~とあるあたちのユクモ、工房前....
ヒュオオオオオオオ・・・・
(村の上空を舞う火竜の親子を見上げる芸妓の後ろ姿)
雪左「いやどすわぁ~。また飛んでる」むぅ~
モミジィ「ブニャゥ。平気でごニャろう。危険を感じる様な気配は感じニャいでごニャる」よっこれよっこれ(と、加工屋の翁と共に工房より出てくる)
加工屋「ワレぁ、咳は平気けぇ?」ぽんぽん(腰を叩いている、ちょんまげツルッパゲの竜人爺さん)
雪左「ロージーはんが作ってくれた薬が効いてるうちは龍粉を吸っても大丈夫どす」にこ
加工屋「そうけぇ。そりゃ~なによりだなぅ。ほいだらぁ~、茶にしようやぁ~」
雪左「UBUはんから頂いた「あんまん」でも蒸します?」
・・・・・・・・・・
(首を左右に振る二人の翁。よほど食べ飽きている様だ)
雪左「そうどすかぁ・・そしたら代わりになる茶菓子を探さなあきまへんな・・」う~ん
ダッダッダッダッダッダッ
(村の階段を少しコケながら駆け上がってくるドボルヘルムの男。道中、階段に座っている、自称「見張りの村人」を突き飛ばしてくる)
加工屋「川村んとこのクソ餓鬼だなぅ」
カーブー「聞こえたぞ!口の減らない爺さんめ!!」ぜえぜえ
雪左「ずいぶん慌てて、どないしはりましたぁ?」ぱちくり
カーブー「雪左さん!!」ガシッ(見えてないから加工屋の両肩を掴む)
雪左「なんどす?」きょとん
カーブー「頼みがあるんだ!!今すぐ、作業の準備に入ってくれないか!?」(加工屋に向かって叫ぶ。あまりの大声に尖った耳を両手で塞ぐ爺さん)
雪左「はぁ・・・」(なんとなく頷く)
「あたちのモンハン日記」
~Fourth Stage~
~カーブーんち(実家)....
びょううううううう・・・・・・
(上空には依然として火竜の親子が舞っている)
ロージー「そういうわけでブルーベリーからアントシアニンを~、そして垂皮油を加水分解して得られたグリセリンにぃ~、骨格筋を多く含んだファンゴのお肉からカルノシンを抽出してぇ~、粉末状にした神龍苔と練り合わせぇ~、最後に古龍の涙を混ぜわせ出来上がったのがぁ~、このありがたぁ~い、ありがたぁ~い希少な目薬なのですぅ~。その道は決して順風満帆ではなくぅ~、数々の困難を乗り越え~・・」ぶつぶつ(空き瓶にほんの数滴入った赤い液体を見せびらかし、なにやら講義を続けている)
フラワー「つまり、その目薬が白内障の硬化作用の進行を止め、細胞組織を蘇らせるっていうの?」(正座して聞いているその胸では、バステトがすっかり寝てしまっている。隣では同じく正座して話を聞いている鉄平とUBUの姿も。ロージーはまだ演説を続けており、「そんな時ぃ~、私を助けてくれたのがぁ~、他の誰でもない~・・リ~、でしたぁ~」等と言っているのが聴こえる)
UBU「大丈夫かね?」こそこそ(鉄平に耳打ちする)
鉄平「素材はなんつってもヤマオモイの爺さんのものなんだ。信じるしかねぇだろ?」こそこそ
UBU「おじいさまは信頼出来るけど、調合したのはあの子でしょ?それが心配で・・」
ロージー「聞こえとるわぁ~!!あほんだらぁ~!!」ぱぁーーーーん(躊躇なくUBUをびんたした)
はぁ・・はぁ・・
(一人部屋の真ん中に立ち、怒りの興奮をおさえているロージー。その傍らで正座する二人の獣人。頬をおさえながら倒れている撫子装備の女ハンターの構図)
バステト「もみゅ?」ぱちくり
フラワー「あら、起きちゃったの?」よしよし、よいよい
UBU「あたちにも、その優しい「ゆさゆさ」してちょうだいな・・」うう・・(頬を膨らせ泣いている)
ロージー「ちょうどいいわ。バステトが起きてる間に、ちゃちゃっとさしちゃいましょ」
鉄平「うう・・やっぱり心配だぜ・・」
