メイド猫「終わりました。陛下」スススス・・・(頭を垂れながら後退するメイド猫達)
ザベーーーン!!

猛豚「う、うむ。ご、ご苦労であった」(威厳あふれる漆黒のチョハ(胸に弾帯の付いた長い丈のコート)に細身の黒いロングブーツ。ベルトには長剣を挿している。だが、もちろんパンツは履いていない)
メイド猫「・・・・・・・・・」うっとり(他のメイド猫が頭を下げる中、上目遣いでその威厳ある猫王を見つめる赤ぶち猫のメイド。見るからに新米であるにも関わらず頭の後ろにドでかい派手な真紅の薔薇型リボンを付けている)
メイド猫「鈴麗(リンリー)」(下を向きながら声を掛ける、凛とした青ぶちベテランメイド猫。見るからに利発そうな切れ長の目をしている)
鈴麗「はっ


メイド猫「陛下。正午までまだもう少しお時間がございます。どうでしょう。気分転換に少し外に行かれては?」
鈴麗「はいは~い!!それならば鈴麗がご一緒に・・!!」バッ

むんずっ

メイド猫「いかがでしょう?」にこ
猛豚「か、構わん。ち、朕はここにいる。じ、時間になったら迎えに来るのだ・・・・」
メイド猫「・・・・・・??」
猛豚「・・・・・・・・・」(ベテランメイド猫を凝視している)
メイド猫「姜淑でございます」にこり
猛豚「きょ、姜淑・・・た、頼んだぞ」トスッ(そう言うと玉座に腰を下ろす)
こちん(腰に差している長剣の鞘が玉座の肘掛けにぶつかる)
猛豚「・・・・・・・・・・」
鈴麗「あ・・」
猛豚「・・・・・・・・・・」ショキーーーン(腰掛けたまま長剣を鞘から抜く)
メイド猫達「ひいいいいい

猛豚「・・・・・・・・・・」(美しい輝きを見せる長剣の刃を眺めている)
姜淑「その宝剣は本日の結婚式より陛下とお妃様の吉報を導き示す厄除けの護り。選りすぐりのエルトライト鉱石を、国一番の刀工に鍛造させたものです。武勇溢れるフェイリンメイリン国の王を象徴する逸品かと」
猛豚「き、奇面族の王も、こ、好んで剣を持つという・・ち、朕は争い事は好まない・・。だ、だが王妃を守る為ならば、ま、迷わずこの剣を振るおう・・」チャッ(宝剣を掲げる)
鈴麗「わぁ・・・・」うっとり(その姿に見とれている)
姜淑「では陛下。お時間になりましたらお呼びに参ります」むんずっ(呆けてる鈴麗の猫首をとっ捕まえてメイド達と一斉に頭を垂れる)
猛豚「う、うむ」(宝剣を見上げたまま答える)
「あたちのモンハン日記」
~Sanctuary of extinction~
キコキコキコキコキコ・・・・・(神殿内の回廊を白い布で覆われたキッチンワゴンを押しながら進むベテランメイドメラルー)
千恵子「・・・・・・・・・・」キコキコキコキコ・・
カツカツカツカツカツ・・・
(前方よりメイド猫達が歩いてくる)
姜淑「・・・・・・・・・・・」カツカツカツカツカツ

千恵子「・・・・・・・・・」キコキコキコキコ・・
姜淑「・・・・・・・・・・・」カツカツカツカツカツ

鈴麗「千恵子さんニャ♪」ととととと(両手を上げ姜淑を追い抜いていこうとする)
むんずっ

鈴麗「みゃあ

姜淑「・・・・・・・・・・・」ピタ(足を止める。一斉に後方のメイド達も止まる)
千恵子「・・・・・・・・・・」キコキコキコキコ・・
姜淑「これはこれは千恵子さん。これから王妃様のお部屋へ?」
千恵子「ああ。あんた達は陛下のお召し替えだったね。その様子じゃ無事に終わったみたいだ」
姜淑「王妃様のドレスの着付けも終わっています。お食事を?」
千恵子「そうだよ。花嫁ってのは式の途中は大したもの食えないだろ?だからさ」
姜淑「そうですか。なんなら「私の」メイドを一人派遣させ、お手伝いさせましょうか?」にや
鈴麗「はいは~い!それなら鈴麗が・・」
むんずっ

