ジリジリジリジリジリジリジリジリ・・
(質素な木造バンガローの中、ダイニングテーブルに腰を下ろしていると思われる視点の主の目の前には、左側の開き窓より差してくる砂漠ならではの直射日光を眩しそうにさも大袈裟に右手をかざしながらこちらを睨むように見つめているポレットの先生の色白痩せ顔が)
ポレット「それでは夢遊病で外に飛び出したバールボーンを追いかけ、スラム・・・開発エリアに行ったというのか?」ジリジリジリ・・
ムーア「そうそう」
ヴィルヘルム「友情に感謝だ。こいつらが追いかけて来てくれなきゃ、俺はあのまま街の外に飛び出して、今頃、峯山龍のでっかい腹の中で溶かされている頃だろうぜ」(右隣の席を見るとそう豪語するいつもの彼の姿(金髪角刈りぽっちゃり&白ワイシャツサスペンダー半ズボン)が)
キンババ「僕たちはそこでケイシーとデービスに遭遇したんです。そして彼らは行方不明になったビリーを探して欲しいと僕たちに依頼してきました」(左側を向くといつものモジャモジャ頭の彼もまた)
ムーア「緊急クエスト!ビリーを探せ!なんてね」ワハハハハハ(とヴィルヘルム。すぐに咳払いして牽制かますポレット先生)
ポレット「ケイシー・ヘンドリックとデービス・オーズリーの話によれば、ナジャンナ、君は二人と一緒に行動したそうだな?」
キンババ「はい。彼らは酷く憔悴しきっていたので、ビリーの捜索は彼女たちに任せて、僕ら三人は一足先に宿屋に戻ってきました」
ポレット「キャロルムーア、バールボーン。その後もお前たち二人は引き続き捜索を続け、気絶して倒れていたビリー・マーシャルを発見し、宿屋に連れ帰ったそうだな?」
ムーア「そうだよ。街の外からたくさんの「岩ボール」が飛んできたの。たぶんビリーはそれに当たって気絶したんだと思うよ」
ヴィルヘルム「後頭部にでっかいコブができてたからな。確認したんだろ?」
ポレット「ああ。本人はそこからの記憶はないとも言っていた」
ムーア「じゃあ何も問題はないね」
ポレット「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」トントントントントン(こちらの様子を窺いながら左手の人差し指をしきりに机上へ繰り返し叩きつけている)
キンババ「彼らはなにか違うことでも?」
ポレット「いや・・・お前達と全く同じ証言をしていた。「珍しく」な・・」トントントントントン(と急かすように指の速度を上げながら、こちらを訝しげな目で睨んでくる)
ちら(キンババの方を見ると今にも吐き出しそうな顔色をしながらも、さも冷静に振る舞っているつもりなのだろうが、机の下に見える足元はガクガク震えており、また、尿意を我慢しているのか股間をギュッとおさえている)
ムーア「先生。ビリーたちはどうしてあんな危ない場所にいたの?」
ポレット「その答えはお前の方が知っているんじゃないか?」トントントントントン
ちら(再びキンババの方を見ると、嘔吐をおさえるように左手で口をおさえながら、右手を股間の下に潜らせるようにしてそれを押しつぶしている)
ムーア「おおかた、ビリーがいつもの調子でケイシーたちに夜遊びでもしようってけしかけたんでしょ」
ヴィルヘルム「素行の悪いあいつらのやりそうなことだな」ねぇ~(と視点の主)
ポレット「お前達も同罪だ。何が理由であれ、まずは我々に相談する方が先決なのだからな」
ムーア「何が理由であれ・・・・ごめんなさい」
ポレット「・・・・・・・・・・・・・・。誰をかばっているんだ?」
ムーア「・・・・・その質問の意味はよくわからないけど、もしそうなら、オーロラ学園のみんなだと思う」
ポレット「なぜそう言える?」トントントントントン
ムーア「あたち達が昨日の晩、騒動に巻き込まれて死んでいたら、みんな悲しむでしょ?それは学校で待っている校長先生や、ロックラックに来れなかった家族もみんな同じ気持ちだと思うよ」
ポレット「・・・・・・・・・・・・・・・・・」トントントントントントントン(すべてを見透かしたように目を鋭く細めながら指のピッチを更に上げていく)
Recollection No.5_49
キンババ「はぁ~~~~~~~・・・今度ばかりは、ほんとにもれちゃうかと思ったよ

ヴィルヘルム「お前はもうちょっとメンタルを鍛えないとダメだな。だが、峯山龍を見てチビらなかったのだけは褒めてやるぜ」カキカキ(ベッドに腰を下ろしながら「石ころ」にチョークで何やら文字を書いている)
ムーア「ほんとほんと。見直した」ぎゅっ(と自分のベッドの上でアイルー型クッションを抱きしめながら、ヴィルヘルムの横に座ろうとするキンババを目で追っている)
