ボオオオオオオオオ・・・
ザッザッザッザッ・・(燃え立つ庭園エリアの妖炎な灯りが視界の右側から差し込み、冥々とした回廊の床に散乱している「四分五裂の状態」となったギルドナイトの惨死体を照らすも、この暴戻極まりない情景を微塵も顧みず足早に進む一人称視点。また傍らからは「こいつぁ~ひでぇ・・同業者としてこいつらに同情するぜ・・」などと嘆いているアサシン猫の声が聞こえる)
ザッザッザッザッ・・(警戒しながら先程到達した回廊のT字路地点まで辿り着くも、廊下は引き続きギルドナイトの遺体と返り血で塗りつぶされており、その光景は少し前に来た時とはあまりにも一変し過ぎてしまっている)
・・・・・・・・・・・・・・
(床に目を向けると散布した血飛沫がT字路の左通路へ導くように続いている)
ジーナ「向こうに行ったようですね」んニャ(とアサシン猫の声が)
ザッ・・・(警戒しながらT字路を曲がると、思ったとおり「新鮮な死骸」が一体倒れており、逃亡者が逃げていった道を記すように廊下の奥深くへ一体ずつ、一定距離を空けながら続いている)
アサシン猫「これは・・またきれいに追手を振り切りながら逃げた様子ですな」ふむ・・(少し感心しながら殺人現場を吟味している)
ジーナ「死体すべての頭部を御覧ください」
アサシン猫「ニャニャ・・・・」ふむ・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
(廊下を続く死体の頭部は全て「一撃必殺」と思われる強打により叩き潰されている)
アサシン猫「・・・・・・・・・・」ビクビクッ(背中を向けながらその凄惨な光景を目の当たりにして身震いをしている)
ジーナ「狭い廊下を利用して追手を一人づつおびき寄せては、狩猟笛で叩き潰しながら逃走していったようですね」ザッザッザッ・・
アサシン猫「気をつけてください」バッ(自分の任務を思い出しかのようにダガーを両手に構えながら先陣を切っていく「アサシン衣装を纏った猫型獣人の後ろ姿」が視界の右下に映り込んでくる)
ジーナ「その必要もなさそうですね」(前方に見える十字路の右側から、火災と思われる緋色の灯りが揺らいでいるのが見えてくる)
アサシン猫「火矢を放ったということは・・向こうに逃げたか」じりじり・・(視界の右下から用心しながら進んでいく)
ジーナ「いえ。遺体は真っ直ぐ続いています。おそらくは出火元である書庫があるのかと」ザッザッザッザッザッ(アサシン猫を追い越し、足早に廊下を進んでいく)
ゴオオオオオオオオオオ・・・・
(T字路に辿り着くと右側の通路が一面、火の海に覆われているのが見える。また炎の中でソードブレイカー型の双剣を携えた二名の修練者が焼かれているのも確認できる)
アサシン猫「油を放った様子でな。しかしなぜ、ここだけ・・」ゴオオオオオオオ・・(赤いスポットライトを受けながら火災現場を見つめている)
ジーナ「デーモン・ロザリーは、彼女が書き記した史書を燃やし、その存在自体を歴史の闇に葬ろうとしているようですね。言うならば、見事なまでの「焚書坑白」とでも言いましょうか。盟主自らが演者となって演舞を行う今宵の歌劇中を好機とみなしたデーモン・ロザリーは、かねてより繋がりのあったジェイソン・ウーを通じてギルドと取引をしたのでしょう」
アサシン猫「・・・そうか。あの時、手渡していた写本が・・」
ジーナ「祖龍の書がギルドに渡ったということです。その見返りに、デーモンはギルドナイトを使い、白の修練者達、すべてを殺害させ、この神殿を乗っ取るつもりなのでしょう。そして山賊時代に強奪した財宝を担保に、ウー家の莫大な資産を利用して再建を図るのかと」
アサシン猫「・・ウー家の見返りはなんでしょうか?」