鈴麗「みゃあ

千恵子「確か、あんたと鈴麗は従姉妹同士だったね。仲良しこよしもいいが、遠慮しておくよ。群れをなすのは好きじゃないんでね。それにあたしは王妃様専属の女中だ。手広い仕事を任されて、てんやわんやしてるあんた達が王妃様の前で粗相を起こしたとあったら、ギロチンどこじゃ済まないだろ?」くす
姜淑「それは余計な気遣いでした。コニー・ファウラーの「オトモ」さん」フフ・・
千恵子「東方訛りがきつくて、何を言ってるんだか聞き取れないね。小さな群れの王妃様」
姜淑「無産階級出身の猫というのは実に口が悪い。そんな味覚で王妃様の毒味が出来まして?」フフフフ(後方の猫達はみんな気まずそうに目を逸らしている。鈴麗だけは対峙する二人の大人猫をきょろきょろと不思議そうに眺めている)
千恵子「覚悟がなきゃ務まらないことだってあるんだよ。せいぜい、あんたは出世欲にかられてるといいさ。さ、どいておくれ」
姜淑「・・・・・・・」じろ(白い布で覆われたキッチンワゴンを見つめる)
千恵子「・・・・・・」ぎゅっ(ワゴンを掴む肉球に力が入る)
鈴麗「千恵子さん千恵子さん!コニーちゃんはどうしたニャ?今日は姿を見せないけど」きょろきょろ(額に手をかざして、いるはずもないコニーを探すそぶりをする)
千恵子「病欠だよ」
鈴麗「にゃにゃ。可哀想ニャ・・せっかくの結婚式を見れないニャんて・・」がっくし

姜淑「昨晩、警備兵による誤射が花嫁部屋に直撃したとお聞きましたが、その時あなた方も部屋にいたのですよね?」
鈴麗「えーー!!じゃあコニーちゃんはその時、怪我をしたニャ!?」
千恵子「心配ないよ。少し疲れがたまっていただけさ。しばらく安静にしていれば・・大丈夫だよ」
鈴麗「それはほっとしたニャ。コニーちゃんはお家に帰ったの?」
千恵子「ん・・・ああ。そのうちいつもの元気な笑顔で戻ってくるさ」
鈴麗「わ~い♪そしたら鈴麗、お見舞いに行くニャ~♪」ぴょーんぴょーん

むんずっ

鈴麗「みゃあ


姜淑「では千恵子さん。我々は式の準備がありますので、これにて」ぺこり
千恵子「ああ。そうだ」
姜淑「なにか?」
千恵子「あんたは性根は悪いが、リーダーとしての存在感と統率力は兼ね備えている。これからもメイド達の世話と教育を頼んだよ」
姜淑「??」
千恵子「じゃあね」キコキコキコキコキコ・・・(メイド達の間をぬって進んでいく)
姜淑「・・・・・・・・・・」(千恵子の後ろ姿を見つめている。その横では鈴麗が健気に手を振っている)
メイド猫「姜淑様。我々も行きましょう」(おそるおそる話しかける)
姜淑「わかっています。さ、鈴麗」むんずっ

カツカツカツカツカツ・・・
キコキコキコキコキコ・・・・
千恵子「・・・・・・・・・」キコキコキコキコ・・
キコキコキコキコキコ・・・・
(ドアの両脇にボウガンを携えた警備兵(ザザミ装備の)が立つ部屋の前に到着する)
ザザミ警備猫「イーーーーーーッ!!」(敬礼する)
千恵子「ああ。あんた達こそご苦労様。異常はないかい?」
ザザミ警備猫「イー!!イッイッ!!イーーーーー!!」
千恵子「そうかい。そりゃ朝から大変だったね。なにせ昨日の今日だ。しっかり警備するんだよ。じゃあ中に入れておくれ」
ザザミ警備猫「イッ」
ガチャ(大人しく部屋のドアを開ける)
ザザミ警備猫「イッ」
千恵子「ありがとよ」
キコキコキコキコキコ・・・・
(キッチンワゴンを押して部屋の中に入っていく千恵子)
ザザミ警備猫「イッ」
バタン

