~陽炎城....

ちゅんちゅん

(ひときわ高い石垣の上に風情ある天守や櫓等を備えた立派な城郭の屋根に見える鯱部には、金色に施された豪壮な「一対の陽炎龍(炎王龍と炎妃龍)」が仲睦まじく向き合うように装飾されている)
なりません

(そんなお城の中より女中らしき声が・・)

お菜々の方(役:炎妃龍ルナストラ)「・・・・・・・・・・・・・・」ドスンドスン・・(やたらと広い城内の廊下を直向きに進む、蒼い優美な着物を纏った炎妃龍の女領主。その後ろから無数の女中たちが慌てながら追いかけていく)
女中「一人で農地に参られるなど、危険でございます!!どうかお考え直しくださいませ

お菜々の方「だまりなさい!!」キッ
ぷぅ~~~~~~きゃああああああ・・ごろごろごろ

(炎妃龍の振り向きざまの「ひと吹き」による風圧効果により、すってんころりんとピカピカな木床を転がっていく女中たち)
お菜々の方「相次ぐ耕作地での畑荒らし・・・もう黙ってはおられません!!」
女中「で、ですが、その件は町奉行にと・・・」
お菜々の方「一行に犯人が捕まらぬではありませんか!!」
ぷぅ~~~~~~きゃああああああ・・ごろごろごろ

(またしてもひと吹きを浴びせられ、きれいに廊下を転がっていく女中たち。がんばれ)
お菜々の方「聞けば犯人は姿をくらますことができるとか・・・既に城下では幽霊の仕業ではないかと良からぬ噂が広まりつつあります。そのような曲者ならば、わたくしが直々に捕らえて差し上げましょう」ドスンドスン・・
女中「なりません

お菜々の方「私がこの領地を開墾したことをお忘れですか!!」キッ
ぷぅ~~~~~~きゃああああああ・・ごろごろごろ

(次々ときれいに転がり、それぞれ背中から柱にぶつかっていく女中たち。がんばれ)
お菜々の方「100万石ゼニーを有するとまでいわれるようになったこの領地を育む為、共に尽力してきた領民を脅かす輩を見逃せというのですか!?それに畑荒らしの犯人は、おチェルが村人と一緒に建造を手伝った鎮守社(鎮守神を祀る社)をも破壊したと・・・よもや許すことは出来ません!!」
女中「お怒りはごもっともですが、どうか、どうか・・!!」
ぷぅ~~~~~~きゃああああああ・・ごろごろごろ

(まるでブラックホールに吸い込まれるように廊下の奥へと豪快に転がっていく女中たち。中には風圧に抵抗しようと木床に爪を立てて必死に堪えている女中もいる。ファイト)
お菜々の方「絶対に犯人は・・・・・むっ!?誰です!!」バッ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(回廊から見える外景色には誰もいない)
お菜々の方「気のせいでしたか・・・では参ります!!」
ブワッサ!!ビュオオオオオオオオオ!!
(回廊から颯爽と外へ飛び立っていく着物を着た炎妃龍)
女中「奥方様ぁああああああああああ

女中「おいたわしや・・・かつて人も住めぬような荒れ地を切り開き、墾田ニャー年私財法に基づいて正式に領主となられた奥方様は、この領地を誰よりも思っているがあまり、畑荒らしが心底、憎いのですわ・・」うう・・
解説しよう!そうなのだ!「墾田ニャー年私財法」とは、猫川B宗の治世に発布された法令で、墾田(自分で新たに開墾した耕地)の永年私財化を認める土地法なのだ!!えらいぞ!B宗!!
女中「その畑荒らしの手によって社が壊されていたことを姫様が知り、お泣きになられたことに対してもひどくお怒りなのよ・・」
女中「無理もないわ・・奥方様は孤児であられたおチェル様を養子に引き取って、我が子同然に育てて来られたのですもの・・」
女中「聞けば奥方様は、城下町の発展に勤しんでおられた頃も孤児であった子を養子に迎えられたことがあったとか・・」
女中「なんでもその子は、奥方様とご一緒に墾田をなされた旦那様が、領地を去られる時に引き取って行かれたと聞きましたが、本当なのですか?」
女中「ええ・・奥方様は旦那様が去られた後、この天守閣の上に夫婦の陽炎龍を装飾させたそうなの。奥方様は今も旦那様のお帰りを待っておられるのよ」嗚呼・・おいたわしや・・(と、女中一同、大袈裟に屈み込み、袖で涙を拭う)
女中「どうして旦那様は奥方様を置き去りに、領地をも捨てて行かれたのでしょうか・・」
女中「さぁ・・なにせ旦那様を知っておられるのは奥方様と最初に養子に迎えられた子だけ・・・今や奥方様にとって、おチェル様だけが心の支えなのよ・・」嗚呼・・おいたわしや・・
女中「姫様は今どこに?」
女中「灰虎ノ助様をお連れして、城下に出られたと。大方、町奉行所にでも行かれたのだわ」
女中「姫様も奥方様に似て正義感のお強い御方・・・私達もこうしてはいられないわ!いつ奥方様と姫様が戻ってこられてもいいように、お食事の準備をして待っていましょう!」
おお~~~~~~!!
(回廊の外より士気を高め合う女中達を見つめる「幽霊ステルスモード」の炎王龍が「透けながら」浮かんでいる)

是流兵「おルナ・・・・・」ポワワわぁ~~~~ん

こっちの世界のゼルベっちゃんも
ワケあり古龍感満載!!
「あたちのモンハン日記」
新春SP三夜連続
大江戸怪異捕物帳2019
~陽炎城、領内耕地....

