~砂漠の艦隊撤退より数日後・・砂原非狩猟地区....
じりじりじりじりじり・・
(四方を小高い丘に囲まれた乾燥地帯に今日も灼熱の太陽が照りつける)
ざっくざっく・・(いろんな種類のリノプロ装備を纏ったハンター達(中にはリノプロネコも混ざっている)が、あちらこちらで鍬を振りかざし畑を耕しているようだ。その中心では、轟竜が長い首を伸ばして、作業を見張っている)
バラン「俺が散々「岩飛ばし」をやって、かたい地面をほぐしてやったんだ!後はお前たち次第だ!!持ち前のガッツでしっかり耕しやがれ!!いいなぁ~!?」
おい~~~~っす
(と、いろんなリノプロ達が呼応しては鍬を力強く振り下ろしていく)
トムオ「感動しちゃうな・・この素敵な光景・・」ぐすん(潜水服タイプのリノプロキャプ越しに光る涙)
ベアコ「本当に・・。これもすべてロージー達のおかげね」(その奥ではロックラック装備のロージーの下に、ちっこいリノプロネコ達が集まっている。どうやらドスビスカスの講義を受けている様子だ)
ディアベル「やっほぉ~~~♪やってるやってるぅ~~~♪」のしんのしん・・(と、乾いた丘を登ってくる角竜。背中にはでっかい風呂敷を背負ったカーブーが乗っている。また、隣には四足歩行の潜口竜と、狗竜(ドス)も帯同している)
トムオ「カーブーさんだ!お待ちしてましたよ~!」お~~い
カーブー「よっと」しゅとっ(でかめの風呂敷をまま、角竜より飛び降りる)
ベアコ「その中に例のものが?」
カーブー「ウッス。水蛇竜の撥水甲を使った狩猟武具っす。あちこち駆け回ったんすけど、今回はこれだけっす」がしょーーーーん(風呂敷を地面に置くと、なんだか重厚感に溢れた音が返ってくる)
トムオ「助かります。我々の方でも、使わなくなったガララ亜種の武具の回収を求める告知を各地で始めました。集まり次第、解体して、撥水甲の部分だけを取り出し、現地に輸送してもらう手はずになっています」
ベアコ「そして粉々になるまで叩き潰す・・・まだまだ道のりは険しいわね」
ディアベル「弱音吐いちゃダメ。その為にあたし達がきたんだから。ね」
ジャギ雄「ガララアジャラ亜種の甲殻をかじるなんて、ちょっとやばげぇ~♪」きゃっきゃっ
華子「そういった雑な仕事は、あたし達、モンスターの得意分野だもんね。しっかり噛み砕いてあげる♪」なんちゃってぇ~~~~~(すんごいでかい声で「どんだけ~」の発音で喚く「オネエ三巨頭」)
ベアコ「それにしても、凄いアイデアだわ。撥水性の高い甲殻を土のように細かくすり潰し、それを畑の土壌の下に敷くことで、上からかけた水を消失することなく再利用しようなんて・・とても思いもつかった。さすがロージーちゃんね」(見つめる先では、何やらクエストボードのような黒板を使い、土壌の作り方をリノプロネコ達に説明しているロージー先生の姿が)
ロージー「いいですかぁ~?今ぁ~皆さんに柔らかくしてもらっている土にぃ~、肥料を混ぜまぁ~す」ぴしっ(と指差す黒板には、「土+肥料(モンスターのフンなど)」と書いてある)
グリズリーノ「その土に種を植えるのですニャ?」(他のリノプロネコ達も皆、目をまあるくしてメモを片手に黒板を見ている)
ファイヤージンガー「そうだ。だが、種を植える前に、土壌の下に撥水甲から作った「水をはじく砂」を敷かなきゃならねぇ。そこでオメェ達の出番ってわけよ」(と、講義するドスビスカスは「ちっさい学帽」を被っている)
グリズリーノ「穴掘りは自分ら(獣人)の専売特許ですニャ♪任せてくださいニャ!」
リノプロネコ「質問っすニャ」(茶色いリノプロネコが質問をする)
ロージー「なぁに?ヒグマノビッチちゃん」
ヒグマノビッチ「畑にかけた水が、肥料を含んだ土の中を通って、その下の層にある「水をはじく砂」の上に残るのは理解したっすニャ。問題はどうやってその水を回収するかっすニャ」そうニャ!そうニャ!(と、こぞってロージーに詰め寄るリノプロネコ達)
ロージー「焦らないの。黒板を見てくださぁ~い」ニャ~ニャ~(クマ達、もといネコ達に詰め寄られている)