キコキコキコキコ・・
千恵子「・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(千恵子が目にしたのは、窓際に呆然と立つ、華やかなパールピンクのアンダードレスの上に、純白ドレスを着用したフラワーの姿であった)
フラワー「・・・・・・・・・」(ベルトはアンダードレスと同色の幅広ロングベルトを巻いており、長い帯がスカートの正面で二又に垂れ下がっているのが特徴的である)
千恵子「とても綺麗だよ。王妃様」
フラワー「・・・・・・・・・」(千恵子が部屋に入ってきていることすら気づいていない様子である)
千恵子「可哀想に。薬の量を増やされたんだね。でも大丈夫だよ。さぁ」スッ(白い布をめくり上げる)
シュッ


影丸「フラワー殿。ご無事で何よりです」スッ(片手を地面について伏している)
フラワー「・・・・・・・・・」
千恵子「さ、あんたも挨拶しな」ごそ(ワゴンの下から何かを両手で掴み上げる)
ブッチャービートル「カナカナ・・ケショーン」(非常に目つきの悪い猟虫)
千恵子「いい子にしてな」スッ(ワゴンの上に猟虫を乗せる)
影丸「千恵子殿。例のものを」
千恵子「早く。警備猫が入ってきちまうよ」サッ(影丸に何やら薬包紙を手渡す)
影丸「うむ」
ザザミ警備猫「イ~~~」ちらちら(ドアを気にしてる)
ザザミ警備猫「イ?」
ザザミ警備猫「イ~。イッイッ。イ~?」(食事を持ってきただけなのになんだか長すぎやしないかい?的な)
ザザミ警備猫「イッイッ」(GOGOのサインをする)
ザザミ警備猫「イッ?」(俺?みたいな)
ザザミ警備猫「イー!イー!」(いいから入れ、みたいな)
ザザミ警備猫「イ~・・」(そういう役割はいつも俺かよ、的な)
スッ(ドアノブを開けようとする)
ガチャ(その瞬間、中からドアが開く)
ザザミ警備猫「イッ

千恵子「おや?どうしたんだい」キコキコキコキコ・・
ザザミ警備猫「・・・・・・・・」ちろ(こっしょりと部屋の中を目視で確認する)
・・・・・・・・・・・・・・・・・
(相変わらず王妃は窓際に立ちすくんでいる)
ザザミ警備猫「イッ」(異常なし、的な)
バタン

千恵子「お水だけで十分だとさ。緊張で食事は喉を通らないんだろうよ」
ザザミ警備猫「イ~~・・・」
千恵子「平気さ。式が終われば緊張も解けて、お体もよくなるさ」
ザザミ警備猫「イーー!!」
千恵子「あ、そうだ。正午になったらあんたらが王妃様を神殿の外までエスコートしな」
ザザミ警備猫「イ~!?」(二人して「俺が?」的な)
千恵子「そうだよ。あたしはベランダで式を観覧する大事なゲスト達に出す食事を運んだり、その支度やらで忙しいんだ。いいね?粗相のないようにやるんだよ」
ザザミ警備猫「イーーー!!」ビシッ(今日一の敬礼をしてみせる)
千恵子「ああ、そうだ。神殿のどっかに空き樽はないかい?」
ザザミ警備猫「イ?」
千恵子「そう。大樽だよ。頂きもののワイン樽が壊れそうでね。移し替えたいんだ」
ザザミ警備猫「イッ。イッ~。イッイッ」
千恵子「倉庫に大タル爆弾用の樽がたくさん余ってるって?そりゃ助かる。使わせてもらうよ」
ザザミ警備猫「イッ」
千恵子「じゃあ、くれぐれも頼んだよ」
キコキコキコキコキコ・・・
ザザミ警備猫「イ~~!」ふん(おお仕事を任されて鼻息を荒くする二人)
~フェイリンメイリン国領内、武器工房、工場室....

