~取引当日・・大砂漠、北東ゲスコ自治領内


「ガァ~!ア~!」
GOTOGOTOGOTOGOTOGOTO

(広大な砂漠の中、大きな木製コンテナを荷車に乗せた3機のガーグァ便が、暑さに負けずゆっくりと並走している。荷台の前では御者が手綱を持ち、ガーグァを操舵している)
ダグ・エリクセン「ほれ!頑張れ!」グイグイ

ガーグァ「ゴゲー

アブドゥラ・ムバラク「おいおい。そんなに力一杯、手綱を引っ張っちまっちゃ、ガーグァの首がもげちまうぞ」ゴトゴトゴト(並走しながら声をかける、頭にターバンを巻いた痩せ型浅黒系髭男。砂漠の民が着るエスニック衣装に身を包んでいる)
ガーグァ「コケラ!」
ムバラク「ははははは!うちのガーグァもあんたの運転は嫌だってよ」ゴトゴトゴト・・
エリクセン「ふん。それより、そっちは調子どうだい!?え~と・・」ゴトゴトゴト・・
サミー・エブエ「エブエだ。調子はお前の荷車よりは順調だ」ゴトゴトゴト・・(真っ直ぐ前だけを見ながら静かに荷車を走らせる、屈強な黒人。マスク外しのドーベル装備(ガンナー用)を当たり前の様に着こなしている)
エリクセン「ハン!どいつもこいつもバカにしやがって。そら!」ぺし~ん

ガーグァ「ゴゲー


エリクセン「ハハハハハハ。少しはラリーする気になったか?」
ガーグァ「ゴケ・・!」ギラ(振り向きざまにエリクセンを睨む)
エブエ「遊ぶのはよせ。お前たちホワイトの悪い癖だ」ゴトゴトゴト・・
ムバラク「そういうこった。だいたいあんた。暑くねぇのか?そんな甲冑なんか着込んでよ」ゴトゴトゴト・・
エリクセン「クーラードリンクさま様だよ。それとここはハンターのいない非狩猟エリアだぞ?ってことはだ、いつ得体の知れないモンスターが襲ってくるかもしれねぇんだ。この甲冑はな、その万が一の時の為に、知り合いのハンターから借りてきたんだ。いいだろ。って、そっちのあんたは本物のハンターか?」
エブエ「元だ。今は独立して運び屋をしている。あんたもそうだろ?ホワイト」ゴトゴトゴト・・
エリクセン「俺はガーグァの調教師だ。丸鳥を優秀な牽引車に育てちゃ、闇キャラバンに高値で売る。結構いい金になるんだぜ。よっ」パシ~ン

ガーグァ「コケラッチョ

ムバラク「そんな雑な腕でも喰っていけるもんなんだな

エブエ「調教師がなぜ今回の話しを受けた?」
エリクセン「いつもの様に、都の酒場で飲んでたら黒服の男が近づいてきてな。短時間で高単価の仕事があるって聞いて来たんだよ。それに乗っかったまでだ。あんたは?ブラック」
エブエ「・・・・。場所がモガであったという違いくらいで俺も同じ経緯だ」
エリクセン「ま、俺らの仕事の受注の仕方はだいたいそんなもんだよな。出発を急ぐあまり、お互い名前しか言ってなかったが、ゲスコの旦那。あんたは三人の中で唯一のゲスコ領内出身者だろ?あんたも黒服の男からコンテナを背負ったこのガーグァ便の居場所を聞いて来たのか?」
ムバラク「ああ。まったく同じだ。俺以外に「二人の運び屋」が、村外れにある廃墟でコンテナを積んだ荷車と共に待っているから、お前はこの「101」のコンテナに乗れ、だとよ」クイ(真後ろに積んでいるコンテナにの横には白線文字で「101」と書かれている)
エリクセン「ああ、それなら俺も指定されたぜ」(コンテナには「103」の文字)
エブエ「・・・・・・・」ゴトゴトゴト(コンテナには「102」の文字)
ムバラク「あんたら、こいつの中身を聞いたか?」
エリクセン「い~や。聞いたがその答えは「気にするな」だとよ。だからそれ以上は問いたださなかった」
エブエ「あくまでも俺達の任務は、目的地であるエリア13の指定ポイントまで、それぞれがこのコンテナを無事に運搬させること。荷物の確認は終着地にいる受取人が行い、問題が無ければその場で現金10万Zの報酬金を得られる・・・箱の中身が何であろうと知ったことではない。俺は自分の荷物を運ぶことに専念するまでだ」
エリクセン「そう言わず三人仲良くゴールしようぜ。そういうわけだから、俺も箱の中身には興味を持たないことにするよ」
ムバラク「俺らに頼むこと自体がまともな仕事じゃねぇって証拠か」
エリクセン「それに俺たち稼業の成功の秘訣は、「深入り禁物と余計なものを見るな、聴くな」だろ?黙って運びましょ」ゴトゴトゴト・・
ジリジリジリジリ・・・・

