~白雪神殿、応接間....
バサッ
(颯爽と白装束を身に纏うジェイソン)
ジェイソン「どうかな?アンジェリカ」フフ・・(ドヤ顔で視点の主の感想待ちしている)
パチパチパチパチ(小さく手を叩いて賛辞を贈るジーナことアンジェリカ)
アーロン「いいじゃないか。よく似合っているよ」うんうん(腕を組みながら新たな同志の出で立ちを見守っている。また部屋の中には三人しかいない様子だ)
ジェイソン「見た目以上に重厚だな・・・とても温かい」バッバッ

アーロン「寒冷地域に生息する「煌カイコ*」の糸で編んだ布を使っているんだ。ホットドリンクなしでも「ぬくぬく」して気持ちがいいだろ?」
*煌カイコ:公式虫系素材アイテム「冥カイコ」と双璧をなすあたモンオリジナル環境生物。シュレイドの寒冷地域に生息する非常に強靭な純白に煌めいた糸を紡ぐカイコ。その糸で編まれた布はぬくぬくして気持ちがいい。
ジェイソン「神殿だけでなく、防具に等しい衣類も遺産として残すとは・・さすがオクサーヌ・ヴァレノフだな」
アーロン「彼女が残したのは目に見えるものだけじゃないぞ?」
ジェイソン「どういう意味だ?」
アーロン「彼女が記した自叙伝や指南書は親父がすべて灰にしてしまったが、その剣技は俺の体に刻まれている。とはいっても、大剣の使い方を少し教わっただけだがね」やれやれ
ジェイソン「素晴らしいじゃないか。君は初代白の同盟の唯一の生き証人なんだ。自信を持て」
アーロン「ありがとう。みっちり鍛えてやるから、覚悟しておけ」
ジェイソン「そのためにここにきたんだ。是非、稽古をつけてもらいたい」えっへん
アーロン「しかし・・本当に大丈夫なのか?」
ジェイソン「心配するな。君たち以外、誰も僕がジェイソン・ウーだと知らないんだ。狩人に憧憬を抱いている物好きな王都の貴族が茶化しに来たとでも言っておけ。まぁ、間違ってはいないがな・・」う~ん(改めて自己分析するように考え込む)
アーロン「それで、寝泊まりはどうする?少し狭いが、俺の部屋でよければなんとか二人で寝れるが・・」
ジェイソン「盟主様とルームメイトだなんておこがましい。僕はすべてをやり直す為にここにきたんだ。他の者と同じ大部屋でいい。それに僕に恨みを持っている人間たちが、ここでどんな暮らしをしているのかも興味がある。心配ならしなくてもいい。おおよそ待ち受けているであろう「試練」は小説で学んできた。きっと、君たち以外の人間はこう言うはずだぞ?「おい、あの色白貴族がいつまでもつか賭けようぜ」なんてね」やれやれ