ニャ~ニャ~(ネコ達が見上げる黒板には、二層の土壌に別れた土面の絵が描かれており、上層部の土面には「肥料を含んだ土」と書いてあり、その下の層の土面には「水をはじく砂」と書いてある。ちなみに土の上にはたくさんのドスビスカスが描かれている)
ファイヤージンガー「いいか?ポイントは土壌の下層に敷く「水をはじく砂」を斜めにすることなんだ。傾かせることで、上から流れてきた水を「モンスターの水袋」の中に誘導してやるのさ」えっへん
おおおおおおおおおお
(一同、目をまあるくして感嘆の声をあげるリノプロネコ達)
ロージー「水袋の回収は、各都市の工房をはじめ、ギルドのハンター達にも声をかけておきました。倉庫や宝箱で眠っている「余り物」のご提供をお願いします♪ってね」ちょん(リノプロネコのおでこに触れる)
ファイヤージンガー「その保水性と貯蓄に優れた水袋を、各区分に分けた畑の土壌に埋めるんだ。それで水を確保するって寸法よ。それを回収するのも、潜るのが得意なお前さんたちの仕事だ」
おおおおおおおおおお
(やる気満々なキラキラした瞳のリノプロネコ達)
ロージー「また行く行くは、土壌の下に撥水性の高いパイプを通すことも検討中です。お水を効率よく回収出来る方法を、これからも皆さんと一緒に考えていきたいと思います」へこり
パチパチパチパチパチ♪ピ~~イ♪
(拍手と指笛の大喝采を受けるロージー)
カーブー「いや、本当に。今回は俺もあいつを見直しましたよ」なぁ~(と、明らかに年上であるトムオの頭を撫でる)
ベアコ「皆様のおかげで、なんとか目処が立ちそうよ」なでなで(ボッカのでっかい鼻を撫でる)
華子「お水なら、あたしのお腹の中にもたっぷりあるしぃ~。「鮮やかな体液」でも、「極彩色の体液」でも、さらに驚異的な保水性と輝かしい美しさを持った「光り輝く体液」でも、なんでもござれぇ~~~」なんちゃってぇ~~~~~(すんげぇ盛り上がる三巨頭)
ジャギ雄「ねぇ、いっそのこと、ガララごと運んできちゃえば?」なんちゃってぇ~~~~~
カーブー「それをやったら彼ら、「ハンターズ・サステナビリティ」の理念に反する。環境保持を謳っておいて、モンスターを犠牲にするわけにはいかないし、その素材をただ利用するだけじゃあ、今までと何も変わらない。それに、目的の為にモンスターの命を奪うだけでは、ブラックギルドの連中と同じだ。「大陸は人間を必要とせず、人間は大陸を貪り食う」。でしたよね?ベアコさん」
ベアコ「そうよ。ミスター川村の言うとおり、あたし達は独自の還元法をもって、日頃お世話になっている大陸に恩返しをしないといけないの。地道な作業だけど頑張りましょう」キラキラ(リノプロキャップから剥き出しになった顔面の瞳が輝いている)
カーブー「ウッス」(見つめ合うリノプロキャップの女子とドボルヘルムの男子)
ジャギ雄「やだ。川村さん、あんな女が好みなわけ?」
トムオ「え!?」
華子「それが目的で手伝ってるんじゃないのぉ~?」うらやまぁ~~~
トムオ「ええ!?」ガガーーーン
ディアベル「あんたも頑張らないと、本当にカーブーちゃんにお目当ての子を取られちゃうわよ?」
トムオ「い、いや・・僕とベアコは・・そんな関係じゃ・・」もじもじ
ジャギ雄「きゃ~可愛い♪いじらしぃ~~~~~」がぶっ(頭を丸ごと甘噛されるトムオ)
バラン「よぉ!ジャギ雄に華子も来たか!おっしゃ!ほんじゃあ、このくらいで昼飯にすっかぁ~!!」(後ろには弁当箱をたくさん積んだ「轟竜サイズ」の屋台が見える)
おおおおおおおおお♪
「あたちのモンハン日記」
~Fourth Stage~
むわははははははははははは
(陽気な笑い声が乾燥地帯にこだまする)
あ~でもない、こ~でもにゃい(と、ディスカッションをしながら、丘の下に設置された集会用テントに集まり、弁当を食べているリノプロ軍団(みんなヘルムやキャップはさすがに外している)。その後ろでは轟竜、角竜、潜口竜、狗竜(ドス)の姿も見える)
トムオ「いや、氷結晶に頼りすぎてはダメだ。むやみな採掘は資源の減少に繋がる」あむあむ(タコさんウインナーをはむつきながら議論している)