ムバラク「しかし、この日照りでも文句ひとつ言わず走り続けるとは、よく調教されたガーグァ達だな」
エリクセン「あんたらより先に現地入りした際に、俺が飲ませておいたんだよ。こいつら用に調合(ブレンド)された特製のクーラードリンクと強走薬をな」
エブエ「なるほど。さすがはプロだな」
エリクセン「少しは役に立つって証明したかな。それよりよ、ゲスコの旦那。あんたは地元のナビゲーターとして雇われたんだろ?この大砂漠の道案内人として」
ムバラク「そういうこった。俺も普段はあんたらと同じ部類の家業だ。あんたらも知っての通り、ゲスコは内戦があってから戒厳令が出てな。今では政府軍が領内の実権を握っている。その軍人相手にいろいろと必要なものを売ってやってるわけさ」
エリクセン「バイヤーか。ルートは?やっぱり暗黒商会(ブラックギルド)か?」
ムバラク「よせやい。あんなあぶねぇ連中と直で取引出来るほどの「大物」なら、こんなせこい仕事引き受けるわけねぇよ。それに自分の売買ルートを簡単に教えるほど、俺はお人好しじゃねぇ・・よっと」パシ~ン

ガーグァ「コケラッチョ!!」どすどすどすどす
ムバラク「どうだ。俺もコツが飲み込めてきたぜ」
エリクセン「へぇ・・器用なんだな。ワケありの交渉人ってのは。それで?パイプラインはどこなんだ?」にやにや
エブエ「おおかた、サザンゴッドで得たオリジナルルートだろう。なにせあそこの街は、諸勢力が支配する縄張りエリアが統合して成り立っているからな。その勢力下から物資を調達してきては、このゲスコで売り捌いているのだろう」
ムバラク「・・・・・・」(しらけた顔で手綱を持つ)
エリクセン「図星みてぇだ。つーかよ、このゲスコの旦那が、安全なルートかつ最短ルートで荷物を運ぶ為に雇われたのだとしたら、俺らにも何か意図があって黒服の野郎は声をかけてきたってことか?」
エブエ「だろうな。そうだとすれば俺の役割もまた必然的に見えてくる」
エリクセン「??」
エブエ「気をつけろ。二時の方向から砂中移動の振動音が聴こえる」すっ・・(目を閉じる)
エリクセン「ああ?」
ムバラク「早速来やがったな!この砂場近辺には人型を襲うデルクスが出没するんだよ!!」
エリクセン「ゲーッ!ってマジかよ!?俺はハンターじゃねぇから小型でも相手しないぞ!!出来んのはあんたらの遺体を綺麗さっぱり運ぶことだけだ!!」あたふた
エブエ「慌てるな。二人共、ガーグァを止めろ」グン

ムバラク「あいよ!」グン

エリクセン「あ~クソォ~!!」グーン

きき~~~~~~~~~~

(3機のガーグァが砂上でブレーキをかけ停まる)
ムバラク「どうするんだ?」
エブエ「そこで待ってろ」ガッ(運転席隣に置いてある弓を掴む)
エリクセン「おお?そいつは」
エブエ「ハンターボウというものだ。狩猟者が弓術を学ぶ上で一番分かりやすい様、ベーシックに設計されたものだ」バッ

ザシュザシュ・・・(砂上を静かに歩く、頭以外はドーベル装備に身を包んだ男。パンツの色は潔い「白」)
エリクセン「なんだよ、あいつ。人のことホワイトホワイトって揶揄するわりには、てめぇが一番の純白じゃねぇか