アーロン「無礼を働く者がいたらすぐに知らせてくれ。君の存在はある意味、僕の知らない神殿の顔が知れる良い機会だと思っている。がんばれよ、相棒」
ジェイソン「まるでギルドの工作員だな」
ハハハハハハハハハ(あたたかい談笑に包まれる二人)
ジェイソン「真面目な話、その・・不正行為というか、嗜好品などについてはどこまで許可しているんだ?」
アーロン「ああ・・薬物のことか・・。仕事に支障をきたさないレベルなら目を瞑っているよ。ルチアによれば、ハンターにも愛好者は多いようだしね。一度ルチアに聞いたみたんだ。大陸の秩序を司るハンターが薬物をやっていて平気なのか?ってね。そしたら彼女はすぐこう答えたよ。「んなこと言い出したら、普段狩人が常用している薬剤の方がよっぽど危険だ」ってね。鬼人薬を飲んだハンターが酔っ払って暴行を働いたという事件は都市では「あるある」らしい」やれやれ
ジェイソン「向精神薬は使い方次第というわけか。君の考えは分かった。なら話が早い。実は君にもうひとつ目を瞑っていてほしいことがあるんだ」(少しこちらをちらっと見ながら例の話をするようだ)
アーロン「なんだ?」
ジェイソン「ルチアにある植物の栽培を依頼した」
アーロン「・・まさかそれは・・?」
ジェイソン「君の思っているとおりだ。その植物を輸送隊長である彼女に王都まで運ばせ、君たちの資金源にするつもりだ。その植物が医薬品になるか向精神薬になるかは我々の知ることではない。君はそのことでここにいる者たちの借金が少しでも減れば幸いだと考えればいい」
アーロン「・・確かにここでなら世俗の目に困ることはないが・・・」
ジェイソン「君の哲学に反するのは承知だ。だからルチアには君に秘密で行うよう言ってある。だが、今こうして君と話しているうちに隠し事をするのはここにおいてもらう身としてフェアじゃないと感じた。故の相談だ。何かあった場合はウー家が処理する」
アーロン「・・・・・・・・・・・・・・・」(深く考え込んでいる)
ジェイソン「これはルチアが提案したことなんだが・・・彼女はその仕事の取り分をすべてアースラの借金に充てろと言ってきたんだ」
アーロン「・・なんだって?」
ジェイソン「彼女の夢は、君とアースラがこの牢獄から脱獄して自由になることだそうだ。ある意味、それは僕の願いでもある」
アーロン「・・・・・・・・・。俺はここを牢獄だなんて思っちゃいない。それは親父の代までだ。俺はこの神殿を元の白の同盟に再建してみせる。だから君たちの好意はありがたいが、俺は俺のやり方でいこうと思う」
ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・・」フーーーー(ため息をつきながら、こうなってしまった結末に対して謝罪をするようにこちらを見てくる)
アーロン「目を瞑っているフリをしていればいいんだな?」
ジェイソン「ん・・・そうだが・・」
アーロン「白雪神殿の盟主として、俺が確立すべき相応しいアライメントは、オクサーヌと親父の中間、つまり中立にあると思っている。ここ一帯の資源の管理はギルドも容認しているし、これからの時代、多少のリスクは承知で生計を立てていかなければならないのも承知だ」
ジェイソン「じゃあ・・」
アーロン「ひとつだけ約束して欲しい」
ジェイソン「なんでも言ってくれ」
アーロン「仮にそのことで問題が生じたら必ず俺に報告すること。いいかい?」
ジェイソン「おっけぇ~。盟主殿」(軽い口調とは反対にその眼には信義が宿っている)
アーロン「これでも山賊あがりなんでね。それなりの理解力はあるつもりだ」えっへん
ジェイソン「それじゃあ交渉成立ということで」スッ(右手を差し出す)
アーロン「おっと。それと代わりといっちゃなんだが、君に頼みたいことがある」
ジェイソン「・・・ああ。いいだろう。何が望みだ?」
アーロン「自分のやり方で白の同盟を再建すると言ったが、やはり初代盟主の力は必要だと思う。そこでオクサーヌの捜索を頼みたいんだ」
ジェイソン「それはまた・・・彼女は才女だと聞く。既に君たち親子のこと、そして裏で手引きをした僕のことも知っているかもしれないんだぞ?それでも君は彼女に贖罪を乞うつもりか?」
アーロン「そのつもりだ。彼女が望めばいつでもこの首を捧げる覚悟はある」
ジェイソン「・・・・・その時はウー家も道連れ・・・・いや、僕だけが殺されればいいだけの話か・・」(こちらをそれとなく見ながら呟く)
アーロン「頼む。君しか頼れる人物がいないんだ」
ジェイソン「ロザリー家とウー家は一蓮托生とでも?」
アーロン「互いに人身御供な境遇の仲だろ?」にこっ
ジェイソン「フッ・・・・君に会うたびに君を過小評価していた自分の傲慢さに嫌気がさすよ。分かった。必ずベックフォードに伝えておこう」
アーロン「すまない・・・・っと、ここではなんと呼べば?」
ジェイソン「フランク・ヴューラー。気軽にフランクと呼んでくれたまえ」えっへん
アーロン「それじゃあ、改めてよろしく頼むよ。フランク」チラリぃ~ん