ジーナ「簡単です。ウーは報酬の代わりに今宵歌劇に招待された、王都内の商売敵をはじめ、批判的な主義の異なる有力者達を襲撃事件に乗じてギルドナイトに暗殺させ、王都内の権威を握る・・・もちろん、その話を吹き込んだのもデーモンでしょう。彼は今宵起きた無差別殺人事件を、すべてオクサーヌ・ヴァレノフの犯行に仕立て上げたのです」
アサシン猫「なるほど・・ギルドを裏切った反逆者、オクサーヌ・ヴァレノフは、彼女を捕縛しようとヒンメルンに放たれた工作員に抵抗し、無関係な招待客をも口封じの為に鏖殺して逃亡を図った・・・ハンターズギルドが正義と見做されている大陸社会では、誰もこのシナリオに疑いを抱くわけもなく、また、この一連の画策に西シュレイド王国は一切、関与していない・・。完璧な奸計ですな」
ジーナ「歌劇の段取りを事前に知らされていたギルドは、最もオクサーヌ・ヴァレノフが演劇に集中する第四章の演舞中に襲撃を開始したのです。唯一の誤算は、彼女が歌劇に使っている得物、「狩猟笛」が対人戦には向いていないと推測したことでしょう。結果はご覧の通りです」
アサシン猫「ギルドはオクサーヌ・ヴァレノフを本当に捕縛するつもりだったのでしょうか?」
ジーナ「どうでしょう。祖龍の書が手に入った以上、彼女の存在はそれほど彼らにとって価値のあるものとは思えません」
アサシン猫「それはデーモン・ロザリーもまた同じ・・?」
ジーナ「彼がシュレイドコンクエストの再現を果たしたのは事実です。外見は衰えても、その本質は微塵も変わっていなかったのですよ。最も、彼が生きていること、そして今宵起きた事件の真相を知る者は我々だけ・・。これを利用しない手はないですよね?」クスッ
アサシン猫「・・・・ウー家を脅迫・・・我らがタラスクギルドにも心強い資金源ができましたな」フフ・・
ドシャーーーーーーーーーーーーン!!
(神殿の外より凄まじい振動音が鳴り響いてくる)
アサシン猫「!?」
ジーナ「雪崩・・・・あなたはここで待機を」ハッ(拱手と共に返事をするアサシン猫)
ダッダッダッダッダッダッダッ!!
(一路、ギルドナイトの遺体が続く廊下を一直線に駆け抜けていく)
ダッダッダッダッダッダッダッ(廊下の突き当りは回廊と交差しており、そこに遺体の最後の一体が倒れている。また、正面に見える低い塀の向こう側に急勾配な雪山が見えてくる)
ジーナ「念の為か・・・」ダッダッダッダッ(回廊に向かいながら、懐より例の小銃型注射針を出す)
ブシュッ・・・ズオオオオオオオオン!!
(走りながらそれを左腕に注入させ、覚醒モードに入ると同時に見開いた視界全体にマゼンダの閃光が走る)
ブワッ!!ダッダッダッダッダッ!!(軽々と回廊塀を飛び越え、崖に近い斜面をもつ荒々しい雪山へ向かっていくと、白い大地に小さなブーツの足跡が一直線に点々と続いているのが確認できる)
「私は白の契約を受けし者!!私の創り上げた白の同盟はこれにて終焉を告げる!!だが忘れるな!!お前たちに殺された同志諸君の魂は私の血となり肉なり、新たな盟友となって必ず復讐を果たすだろう!!」(雪山の頂上付近から少女の宣戦布告があげられる)
バッ!!(麓で立ち止まり、顔を見上げると数名のギルドナイト達が頂上目指して足場の悪い雪山を登っていく姿が小さく見える)
ギャオオオオオオオオオオン!!
(次の瞬間、怒り狂ったミラアンセスライドのディストーションサウンドがヒンメルン山脈全体に反響する)
ダッ!!(それを聞くやいなや、慌てて麓に見える岩場を目指して疾走していく)
ドオオオオオオオオオ!!
(案の定、激しい白粉を撒き散らした雪崩がギルドナイト達を飲み込みながら襲いかかってくる中、ひたすらに岩場を目指して走っていく)
ダンッ!!
(雪崩の大波が食いかかろうとした瞬間、岩場を踏み台に一気に跳躍していく)
バオオオオオオオオオオオン!!