エブエ「・・・・・・・・・」スッ(その場に屈む)
スッ(砂上に耳を当てる)
エブエ「・・・・・・(三匹・・・・連携をなしての奇襲か・・。知的生命体種のデルクスといったところか)」
エリクセン「ほんとに大丈夫か?ガーグァ走らせて逃げたほうがマシじゃねぇの?」ぼりぼり(長い金髪の頭を掻く)
ムバラク「デルクスってのは普通の人型にすりゃ、砂中のサメ同然。ここでやっちまえるんなら越したことはねぇ。それに、あいつのボディガードとしての腕を拝見出来るいいチャンスだ」ふふ~ん
シャーーーーーーーーーー
(砂中から中で泳ぐ音が聴こえる)
エブエ「三方向から奇襲をかけようと無駄だ」ギュリ(天に向かって弓を引く)
エリクセン「なんのつもりだ?」
ムバラク「ありゃ・・曲射ってやつだよ」
エブエ「ムン・・・・!!」ギュリギュリ・・・

ショキーン・・・
ショキーーーーーン
エブエ「ハァッ!!」バショーーーーーン

ヒョオオオオオオオオオオ!!
(天高く三方向に矢が飛ぶ)
エリクセン「本当に大丈夫なんだろうな」
バギョーーーーーーーーン

(それぞれの矢が空中で弾け、無数の礫となり凄まじい速度で砂上に降り注ぐ)
エリクセン「おお!!」
ドギャーーーーーーン

(三方向で礫が降下した着弾地点で大爆発が起きる)
ムバラク「うぉ~っぷ!!」バシャーン

エリクセン「いてててて!!」バシャーン

シュウウウウウウウウ・・・・

(砂煙と硝煙が入り混じった背景をバックに、何事もなかった様な顔をしながらエブエが静かに荷車へと向かって歩いてくる)
エリクセン「やったのか・・?」
ムバラク「どれ」スチャ(双眼鏡を覗く)

ピクピク・・ピクピク・・・・・・
(砂上で三匹のデルクスが痙攣しているが間もなく息絶えそうである)
ムバラク「なんと。ゲスコの軍人でも掴まえるのに苦労したデルクスを一瞬で・・」
エブエ「知的生命体種なんだろうが、悪知恵が働く前に射止めてしまえば、ただの普通種同等。我が特製の爆裂型の矢を使えば容易いものだ」ザッザッザッザ
エリクセン「どうやら頼りになるボディガードの様だぜ」
エブエ「行くぞ」シュタッ(颯爽と荷車に乗る)
GOTOGOTOGOTOGOTO

(コンテナを牽引した三騎のガーグァ便は、やがて山脈地帯が長年の浸食作用によって削りだされた渓谷地区に到着する。乾燥した茶色の巨大な断崖が無数に広がり、その背景とはあまりにも対照的である小さなガーグァ便を出迎える)
エリクセン「よっしゃ!もうグレート・ゲスコ・キャニオンに到着だ!予定よりもずいぶん早いぜ!?やるじゃねぇか、ゲスコの旦那!!」ゴトゴトゴト・・
ムバラク「地元民をなめるなよ。ここを抜ければエリア13は眼と鼻の先だぜ」ゴトゴトゴト・・
エブエ「あの断崖の間を抜けて行くのか?」ゴトゴトゴト・・
ムバラク「その最短ルートも頭の中にある」つんつん(ターバンに巻かれた頭を指さす)
エリクセン「頼りにしてるぜ」パシーン

ムバラク「エブエ。断崖に入るぞ。崖の上からモンスターが奇襲を仕掛けて来ないか警戒していてくれ」
エブエ「分かった」ギュッ(背中の弓を掴む)

GOOGOTOGOTOGOTOGOTO・・・・
エブエ「・・・・・・・」ゴトゴトゴト・・(先頭で両脇の断崖上を警戒しながら進む)
エリクセン「この中に入っちまえば随分涼しいもんだな」ゴトゴトゴト・・
ガーグァ「ヒ~ヒ~

ムバラク「お?大丈夫か。あんたのガーグァだけ、なんだか疲労してねぇか?」
エリクセン「どういうことだ・・」
ムバラク「あんたのコンテナだけ重量があるんじゃないのか?」
エリクセン「ああ?知らねぇよ。俺はただ指定された103のこいつに乗ってるだけだ。ほら!食え!」ポイ

ガーグァ「コケ♪」パクッ(上手に口でキャッチして食べる)
ムバラク「なにを食べさせたんだ?」
エリクセン「強走薬に漬け込んだサツマノイモだよ。ほら、獣人族がよく栽培して食ってる、どの大地にも育つことで有名な芋だよ。生でも食えんだぜ?非常食には最適だ。あんたも食うか?」ガジッ

