~白雪神殿(スノーテンプル)、歌劇開演前....

ホッホッホッホッホッホッ楽しいですわいな
(などと如何にも「貴族っぽい少し甲高い声色」で哄笑かまし合いながら、月明かりに照らされる神殿内の回廊をそれぞれの護衛兵らを侍らせて歩いていく貴族一行の「非力な後ろ姿」を視界に入れながら共に進んでいく一人称視点。その視界の上端と両端には、この人物が深々と被っていると思われる黒いフードの布が映っている)
ホッホッホッホッホッホッ楽しいですわいな
(笑い方こそ変えたものの、NPCばりにまだ同じ事を言いながら歩いている貴族達より目を逸し、庭園と繋がっている回廊の左上より差す満月を見上げる)
・・・・・・・・・・・・・・・・
(目に映る月の色合いは皆既月食でもないにも関わらず不気味なブラッドムーンのような紅いトーンを強調したコントラストに彩られている)
「美しくもどこか面妖な光彩・・」(横から「尊大傲慢甲高い声」が耳に入ってくる)
ちら・・(視点が動き、隣で自己陶酔に浸りながらこちらを見つめている、宮廷道化師みたいな「ぴっちり系奇抜衣装(被っているフードの両端には偶蹄目系の耳が垂れている)」を身に纏った「ひょろ長色白お貴族」が映される)
ひょろ長色白お貴族「今宵のフルムーンは、まるで掴みどころがない貴方の妖艶な瞳の色にそっくりだ。マドモアゼル・・・」
ジーナ「ジーナです」
ひょろ長色白お貴族「おお~。マドモアゼル・ジーナ。またお会いできて光栄です」へこり(如何にもお貴族っぽい挨拶をかます背後では、この男の護衛兵と思われる豪胆そうなまんまる系太っちょ男と、髪の長い切れ長目イケメン風色男がまたしても軽く会釈している)
ジーナ「こちらこそ・・・」
ひょろ長色白お貴族「これは失礼致しました。私は西シュレイドでは誰もが知る名家にして、大陸一のワイン工房を営む・・・」
おお、着いたぞ着いたぞ
(と、突然立ち止まった前列のお貴族が連れている如何にも屈強そうな護衛兵の「鋼鎧に覆われた背中」に顔面をひしゃげながらから激突するひょろ長色白お貴族)
ちら・・(前にいる貴族達は白装束を纏ったアーロンに促されながら歌劇が行われると思われる大部屋へと順に移動していく)
ひょろ長色白お貴族「いちちち・・・お見苦しいところをお見せしました。コホン・・私の名前はかの・・・」
どーーーーーーーーん

(それを食い気味で邪魔するように肩からぶつかってきたアーロンにふっ飛ばされる、未だに名前はひょろ長色白お貴族)
アーロン「ジーナさんも早く♪」グッ

ジーナ「でわ」(視界がスムーズに大部屋へと誘われていく)
ガヤガヤガヤガヤ・・・・
(ステージエリアの中央には切り株タイプの椅子がきちんと整列されており、それらを取り囲むようにして貴族達と白装束を纏った修練者達が談話している。またその奥には立派なオペラカーテンに遮られた舞台も見える)
アーロン「ね?即席にしてはなかなかのもんだろ?」(ウィンクかましながらフレームインしてくる)
ジーナ「ええ。ドンドマルのアリーナに匹敵するかと」(アーロンの後ろでは貴族達が「どうぞどうぞ」的な感じで席を譲り合っている)
アーロン「フフ。そこ行ったことないけど、ジーナさんがそう言うなら、かなりイケてるってことだよね」えっへん♪
ひょろ長色白お貴族「なんだぁ~?このオンボロステージは」(視点の右側より額に手をかざし、嫌味な感じでエリアを見回しながらフレームインしてくる)
アーロン「なんだと、このっ・・!!」
ひょっ(視点の主がそっと足を出し、西洋風ひょろ長色白お貴族の足を後ろから引っ掛ける)
ひょろ長色白お貴族「いぎゃああああああああ」ずでぇ~~~~~ん