フラワー「平気よ。ロージーは私の命をも救ってくれた、ローゼンクロイツ家の令嬢なのよ?私は信じるわ。そして・・この子も。ね?」
バステト「ほみゃ~~~~」(甲高く鳴いてみせる)
鉄平「二人がそう言うなら・・頼むぜ、ロージー。いや、ドクター大先生」へこり
ロージー「フフ・・」ちら(倒れているUBUを見下す)
UBU「早くおやりなさいよ」ぷんすか
ロージー「でわ・・早速・・」スッ・・(バステトの目の前にしゃがみこむ)
鉄平「・・・・・・・・・・」ハラハラ
UBU「・・・・・・・・・」ドキドキ
ロージー「いいわね?目薬はこの数滴分しかないの。こぼしたら最後。バステトが瞬きしないように、見ていて」
フラワー「分かったわ」こくり
鉄平「はぁ・・はぁ・・!!」
UBU「んふぅ~!んふぅ~!」(鼻息)
ロージー「やかましいわ!!」ぱぁーーーーーーん(躊躇なくUBUに掌底ビンタを喰らわす)
バステト「みゅみゅみゅみゅみゅ♪」きゃっきゃっ(上を向いてなんだか嬉しそうにしてる)
フラワー「いまのうちよ。ロージー」
ロージー「感謝するわ、UBUちゃん」そぉ~~~~(空き瓶をバステトの顔にゆっくり持っていく)
鉄平「・・・・・・・・・・」グッ(両手を組んで祈っている)
UBU「・・・・・・・・・・・」(鼻血を垂らしながら静観している)
ロージー「それ・・・・」
ぽちゃり
バステト「みゅうううううう!?」どきりん
フラワー「大丈夫。続けて」
ロージー「今度は左のお目目ね・・・」そぉ~
ぽちゃり
バステト「ほみゅうううううう!?」どきりん
鉄平「やったぜ!初めての目薬記念日だ!!」パチぃ~ん(UBUとハイタッチを交わす)
フラワー「どう・・バステト?痛く・・ない?」
バステト「・・・・・・・・・・」うるうる
ロージー「・・・・・・・・・・」
鉄平「・・・・・・・・・・」ドキドキ
UBU「・・・・・・・・・」ハラハラ
バステト「・・・・・・・・・・・・」うるうる
フラワー「バステト・・?」
バステト「はぁ~~ぱぁ~~~!!」きゅぴーーん
鉄平「おお!?」
ロージー「予測通りの展開とみたり!!」きゅぴーーん(こっちも何故か目が光る)
UBU「ほんとかよ・・」
ロージー「フラワー!!今よ!!この手ぬぐいで両目を中心にぐるぐる巻きにするのよ!!」バッ(温泉柄のまさしく手ぬぐいを差し出す)
ぐるぐる・・しゅるしゅる・・
(母の手によって、顔面を白い手ぬぐいでぐるぐる巻きにされるモフモフ白毛の赤ちゃん猫)
鉄平「なんだってこんなことするんだ?」
ロージー「瞬きしちゃうと貴重な目薬がこぼれちゃうでしょ?それに長時間、薬を浸透させる必要があるの。バステトの白内障は成熟型って呼ばれる、目の中の水晶体が全体に白泥化しちゃう症状だから、まずはその進行を止めて、角膜や水晶体の機能を元通りにする必要があるの」しゅるしゅる(どんどん巻かれていくバステト)
UBU「へぇ・・・」やるなこいつ
フラワー「はい。出来たわ」
バステト「みゃ~~~~。みゃ~~~~」(目の上を手ぬぐいでぐるぐる巻きにされるも、嫌な感じではなさそう)
鉄平「可哀想に・・バステト・・。ドクター大先生!いつまでうちの子は、この状態を続ければいいんですか!?」ガバッ(ロージーの足元にすがりつく)
ロージー「数日間といったところね。様子を見て、外してあげましょう」(すんげぇ偉そうに)
鉄平「はい!ありがとうございました!」へこり(親子ともども頭を下げる)
バステト「うえっうえっ♪うえっうえっ♪」(足の裏をUBUにこちょこちょされ、ニヤニヤしてる)
カーーーーーーン・・!!
カーーーーーーン・・!!
ンボオオオオオオオオ
(燃え上がる釜戸の火を更に強くするモミジィ)
カーーーーーーーン!!
カーーーーーーーン!!
