ・・・・(うつ伏せ状態の山賊は力を振り絞って上を指さす)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(視点の主がその方向を見上げると、広大なヒンメルン山脈が威風堂々と聳え立っている)
「・・白装束の狩人・・・ロザリー親子は彼らの拠点を目指したと?」
ンボオオオオオオオオオ・・・・・・
(振り返ると山賊は既に力尽きてしまたった様子だ)
スッ・・(視点の主は立ち上がり、おそらく頭に被っていたのであろうフードを脱ぐ動作をみせる)
ガバッ!!
(その隙を見計らって、死んだフリをしていた山賊が突然襲いかかってくる)
「!!」
オオオオオオオオオオオ!!
(雄叫びをあげる山賊の見開いたブラウンアイに、冷静な表情を浮かべるジーナ・ジラントの美顔が投映される)
ズシュッ!!
(ジーナは山賊の腹部に黒い短剣の刀身を迷いなくざっくりと突き刺す)
ズルッ・・・(ジーナにもたれかかるように倒れてきた山賊はそのまま顎を彼女の肩に乗せる)
ハァ・・ハァ・・・・・(息を切らせ、項垂れたままジーナの後ろ首を見つめる山賊の瞳に「邪龍のタトゥー」が映り込んでいる)
バスーーーーーーーーン!!
(それを振り払うように容赦ない肘鉄をもって山賊を大地に叩き落とすジーナ・ジラント)
グシャーーーーーーーーン

(倒れた山賊の顔面をすかさず黒い安全靴の重厚なソールで踏み潰す)
グチャ・・・(鮮血のミンチ状態になった頭部から足を引き抜くと髪の毛も同時に抜け落ちる)
・・・・・・・・・・・・・・・
(軽く一呼吸してから、盆地エリアの周囲を覆い尽くす雄大なヒンメルン山脈を見上げる)
ジーナ「如何が致しましょう」(山脈の遥か頭上にどよめく雷雲が見える)
このまま泳がせろ。デーモン・ロザリーは未だ黒き契約の最中にある。
奴が再びどんな絶望を見せてくれるのか今から楽しみだ・・・・クックックックッ・・
バシュッ・・(脳内の通信が生きているかのようにジーナの視界に一瞬、惨烈な紅紫のノイズを走らせると、再びヒンメルン山脈の雄大な姿が映し出される)
Recollection No.1_04
バサッ(フードを被る動作を見せるジーナ視点)
ジーナ「やはり手土産は必要なかったようですね」(見上げる山脈地帯の上を火竜が飛び去っていく)
ボオオオオオオオオオオ・・・・・
(揺らめく火災の灯りを受けながら、少し暗がかった森の中に入っていくジーナ視点)
ボオオオオオ・・・・・・・・・・
(邪眼が通信を切ったかのように、視点が森の深淵に進むと共に視界を真っ黒に塗りつぶしながらフェードアウトしていく...)
To Be Continued

★年内のストーリーモードは今回で終了となります。
年末年始の予定については12/29(土)0時更新予定の中継ぎ記事にて告知致します★