ムバラク「いや・・遠慮しておく

エブエ「了解」ゴトゴトゴト・・
ムバラク「しかし、こいつを運ぶだけで10万Zたぁ~本当にいい仕事だ」
エリクセン「けどよ、俺達のゴールがあるエリア13の指定ポイントってよ、地図を見る限りだと断崖じゃねぇか?」
ムバラク「その下にでも受取人が来てんだろうよ。報酬金と一緒にな♪」
エリクセン「なぁ、巷で流行ってるエリア13の噂・・知ってるか?」
ムバラク「断崖の洞窟内から、うめき声や悲鳴がするって話しだろ?くだらねぇ。いにしえ麻薬でもやったどこぞのハンターが幻聴でも聞いたんだろうよ」
エリクセン「そんなもんかね」
ムバラク「そうさ。それにハンター連中ときたら何でもかんでもモンスターのしわざにしたがるからな。もっぱらこの大砂漠じゃ狩猟出来る大型生物が少なくなっちまったもんだから、次は悪霊退治でゼニーを稼ぎましょうって魂胆なんじゃねぇのか?どっちにしたって俺たちビジネスマンは実存主義だ。うつけハンターの流すデマなんざ気にするんじゃねぇよ」
エリクセン「なに・・裏稼業に通じるあんたの意見を聞いてみたかっただけだよ」
ムバラク「はぁ~?」
エリクセン「って、しっかし高ぇ~断崖だなぁ。大陸世界遺産に任命されてないわけ?ここ」
ムバラク「内戦領土が近いからな。そのせいじゃねぇのか?」ふぁ~(あくびする)
エリクセン「すっげぇ~いい場所なのにな・・・・こういう大自然が生んだ絶景が大好きな妹にも見せてやりてぇや・・」ほけぇ~(高くそびえる両脇の断崖を惚れ惚れしながら眺めてる)
ムバラク「妹さんがいるのか」
エリクセン「ああ・・義理のだけどな。本当の家族さ」
ムバラク「孤児を拾ったのか・・・ま、家族思いなのはいいこった。無事に任務が終わったらまた来るんだな。おい!エブエ!次を右だ!!」
エリクセン「ほんと・・・ゆっくり見たいもんだな・・・」ほけぇ~
ホワホワホワホワ・・・・・

(その頭上を一匹の光蟲が舞う)
エリクセン「んん?」
ムバラク「ハハハハハ。呑気なことを言ってるから光蟲(ひかりむし)にバカにされてるぞ?エブエ!どうだ!?モンスターの気配はするか!?」(首を横にかしげ前を進む荷台に話しかける)
エブエ「今のところ平気だ!安心してついてこい!」(先頭を行くコンテナの後ろ姿から声だけが聴こえる)
ムバラク「よしよし。着々と報酬金が近づいてきくるな。ひっひっひっひっひ」
エリクセン「なぁ・・」ゴトゴトゴト・・・(大股を広げ、断崖を見ながら呆然と話す)
ムバラク「ああ?なんか言ったか?」ゴトゴトゴト
エリクセン「モンスターの気配よりもよ、人型に注意した方がいいんじゃねぇ?」
ホワホワホワホワ(頭の上を光蟲が舞う)
ムバラク「・・・・・・・荷を狙った賊か?そんなものこそ、元ハンターのエブエが撃退してくれるだろうよ」
エリクセン「盗賊程度ならいいけど・・な」ん~(手を額にかざしながら崖の上を眺める)
じーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(崖の上からガーグァ便を見つめるあやしげな視線)
??「ひょっひょっひょっひょっひょ・・・発見したでしょ」
バベーーーーーーーーーン!!

UBU「ひょっひょっひょっ!!いけない「コンテナ」部隊・・見つけたでしょ!」
「あたちのモンハン日記」
Massive Unidentified Target

UBU「さて、砂漠のシーフごっこといきましょうか」にか
To Be Continued




ランキング参加中でるくす☆皆様の激アツな一票お待ちしておりますことよ♪
そんなこんだの次回「あたちのモンハン日記」ザ・ストーリーモードはぁ~・・
7/10(木)0時更新 Massive Unidentified Target/PART4
をお送りします♪果たして「砂漠の盗賊ごっこ」と称したUBUの狙いや如何に!?
気になる次回も金切り声をあげながら読もう叫ぼうクルクル回ろう♪ラララァ~