(オレンジ色に発火する高熱状態のドボルヘルムが小槌で叩かれ、星の様なフレアを上げる)
加工屋「・・・・・・・・・・」ごくり(吹き出る汗を一切気にとめず、全神経を集中させながら、超大型の鉄床の傍らでその作業を見守っている)
カーーーーーーーーン!!
カーーーーーーーーン!!
(暗がりの工房の壁に、小槌を力いっぱい振り下ろす、長髪を後ろに束ねた美青年のシルエットが、炎の明かりによって投影されている)
カーブー「・・・・・・・・・・・」カーーーーーン!!カーーーーーン!!(暗闇の中でひっそりと雪左を見守る、ドボルなしカーブー)
カーーーーーーーーン・・!!
カーーーーーーーーン・・!!
(カーブーの願いを込めた鍛造の金属音だけが、夜のユクモ村に響き渡る)
~数日後....
ガツガツガツガツ・・・・
(重たい足取りで階段を上がるシルバーソル装備の歴戦ハンター)
サムソン「夏場は常にクーラードリンクを飲んどらんと、この格好はしておれんな・・」
ヒュオオオオオオオ・・・・・
サムソン「またか・・・」クッ(空を見上げる)
ヒュオオオオオオオオ・・・・
(上空を舞う火竜の親子)
サムソン「やはり今日も来よったか・・。しかし、なぜ村の上ばかりを飛んでおることやら・・」ガツガツガツガツ・・・(階段を登り切り、工房の前を通り過ぎる)
ぐう・・すかぁ~~~・・・ぐうぐう・・・
サムソン「む・・・」(細目で工房の中を覗く)
くかぁ~~~・・・ぐうぐう・・・・
(工房の中で、着物を開けさせながら、鉄床の上で仰向けになり寝ている長髪の美青年。同じくその下で「ござ」を引いて寝ているモミジィと加工屋の姿も。みんな顔がすす汚れている)
サムソン「なんだぁ?」
「大丈夫。数日間、徹夜で打ち続けたから、ぐっすり眠っているだけですよ」(工房の奥から声だけが聴こえる)
サムソン「むう・・・?」むむむむ・・・
カーブー「見回りご苦労さんです、サムソンさん」ザッ・・
サムソン「ほむ・・・・・」
カーブー「・・・・・・・・・・・」
サムソン「ん・・?」
カーブー「見える・・」
サムソン「ほえ?」
カーブー「見えるぞ・・!!はっひょへぇえええええええ!!!!」
ズドドドドドドドドド
(サムソンを突き飛ばし、物凄い勢いで村へ飛び出していくドボルヘルムの男)
サムソン「むう・・・・・・・・」(訝しげな顔でそれを見送る)
~カーブーんち(実家)....
ヒュオオオオオオオ・・・
(火竜舞う空から降り注ぐ、眩い太陽光が差す六畳間内のベッドに腰掛ける龍之夫妻。フラワーはその胸に、手ぬぐいで目を覆われたままのバステトを抱いている。家族が腰を下ろすベッドの前では、ロージーらしき白衣を着た小娘の背中も見える)
バステト「あんみゃ~。あんみゃ~」きゃっきゃっ♪(お空に向かって両手を上げている)
鉄平「ドクター大先生。お願いします」へこり
ロージー「いいでしょう」えっへん(ヒゲ眼鏡を付け、尊大に振舞っている)
バステト「ほみゃ~~~?」きょろきょろ
鉄平「今、ドクター大先生が外してくれるからな」よしよし
しょるしょる・・(そうっと、手ぬぐいを外すロージー)
ロージー「さぁ、バステト。目を開けてもいいわよ」
バステト「・・・・・・・・・・・」きゅむぅ~~~(ぐっと目を瞑っている)
フラワー「バステト・・?」
バステト「みゅうううううううう」きゅむぅ~~~
鉄平「おい・・・まさか・・痛いのか!?」
ロージー「慌てないで。その逆」
鉄平「え・・・」
バステト「きゅむぅ~~~~~~~~」むうううう(両目を瞑るバステトの顔は、なにかを耐えている様な顔である)
フラワー「この表情・・・・・・」
ロージー「そう。眩しいんだよ。初めての太陽光が♪」
バステト「むにゅ~~~~~~~~~」むううううう
鉄平「頑張れ!バステト!目を開けてごらん!!」
バステト「ふんにゅ~~~~~~~~」よよよよ・・(恐る恐る細目を開く)
フラワー「そうよ!頑張って!」
バステト「はぁ~~~~~ぱぁ~~~~~~~!!」きゅぴーーーん(開眼したその瞳は、青白いままだが、明らかに以前とは違う「艶」を見せている)