へぇ~~・・ああ・・へぇ~~・・・
(一生懸命、何やら説明しているおチェルに対し、まったく関心なさ気な返事をしながらあぜ道を行くおパノ。二人の後からは灰虎ノ助が周囲の畑を気にしながらへこへこと続いていく)

おチェル「ほんとうにょ!!畑荒らしは姿を消せるお化けなんだにょ!!」むきぃ~~
おパノ「へぇ~~・・。おばけねぇ・・」ふ~~~(タンポポの綿毛をふ~しながら歩いている)
おチェル「ほんとうにょ!!」ぺしぃ~~~~ん


灰虎ノ助「姫様の言っていることは本当です。農地を見回りした多くの者が、姿の見えない化物が確かにいたと証言しております」きょろきょろ(脇差を握りしめながら警戒している)
おパノ「化物・・見えない・・・へぇ~~・・」まだちんじて(信じて)ないにょ

灰虎ノ助「危険故、現在は奥方様の配慮で農民は城下に避難させているのですが、もしこの状況が続くようならば、今年の収穫はあきらめなければなりません・・」しょんげり・・ぐぅ~~~~(肩を落とすと同時に腹がなる。おそらく気苦労からろくに食べていないのであろう)
おチェル「作物が可愛そうにょ・・」(すっかり荒廃してしまっている畑を見つめる幼女猫)
おパノ「・・・・・・・・・・・・・」(それとなくおチェルが見つめているものと同じものを捉える)
灰虎ノ助「む・・あれを御覧ください!」
・・・・・・・・・・・・・・
(あぜ道の側道に小さな祠の残骸が散らばっている)
灰虎ノ助「またやられてしまたっか・・・クソっ!!」
おパノ「ありゃりゃ」すててててて

かちゃり・・こちょり・・
(身を屈めて健気に残骸を片付けるおチェルのちいちゃな後ろ姿)
灰虎ノ助「今日ここへ姫様をお連れしたのは、最後のお社を確認するためだったのですが・・これですべて壊されてしまった・・」ガクン・・
おパノ「危険を冒してまで。どうして?」かちゃり・・こちょり・・(片付けをしているおチェルを見つめながら灰虎ノ助に問いかける)
灰虎ノ助「この広大な農地に建てられたすべてのお社は、姫様のご希望により建造されたものなのです。しかも姫様は一つ一つのお社が完成するのを見届けたいと、毎日、農地を訪れては職人達のお手伝いをなさっていたのです。本来ならば城下の暮らしには縁のない領主のご子息が、それもあんな小さな体で一生懸命、木材を運び、時には怪我をして泣きながらも、すべては領民に豊作があるようにと・・この農地のお社には、姫様の願いが込められていたのです!それを・・・・それを・・・なんて酷いことを・・!!」
ダッ

灰虎ノ助「姫様を城下まで頼みます!私はなんとしても畑荒らしを捕まえてみせます!!」ダッダッダッダッ
おパノ「あのぉ・・・・・・」
しくしく・・かちゃり・・こちょり・・
(泣きながら先の尖った木片の残骸を小さな猫手で片付けているおチェル)
おパノ「・・・・・・・・・・・・・」(光沢感ある菖蒲色の瞳に小さな幼女猫の背中が投映されている)
でたな!!化物め!!
(畑の向こう側より灰虎ノ助の怒号が響き渡ってくる)
おチェル「虎ノ助の声にょ!!」
おパノ「離れないでください。絶対に私から」スチャ・・(着物の後ろ襟の中より愛用の火縄銃を取り出す)
灰虎ノ助「うわぁあああああああ!!」ずでぇ~~~ん

ヒョおおおおおおおおお・・・
ラメラメ・・ラメラメラメ・・・・
(不気味な呼吸音と共に全身が水のように透過した謎の巨大生物が目の前に現れる)
灰虎ノ助「貴様が姫様のお社を・・・覚悟しろ!!」ダッ

しょっぱぁ~~~~~~~ん

(謎の物体から長い舌が伸びてきて灰虎ノ助の脇差を弾き飛ばしてしまう)
灰虎ノ助「クッ・・!!」じりっ・・
ドウーーーーーーーーーン

ドウーーーーーーーーーン

(透明体の生物に向かって放たれる二発の火炎弾)
おパノ「大丈夫ですか!?」ダッダッダッダッダッ(おチェルをおぶったおパノが白煙を上げる火縄銃を構えながら走ってくる)
灰虎ノ助「危ない!!来てはいけません!!」ズドドドドドド!!(その横をステルス化した正体不明のモンスターが駆け抜けていく)
おチェル「どこにょ!?お化けはどこにいるにょ!?」ズドドドドドドド!!
おパノ「お化けなどではありません。ご安心を。プリンセス」チャッ・・(火縄銃を顔に近づけて照準を定める)
ドウーーーーーーーーーーーーン!!
(火縄銃の砲口から燃え上がるカラの実弾丸が怒涛の如く発射される)
バギャアアアアアアアン!!
(透明化したモンスターの角らしき部分に弾丸がヒットし小爆発を起こす)
??「プギャあああああああああああ