なんだなんだ・・・はっはっはっはっはっ
(エリア内の貴族、修練者達が振り返り、状況を察すや否やこぞって笑い声をあげる。ひょろ長色白お貴族は照れくさそうに護衛の二人に支えられながら端っこにフレームアウトしていく)
アーロン「プッ・・・サンキュー。ジーナさん」
ジーナ「とんでもないです。偶然な事故にはよくあることですから」
「バーニー!もう始まるわよ!」
ちら・・(声がする方に首を傾けると、下手側の舞台裏から黒子衣装に身を包んだ若い女性が急かすように手招きしている)
「ああ、美術班のメンバーだよ。黒子ってやつ。ま、俺もだけど」しししし
「陰ながら応援させていただきます」(笑顔で言われたのだろう。アーロンはデレデレしまくっている)
「じゃあ、行ってくるよ。ジーナさん」チャッ

ちら・・ちら・・(それを見届ける間もなく、エリアの端々を確認する。左右の壁際には貴族達のボディガード達がそれぞれの主をしっかり監視している。また、ひょろ長色白お貴族が護衛二人に介抱されている姿も映り込むも、それを無視するように元の位置に視点を戻す)
「やっぱりな。ジェイソン・ウーは来ていないのか」
ちら・・(声の方に視線と注意を促すと後列に腰を下ろした二人の貴族が会話をしている)
「あの吝嗇家が狩猟団体に投資するわけないだろ?」
「違いない。もはやウー家は事実上、王都のキングメーカーだからな。買おうと思えば、ハンターズギルドだって奴の傘下に入るだろうよ」
「厭世観を抱くペシミストにして冷酷なマキャベリスト・・・あいつがこの白の同盟に加担するわけもない。ジェイソン・ウーに持戒やイデオロギーなどないのさ。奴の教義は金だよ」
ガイ~~~~~~~ン(突如、下手側の舞台裏より何か金属的な物が木に突き刺さったような振動音が聞こえてくる)
ジーナ「・・・・・・・・・・」なんだ・・(と、音に気をかける観衆達)
「何やってんだよ!?危ないだろう!!」ドスンドスン!!(明らかにアーロンと思われる怒号と感情をあらわにした重たい足取りの音が緞帳の向こう側より響き渡ってくる)
「誰のせいだと思ってんのよ!!みんなあんたのせいなんだからね!!」ドスンドスン!!(今度は上手側の舞台裏より「少女の」ヒステリックな罵声と怒り狂った足音が緞帳を突き破りながら聞こえてくる)
「はぁ!?俺が何したってんだ!?」(緞帳越しに舞台の中央から言い訳かましているアーロンの声が聞こえてくる)
「あんたなんか、あのいやらしい女商人と一緒にいればいいのよ!!バァ~~~~~~~カ!!!!」レロレロレロレロ♪(同じく緞帳越しから少女の悪罵が投げられ、おそらくは「最高級のベロベロバー」をしていると思われる「レロレロ音」が聞こえてくる)
「今ここで決着をつけてやる!!」ダンッ!!(力強く踏み切って跳ぶ音が聞こえる)
「上等じゃないの!!前説代わりにあんたの首をオーディエンスにプレゼントしてあげるわ!!」(返り討ちにする気満々の危険な挑発が轟いてくる)
この野郎~!!いつも見下しやがってぇ~~!!
なによあんたこそ!!きぃ~~~悔しい~~!!
(おそらく取っ組み合いを始めたのだろう。衣類を激しく引っ張り合う音と鈍い肉質の打撃音がミシミシと聞こえてくる)
ジーナ「・・・・・・・・・・・」ちょっとぉ~やめなよぉ~!(見つめる緞帳の向こう側では必死に仲間たちが「激しめの痴話喧嘩」を仲裁していると思われる)
なんでもありません。これも演出のひとつでして・・
(一際体格が優れた黒人の修練者がどよめく貴族達に釈明している)
ひょろ長色白お貴族「ダラーハイド氏も大変ですな」ひょれっ(と視界にフレームインしてくる)
ジーナ「高名な御方で?」
ひょろ長色白お貴族「ルドルフ・ダラーハイド。盟主オクサーヌ・ヴァレノフに一番近い人物です。盟主と共に同盟を結成したオリジナルメンバーの一人ですな」しょりしょり(中途半端に長い顎髭を触りながら偉そうに解説かましている)
ジーナ「今日お集まりの皆様は、すべての方が彼らの思想に感銘を受け、支援することに同意したのですか?」