ガシッ

Recollection No.1_49
~レクリエーションルーム
ガヤガヤガヤガヤ・・・(かつての書庫は壁面の本棚をはじめ、床に倒れていた本棚も取り除かれており、以前にも増して清掃が行き届いていることが見て取れる。そんな広々とした空間にアースラを中心とした「運搬班」が運んできた、ウー家もといヴューラ氏から配給された数々の娯楽品が無造作に置かれている)
う~~~む・・あむぅ~~~~(と部屋の中心では腕を組んで考え込んでいる様子のアースラとこちらの存在に気づき会釈をしているベックフォードの姿が)
ジェイソン「彼女は何をしているんだ?」(隣のアーロンに問う)
アーロン「レイアウトさ。好きなんだよ、彼女。前に僕の部屋の模様替えをする時も率先してやってくれた。下手に口を出すと「雌火竜ばりに」怒鳴られるぞ」
ジェイソン「よし。ここは彼女に任せるとしよう」うんうん(と同意する視点の主)
アーロン「あ、そういえば、アンジェリカさんやヘラは、いつまで葬儀の面を付けているんだい?」
ジェイソン「あ、ああ・・・東方のある地域では親が亡くなった場合、三年は喪に服す風習がある。それに習って、せめて彼女たちだけでも弔慰を表してもらおうと思ってね・・余計なおせっかいだったかな?」
アーロン「とんでもない。ありがたいくらいさ。僕にはとてもその気はないからね。ただ、他の仲間が気にすると思って」
ジェイソン「・・前に彼女たちがモンスター被害に遭遇して以来、ショックで声が出なくなってしまったことは伝えたが・・・実は、その時、彼女たちは顔に深い傷を負わされてしまってね・・・」
アーロン「そうだったのか・・・すまない。アンジェリカさん。愚問をしてしまったようだ」へこり
ジーナ「・・・・・・・・・・・・」(首を左右に振って返答する)
アーロン「ただ、アンジェリカさんたちが煩わしかったら、いつでも面を外してくれて構わないよ。もし陰口を叩くような人間がいたら、その時は盟主である俺がきっちりお灸を据えてやるつもりだ」パチリん(小粋にウインクかましてくる)
ジーナ「・・・・・・・・・・・・」へこり(それとなく頭を下げる)
ジェイソン「ああ、それと。彼女たちの神殿への出入りを自由にして欲しいんだ。ほら、僕に付きっきりでは、邸での仕事が滞ってしまうし、彼にも迷惑を掛けてしまうからね」(と、姿勢良くアースラの命令待ちをしているベックフォードを見つめる)
アーロン「もちろん構わない。門兵たちには君から伝えるか?」
ジェイソン「その「制度」も撤廃しようと思っている。見張りなんてもういらないさ。君を信頼している」
アーロン「・・・ありがとう」ポン(感謝を込めた手のひらをジェイソンの肩の上に置く)
ジェイソン「それにこれからは僕がいるんだ。しっかり監視をしてやるぞ」えっへん
アーロン「不正は出来そうに・・そうでもないか」やれやれ
ジェイソン「・・・・・・・・・・・・・・・」きょろきょろ
アーロン「なにか気になるか?」
ジェイソン「前にも言おうと思ったんだが、彼女の・・・メサイアの妖精の石像はここにもないな」
アーロン「うむ・・・俺の記憶を頼りに彼女の顔を復元したところで、それが以前のような輝きを放つのか・・・それに万が一、彼女が戻ってきた場合、絶対に似ていないと怒られてしまうからね。なにかきっかけが来るのまでは、倉庫に置いておくのが正しいと思ったんだ」
ジェイソン「・・・懸命な判断だ。僕もそれがいいと思う」(友の意向を汲むように何度も頷いている)
「お~~い!みんな飯ができたぞぉ~!!」
とっとっとっとっとっとっ(振り向くと「シンプル板前ネコスーツ」を身に纏った(正確にはねじり鉢巻、紺色のハッピを着ているだけ)赤虎猫が歩いてくる)
ベックフォード「吾郎さん・・・順調なようだね!!」
吾郎「へぇ。あっしがここで働くことができたのも、あんさんのおかげです。本当にありがとうございやした」へこり
ベックフォード「いや。礼を言うなら・・」(主の顔を見つめる)
フリフリ(それに対して首を左右に振るジェイソン)
ベックフォード「・・・・・・・・。おめでとう。吾郎さん」ぽん(優しく両手で赤虎板前猫の両肩を激励するように叩いてやる。それをあたたかい目で見守っているアースラの顔もまた印象的である)
アースラ「さぁ、みんなで食堂に行きましょう。マスターの美味しいパイと「あたたかいあんまん」が待っているわよ♪運搬したからお腹が減っちゃった」ぐぅ~~~(と腹の虫を鳴かせる)
ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・(和気あいあいと部屋を出ていく一行の背中を見つめながら後に続いていくジーナ目線の視界が「不可解な様相」を示しているのかのようにブラックアウトしていく...)
To Be Continued

★次回ストーリーモードは7/25(木)0時更新予定です★