キンババ「普段君たちと一緒にいるせいかも。たぶんポレット先生は全部わかってると思うよ」ぽすん(とヴィルヘルムの横に腰を下ろす)
ヴィルヘルム「分かっていても肝心の証拠がねぇ」カキカキ
キンババ「誘拐犯は街を襲撃してきた峯山龍に驚いて、命からがら身代金を置いて逃亡・・・・一番の被害者であるロージーは昨日の夕方、帰宅中に背後より「何者」かに眠らされ、そこからの記憶が全く無い・・・。彼女と身代金が戻ってきたことでメイド達も一安心。敢えて、ロージーに何があったか伝える必要もなく事件は解決・・・・って、よくこんなにうまくいったもんだね。それも最初から君は分かっていたのかい?」
ムーア「ぜんぜん。運が良かっただけだと思うよ。それから、あたち達を庇ってくれたポレット先生にも感謝しなきゃ。そうじゃなきゃ、今頃、ガーディアンたちのキツい尋問にあってたかも」ぎゅうう(とアイルークッションの首を絞めてみせる)
ヴィルヘルム「考え過ぎだ。あいつは自分の立場を守りたいだけさ。修学旅行中に生徒たちが問題を起こしたとあれば、真っ先に責任を取らなきゃいけねぇんだからな」
キンババ「そうとも言い切れないよ。先生はビリー達の将来のことも考えて、見逃してくれたのかも」
ヴィルヘルム「だったら尚更、贖罪させる方が有効だ」カキカキ
キンババ「だったらなんで?」
ヴィルヘルム「そんなの簡単だろ?あいつはビリーたちよりも、こいつが選んだ道を信じたのさ」(と、こちらにチョークを向ける)
キンババ「なるほどね・・・ポレット先生が自分の推測をガーディアンたちに話さないことを祈るとするよ」
ムーア「んふふふふふ♪」ぎゅう(とアイルークッションを抱きしめる向こう側では、キンババがなんとなく納得したような顔でこちらを見ている)
ヴィルヘルム「人の顔色ばっかり窺ってると何も始めることはできねぇぞ。峯山龍を撃退したハンター達を少しは見習うんだな」カキカキ
キンババ「別にいいさ。僕は学者になるんだから」ふん
ムーア「書士隊なら、少しは体も鍛えないとダメみたいだよ?ルチアが前に言ってた。書士隊の中にはハンター出身の人もいるんだって」
キンババ「いいの。僕は机上でこそ才能を発揮するタイプなんだから。だいたい、この街だって無防備すぎやしないかい?あんなに巨大なモンスターがいるって分かっているのなら、街の基盤になっている一枚岩の周囲に城壁を作るとか、防衛対策をしっかり練るべきだよ」
ヴィルヘルム「作ったところで、あんなでっかいのに突っ込まれたら最後さ。近い将来、あいつがまたリターンしてきて今度こそ、街目掛けて砂漠の上をスライディングしてくるかもな」あははははは(と呑気にわろうている視点の主はその予見通り?「薔薇と黒の抗争」にてその再現をしてみせる結果となるのは言うまでもない....)
キンババ「それよりもさっきから君、何してるのさ?」(隣で石ころに何かを書くのに夢中になっているヴィルヘルムに)
ヴィルヘルム「街で世話になった連中に俺様からの感謝状だ」カキカキ
キンババ「その作業を今から?君って意外とそういうところだけはしっかりしているよね」
ヴィルヘルム「たくさんいるからな。今のうちから書いておかないと全員に配れないだろ?これは観光協会の猫にだ」スッ(見せてくれたまあるい石ころには大陸文字で「どうも ありがとう」と書かれている)
ムーア「いいんじゃない?シンプルで逆に気持ちが伝わると思うよ。あたちも何か書こうかな・・」
キンババ「ロックラックにいられるのもあと少しかぁ・・」はぁ~~
ヴィルヘルム「お前のダメなところは、なんでも先読みし過ぎてネガティブになるところだ。今をしっかり生きろ。って、パパがよく言ってる」カキカキ
キンババ「そのバールボーン家のポジティブ思考は見習うことにするよ・・・で、今度は誰に書いているのさ?」
ヴィルヘルム「ああ・・これはな・・・」(石ころには「また明日な」と書かれている)
とんとん(ドアの外より「ちいちゃいノック」が聞こえてくる)
ムーア「その送り主が来たよ♪どうぞ!!」
かちゃり・・
ロージー「・・・・・・・・・・・・・」そぉ~~~(おそるおそるドアからきれいに半分だけ顔を覗かせて室内のメンバーを確認している)
ムーア「おはよう!ロージー♪今日はなにして遊ぼうか!?」
ロージー「♪」にっこり(その声質と反応に安心したのか、ドアより顔を全部見せてくれるツインテールの幼女の天使のような笑顔)
To Be Continued

★次回ストーリーモードは3/19(木)0時更新予定です★