ひょろ長色白お貴族「ここにいる多くの有力者達は、ハンターズギルドの独占的な事業戦略に反感を抱いている者ばかりです。考えてみても御覧なさい。なぜハンターズギルドだけが優秀な狩人を雇用でき、彼らを駒に次々と未開拓地を占拠しては貴重な資源を我が物にできるのでしょうか?それは他に有力な狩猟ギルドが存在しないからです。確かにハンターズギルドに属さない小規模な狩猟団体は大陸の各地に存在するでしょうが、如何せん、投資をする価値もない理想主義を掲げたコミュニティレベルの集団ばかり・・・そこに現れたのが、この白の同盟だったというわけです」
ざわざわざわざわ・・・・
(舞台裏から聞こえる喧騒が次第に静かになっていく)
ひょろ長色白お貴族「彼らが・・いえ、かつてメサイアの妖精と謳われた天才ハンターが本物なのかどうか・・これから行われる歌劇で証明してもらいましょう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(場が静まり返り、その空気を読み取ったかのように語り手と思われる白装束の男が下手側より敢えて視線を集めるようにゆっくりと舞台に上がっていく)
ひょろ長色白お貴族「始まるようですな。私の隣の席を空けておきましたが、どうですかな?」
ジーナ「お気遣いなく。私はここで結構です」
ひょろ長色白お貴族「・・・・そうですか。それでは・・また・・」(室内に設けられている燭台の火が白装束の修練者達に次々と吹き消されていき、ステージエリアが雰囲気ある暗がりに覆われていく中、そそくさと時折、こちらを未練がましく振り返りながら着席する)
ジーナ「さて・・・楽しませてもらいましょう」(見つめる舞台上では語り手が今にも始めんばかりに大袈裟な咳払いをしてみせている)
Recollection No.1_09
語り手「・・・・・・・・・・」ひらり(カーテンで覆われた舞台の中央に威風を漂わせながら立つ語り手が、深々と頭を下げながらお辞儀をする)
ウウン・・・コホン・・・(視界に映る暗闇の観客席から緊張感漂う咳払いがいくつか聞こえてくる)
語り手「白龍娘こと我らが盟主、オクサーヌ・ヴァレノフは北陸の地、アクラにて、父、イヴァン・ヴァレノフと母、ガブリエル・ヴァレノフの間に生まれる...」(余計な感情を顕にせず、説明の内容だけがすんなり理解できるよう淡々と読み上げていく)
・・・・・・・・・・・・・・
(沈黙の間に右手に目を向けるとルドルフ・ダラーハイドと思しき筋骨たくましい男のシルエットが壁際から舞台上を静観しているのが見える)
語り手「生母ガブリエルが産声をあげる聖女オクサーヌを大陸に降臨させたその瞬間、父イヴァンは天空より舞い降りてきた白い羽衣を手にしました」(祈りを捧げるように両手を掲げながら状況を再現してみせている)
語り手「この羽衣こそ、祖なる者が天より授けた賜物であり・・」(ナレーションをよそに今度は左手の様子を窺う。そこには各招待客の護衛兵達が片時も主から目を離さずに監視している)
語り手「生母ガブリエルはこの羽衣から我が盟主が今もなお身に纏っている聖なるドレスを裁縫しました」(引き続き舞台上では詩人のように語っているナレーターの姿が目に入る)
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(もう一度、左手に目を向けると、護衛兵の一人がこちらを警戒するように睨んできたが、すぐまた主の方向に首を傾ける)
語り手「始まりは白いドレスと共に・・・・第一章。白龍娘誕生」(短い題目を明瞭な美声で読み上げ、さも高尚に聞こえさせる)
パチパチパチパチパチパチパチパチ
(開演に相応しい好意を抱いた拍手と共にカーテンが物音建てずに左右に開かれていき、同時に語り手もまた邪魔にならぬよう足早に舞台上から下手側にはけていく...一連の光景を見つめる視点内に一瞬、邪な第三者の意志を感じさせる紫紅色の波形が期待感を煽るように波打ち消えていく...)
To Be Continued

★次回ストーリーモードは3/7(木)0時更新予定です★