ロイ「・・・・・・・・・・・」(がっくりと肩を落とし椅子に椅子にもたれかかっている)
・・・・・・・・・・・・・・(机の上にポツンと置かれた、でっかい肉球の型をしたエメラルドグリーンの宝石がはめられた婚約指輪)
ロイ「コニー・・・・」
コンコン
ロイ「・・・・・・・・・・・」
ダミアン「工場長~。言いつけ通り、全部輸送し終わりましたよぉ~」ぱたぱた(汗だくで自慢のリーゼントが少しだけ乱れている)
ロイ「そう・・・・・・」
ダミアン「あれ。なんもしてねぇ。珍しいこともあるもんすね」よっ(デスクの上に腰を下ろす)
ロイ「・・・・・・・・」
ダミアン「・・・・・・・・・」ちら
・・・・・・・・・・・・・・・・
(デスクの上の婚約指輪に気づく)
ダミアン「・・・・・・・・。もうすぐ正午っすね」
ロイ「ああ・・・・・・・・」
ダミアン「午後の予定はどうします?」
ロイ「君に任せるよ・・・」
ダミアン「・・・・・・・・。そうだ。工場長、昼休憩、行ってきたらどうです?」
ロイ「・・・・・・・・・・」
ダミアン「確か結婚式も正午からでしたね。もうそろそろだ」う~ん(伸びをしてみせる)
ロイ「うん・・・・・・」
ダミアン「あ。そういや、神殿の警備兵にマニュアル渡すの忘れたなぁ・・・」ガサリゴソリ(汗だくのTシャツの中からボロボロになった紙切れを出す)
ロイ「・・・・・・・・・」
ダミアン「工場長、渡してきてもらえます?」スッ(ボロボロの紙切れを無理やり手渡す)
ロイ「え・・・・」
ダミアン「さ!行った行った」ぐいぐい

ロイ「ちょ・・・・」
ダミアン「今から行けば式には十分間に合うんじゃないすかね。そういや、フレッカーさんが神殿内のバルコニーで観覧するって言ってたなぁ・・・工場長なら顔パスで中に入れるんじゃないすか?」
ロイ「??」
ダミアン「もう!うといんだから!!有権者達に食事を出すのはメイドの仕事でしょ!?そこで久しぶりに会ったらどうです!?愛しのコニーちゃんに!!」ガッ(婚約指輪を拾いあげる)
グン

ロイ「・・・・・・・・・」
ダミアン「あ、それから今日はもういいっすよ、帰って来なくて。午後はいつも通りでいいんでしょ?俺が仕切りますから」
ロイ「ダミアン・・・・・」
ダミアン「ワーカホリックじゃ工場は守れても、愛する女は守れませんぜ。会いたいんでしょ?コニーちゃんに」
ロイ「・・・・コニー・・・・」グッ(指輪を強く握りしめる)
ダミアン「ただ神殿に会いに行くだけじゃないすか。それが少し遅れただけっすよ。会っちまえば、そんなことすぐに・・」
ロイ「そうだ・・・遅すぎたんだ・・・!」
ダミアン「へ?」
ロイ「ダミアン!!もしも僕が帰って来なかったら、工場は君が仕切ってくれ!!いいね!?」
ダミアン「はい?」
ロイ「じゃあ行ってくる!!待ってろ!!コニー!!」ダッ

ダッダッダッダッダッダッダッ

(一目散に部屋を出て行くロイ)
ダミアン「・・・・・・・。やれやれ」(と言うものの顔は実に清々しく笑っている)
ダッダッダッダッダッダッダッ

ロイ「はぁ・・はぁ・・!!(そうだ・・僕がここまで頑張ってこれたのも、コニー!君がいたからなんだ!!)」
ズデーーーーーーーーーン

(走り慣れていないせいか豪快につまづく)
ロイ「はぁ・・はぁ・・・!!」ダッ

ダッダッダッダッダッダッダッ
ロイ「はぁ・・はぁ・・!!(コニー・・・君がいなければ・・君がいなければ僕は何一つ出来やしないダメ猫なんだ!!)」
ダッダッダッダッダッダッダッ

ロイ「コニー!!僕には君が必要なんだ!!それに気づくのも、君に会いに行くのも遅かったんだ!!許してくれぇえええええ!!!!」(泣きじゃくりながら走る)
ダッダッダッダッダッダッダッ

ロイ「待ってろ!!コニー!!必ず僕が君を助けて出してやるからな!!」グン(全力疾走しながら強い決心と共に涙を拭う)
To Be Continued



次回「あたちのモンハン日記」ザ・ストーリーモードは
6/11(木)0時更新 「水没林のジューン・ブライドってか!?」の巻
をお送り致します♪次回も読もう