おパノ「見せなさい。さぁ、正体を」チャッ・・(次弾を放つ構えをとる背中ではおチェルが目をまんまるくしながら化物を見上げている)
そう~~~~~~~~~~ん

(透明化が解除されるようにゆっくりとその全貌を露にしてくるモンスター)
灰虎ノ助「こ、これは!?」

メロぉ~~~~~~~~~ん!!
おチェル「竜だにょ!!」
おパノ「霞龍。古龍種。災厄を齎すという竜族がなぜ・・」スチャ・・(標的を捉えたまま呟く)
~一方、別の農地エリアでは....

ドスン・・ドスン・・・
(食い散らかされた畑エリアを見下ろしながら歩いていく、お上品な蒼い着物を纏った炎妃龍の奥方様)
お菜々の方「なんと酷い有様でしょうか・・・一刻も早く犯人を捕らえねば・・」ドスン・・ドスン・・
どろろろろろろろろろろろ~~~

(炎妃龍を上空から追尾していく炎王龍のお化け)
是流兵「・・・・・・・・・(わぁ・・ほんとに畑中が食い荒らされちゃってる・・酷いことをする奴がいるなぁ~・・って、これ絶対モンスターの仕業だとゼルべっちゃん思うんですけど・・・)」ぽわわわわわ~(と幽霊ステルスモードで浮かびながら目下の喰い散らかされた「お茄子畑エリア」を見下ろしている)
ブブブブブブ・・(ゼルべっちゃんの目の前に大雷光虫の一群がやってくる。おそらく「霊的な電力」に吸い寄せられたのだろう)
是流兵「うるさいな。あっちいけ」しっしっ

ブブブブブブブブ!!(ゼルべっちゃんの動かす「獅子手」について回る大雷光虫)
お菜々の方「ん・・・・・」ブブブブブブ・・
ブブブブブブブブ(何もない空中で不規則な動きをしながら舞っている大雷光虫)
是流兵「あっちいけって!お前たちと遊んでる場合じゃないの

お菜々の方「・・・・・・・・・・・」キッ・・(目を細めてそれを見上げる)
是流兵「こちょばゆい

お菜々の方「・・・・・・・・・・・」じーーーーー
是流兵「は・・は・・・ハァ~~~ックショイ!!」ブブブ~~~~

お菜々の方「・・・・・・・・・・・」じじーーーーーー
是流兵「はぁ~なんだかスッキリしちゃった。って、おルナを追いかけないと・・ん?」(下を見つめる)
じーーーーーーーーーーーーーーーー
(完全に疑心暗鬼な表情でこちらを見上げている着物を纏った炎妃龍)
是流兵「・・・・・・・・・・・・」んぐっ(慌てて「両獅子手」を口に当て、息を止める幽霊ステルスモードの炎王龍)
お菜々の方「・・・・・・・・・・・・・」(完全に呆れ顔で上を見上げている炎妃龍)
是流兵「・・・・・・・・・・・・」ふゅ~ふゅ~

お菜々の方「そこにいるのは分かっているのですよ」キッ
是流兵「・・・・・・・・・・・・」ふゅ~ふゅ~

お菜々の方「姿を現しなさい!!畑荒らしの犯人!!」
是流兵「えーーーーーーーーーーーーー!?」(もう完全に大声出しちゃってる)
スゥ~~~~~~~~~~!!
(息を大きく吸い上げる炎妃龍)
是流兵「ちょっと待て!!何かの誤解だ!!私は畑荒らしなど・・・はっ

ブボおおおおおおおおおお!!
(幽霊ステルスモードの炎王龍に襲いかかる蒼い地獄の業火)
是流兵「よせ!!私は畑荒らしなんかじゃない

どろろろろろろろろ~~~~~~

(慌てて空中を逃げていく幽霊ステルスモードの炎王龍。それをまたどこからともなく現れた先程の大雷光虫が面白がって追走していく)
是流兵「バカ!!ついてくるな


お菜々の方「待ちなさぁ~~~い!!畑荒らしめぇ~~~~~!!」ダダダッダダダッ

是流兵「俺じゃなぁ~~~~~い


ブボおおおおおおおおおお!!
(下から襲いかかってくる青い炎が幽霊ステルスモードのお尻を突き抜けていく。大雷光虫は華麗に分散してそれをやり過ごす)
是流兵「ひえええええええええええ


To Be Continued



次回「あたちのモンハン日記」も新春SP!!
1/4(金)0時更新 新春SP三夜連続★大江戸怪異捕物帳2019~しょの三
をお送りいたします♪ほいだらさ!!次回も顔にあつあつのあんまん乗っけてバランス保ちながら読も見ようよ