鉄平「おおおおおおおお!!」
バステト「・・・・・・・・・・・・・」ぼぉ~
フラワー「・・・・・・・・・・・・」スッ・・(バステトを抱いたまま静かに立ち上がる)
とすっ(呆けているバステトをフワフワのラグの上に座らせる)
バステト「みゅうう」
フラワー「鉄平」スッ(腕を抱き、バステトの前に座る様に促す)
鉄平「うん」スッ
バステト「ほみゅうううううう」きょろきょろ(両親に背を向けたまま、部屋を見渡している)
鉄平「さぁ、バステト」
フラワー「こっちを向いてご覧」
バステト「・・・・・・・・・・・」
ロージー「・・・・・・・・・・・」(部屋の片隅で気配を消しながら立ち、それを見守っている)
フラワー「バステト。さぁ」
バステト「・・・・・・・・・・・・」おそるおそる(振り返る)
フラワー「・・・・・・・・・・・」にこ
バステト「・・・・・・・・・・・」(ばっちりと目が合ったまま静観している)
フラワー「あなたの・・・パパとママよ」(肩を寄せ合い微笑む両親)
バステト「・・・・・・・・・・・」
鉄平「・・・・・・・・・・・・」
フラワー「・・・・・・・・・・・」
ロージー「・・・・・・・・・・・・」
バステト「パ・・・・・・・・・」
鉄平「!?」
バステト「パァ~パァ~♪マァ~マァ~♪」
・・・・・・・・・・・・・・・・
(感極まり、笑顔の我が子を抱くフラワーと鉄平。部屋の済ではロージーが嬉し泣きで崩れ落ちてる)
バステト「パァ~パァ~♪マァ~マァ~♪」てしてしってしてしっ
(顔を擦り付けるのやめない両親の頭を「ちゃんと」肉球で引っ叩いている)
フラワー「見えるのね!?バステト!!」
鉄平「ほら!お前のパパだぞ!!」カポン(ドボルネコヘルムを脱ぎ捨てる)
バステト「パァ~~~~~パァ~~~~~~♪」むぎゅうううう(抱きしめてくる)
鉄平「そうだ!!お前のパパだぞ!!ちきしょ~~~~!!涙が止まらねぇえええええ♪」ぐずん
フラワー「ほら、バステト。お空が見える?」
バステト「みゅううう?」ちら
サンサンサンサン・・・・
(と、開き窓から降り注ぐ太陽光)
バステト「ぶううううううう」きゅむっ(眩しそうに目を閉じる)
ロージー「間違いないよ!!」
フラワー「じゃあ・・本当に・・・・・・」
鉄平「目が見える様になったんだ!!ひゃっほぉ~~~~~い♪」ブワッ(我が子を真上に放る)
バステト「みゅううううう?」ちら(浮きながらお空を見上げる)
サンサンサンサン・・・・
(太陽を逆光に舞う火竜の親子)
バステト「リオ!リオ!」しゅとん(父の胸の中に着地しながら何やら叫んでいる)
フラワー「え・・・・・そうよ!絵本で読んだ、リオレウスよ!!」
バステト「リオ♪リオ♪」(猫指を指して笑っている)
鉄平「ハッハッハッハッハッ!!そうだ!!おっかねぇリオレウスがお前の顔を見に来たんだぞぉ~♪」(その後ろでは親子に気を配り、こっそりと部屋を出て行くロージーの姿)
フラワー「あなたの願いが叶ったのかもね♪」ぎゅうううう(我が子を強く抱きしめる)
鉄平「ヤマオモイの爺さんも、何かに引かれて来たって言ってたが、きっとお前の魅力に引き寄せられたのかもしれねぇな♪」すりすりすり(高速すりすりを我が子に浴びせまくる)
バステト「リオ♪リオ♪ママ!!パパ!!」
ヒュオオオオオオオオ・・・・
(上空から見守る火竜の親子に向かって手を振るバステト。鉄平とフラワーは手を取り合って歓喜のダンスをしている)
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次回「あたちのモンハン日記」ザ・中継ぎ記事は!?
8/3(水)0時更新 なんも!なんも決まってねぇです
をお送り致します♪ほいだらさ!次回もよいよいハイハイしながら町を練り歩くついでに読もみよう
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「ぶううううううう」の巻
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