(雪崩が引き起こした霧のような粉雪のフィルターを突き破りながら、四肢を大きく扇いで飛翔していく)
ビュオオオオオオオオオオオ!!
(吹雪のように視界が悪い中、目の前に雪山の斜面が見えてくる)
シャイーーーーーーン!!(空中で両手の袖から、一対の黒いショートソードを突き出し、その柄を瞬時に逆手に握り大きく振りかぶる)
ザハァーーーーーーーーーーーン!!
(雪山の斜面に衝突した瞬間、逆手に握る短剣を叩きつけ、反動を利用して再び跳躍していく)
シュタッ(鋭利な岩場から成る頂上に飛び乗る)
ゴオオオオオオオオオ・・・・・・
(雪崩らしき流動音が頂上の向こう側より聞こえてくる)
スッ・・・(短剣を袖に収納しながら、頂上から身を乗り出して斜面を見下ろす)
ゴオオオオオオオオオオオオ!!
(予想通り降り積もった雪が重力に従いながら轟々と傾れ(なだれ)落ちている)
ゴオオオオオオオオオオオオ!!
(その雪崩の波を利用してミラアンセスライドを「板代わり」に急滑走していく白いドレスの少女の後ろ姿が小さく見える)
ゴオオオオオオオオオオオオ!!
(少女は月夜を見上げながら滑走していくと、静かに振り返りながらこちらを見上げる)
・・・・・・・・・・・・・・・
(次第に小さくなっていく少女の顔に焦点を絞る)
ジーナ「さよなら・・・バーニー・・・・」
ゴオオオオオオオオオン!!
(雪崩がフィナーレを告げるように一気に落下地点へ崩れ落ちていくと、当たり一面を激しいスノーパウダーで覆い尽くしてしまう)
ジーナ「また逢う日まで。オクサーヌ・ヴァレノフ」
Recollection No.1_16
バッ・・(回廊塀を飛び越え、神殿内に戻ってくる一人称視点)
・・・・・・・・・・・・・・・・
(神殿内へ続く廊下と回廊が交差するT字路のコーナーに「首から上を失った」メサイアの妖精と思しき石像が置かれている)
タッタッタッタッタッタッ・・(未だ火災が続いている廊下の奥よりこちらの存在を確認したアサシン猫が駆けつけてくる)
アサシン猫「ご無事で何よりです。白いドレスの少女は逃走しましたか?」
スッ・・(おもむろに石像を指差してみせる)
アサシン猫「・・・メサイアの偶像・・。デーモン・ロザリーの仕業ですな」ふむ・・(と半壊された石像をまじまじと見つめている)
ジーナ「これら裏切りのサボタージュが、より彼女の存在を伝説化させるでしょう。彼女の意志は別の形となって近い将来、必ず我々の前に姿を現すはずです」
アサシン猫「タラスクギルドの脅威にもなりうると?」
ジーナ「如何様にも。厄介事に巻き込まれる前に外街に戻りましょう。ここは・・・私の居場所ではありません」
・・・・・・・・・・・・・・・・
(回廊より見上げる夜空に浮かぶ満月は、おどろおどろしい黒雲に覆われその幻妖な光源を直隠しにしていく)
ジーナ「あなたのお名前は?」(目線を下げ、周囲を警戒しているアサシン猫を見る)
アサシン猫「アル・カマラ。カーン様よりあなたの口となり耳となるよう言付かって参りました。以後、この命、お好きなようにお使い下さい」スッ(胸に握りこぶしを当てて今一度忠誠を誓う)
ジーナ「オトモをお願いします。これより東側に向かいます」
アル・カマラ「・・リーヴェルに?」
ジーナ「その前に大事な伝令をして頂きたいのですが・・・まずはここを脱出しましょう。カマラさん」ハッ!!
ザッ・・(振り返り、暗闇の回廊を歩き出すと、マゼンダの濃霧が視界全体を一瞬のうちに覆い尽くし、次第にそれが通信を切るかのように晴れていき、視野全体を不透明にさせていく....)
To Be Continued

★次回ストーリーモードは4/1(月)0時更新予定です★