グリズリーノ「地下資源を永遠に増やすことが出来ればいいのニャ~」ちゅ~ちゅ~(元気ドリンコの入った小瓶をちゅうちゅうしてるアイルー)
ベアコ「私達は創造神じゃないのよ?だからこそよく考えて、種族間で分け合って資源を使っていかなければならないのよ」あむあむ(かまぼこを食べてる)
バラン「そうだぜ、坊主。同時に未来のことも考えなきゃならねぇ。消耗しきって、疲れ果てた大陸に、てめぇの子孫を残すなんて可哀想だろ?だからこそ、今からできる対策を考え、実用化させていかねぇとな」ちょん(でっかい爪のさきっぽでアイルーの頭を撫でてやる)
華子「あたし、今までそんなこと考えもしなかった。そうよね、このままあたし達(モンスター)が、好き放題に食い散らかしたら、砂漠に生物なんていなくなっちゃうわよね」
ジャギ雄「草食竜達に感謝しなきゃね。これを機にベジタリアンになろうかしら」あははははは
バラン「草食竜達が消えれば、当然、俺達も餓死する。食物連鎖を維持する為の砂漠緑化か・・・ふけぇ~なぁ~~」あははははは
カーブー「・・・・・・・・・」(ぼけっとディスカッションをしてる一同を眺めている)
ロージー「どうしたの?お兄ちゃん」
カーブー「いや・・・正直、俺もトムオさん達に出会う前までは、環境問題について真面目に考えたことなかったからな・・・改めて、モンスターハンターって、なんなんだろうって思ったんだ」
ロージー「お兄ちゃん・・」
カーブー「資源を貪り尽くし、命を狩る者・・・狩人反対運動をする人たちの気持ちも、今なら理解出来る。真のモンスターハンターか・・・まだまだ遠いな・・」がっくし
ロージー「そんなことないよ。障壁を乗り越えるのまた、モンスターハンターでしょ?問題はその有益な力を、どうやって大陸に奉仕できるかだよ」
ファイヤージンガー「そうだぜ、クソ兄貴。確かにお前は、お嬢みたいに育ちはよくないし、教養もねぇ。格差社会の溝を埋めるには努力するしかねぇんだ。そうすればお前だって、あの金髪のギルドナイトのような風格に自ずとなるさ。きっとな」
カーブー「レオゲルク・シュナイダーか・・・。確かに凄い奴だった。砂漠の艦隊に、たった一人で立ち向かっていくあいつの背中からは、確かに感じる大いなる力が宿っていた。まだまだ修行しないとな」ちょん(ジンガーと小さいハイタッチを交わす)
ロージー「そうそう。パパだって頑張ってるんだもん。あたし達も張り切らなきゃ!」むん
カーブー「・・・・・・・・・・」
ロージー「なに?また文句け?」ムッ
カーブー「いや、違うよ。お前は俺と違って賢いし、欲もなければ、常に人のためになろうとしている。似ているかもな・・あいつに・・」フフ
ロージー「ふぁ・・・」
カーブー「なぁ、それよりも例の砂。撥水甲を砕いて作る砂の名前を考えないとな」
ファイヤージンガー「そうそう。商品化も踏まえて、しっかり情報管理もしねぇと。ブラックギルドの連中だって営利目的で、いつ環境問題に首を突っ込んでくるか分からねぇご時世なんだ。権利問題とセキュリティはしっかりしとかねぇと。きっと。いや、確実にだ」
ロージー「う~ん・・でも、もともとあたしの発案じゃないし・・」
カーブー「「神童★ゴッドカーブーの押しかけ妹発案の砂」ってのはどうだ!?」却下(と、食い気味に言われてしょんげりするクソ兄貴)
ファイヤージンガー「なんかねぇの?呼びやすい、なんかさぁ~」
ロージー「う~~~~・・・そうだ!「ダニエラパウダー」!!どう!?」
ファイヤージンガー「あの冷血女をたてるってか・・・ま、いいんじゃねぇの?」
ロージー「ダニエラさんだって、今は悪い機関で働いているけど、本当はいい人かもしれないでしょ?いつか彼女が、世のため人のために尽くせる学者になる願いも込めての、ダニエラパウダー!!決めた。トムオさんに申請してこよう♪」ひょっひょ~(あんまんスキップでその場を去る)
カーブー「なんだぁ~?あいつったら・・」
じりじりじりじりじり
カーブー「しっかし・・今日も砂漠は熱いな・・・」
バラン「よっしゃ!自然を愛するバカ野郎共!!午後の部もしっかり働こうぜ!!」おおおおおおお!!
カーブー「だが、それも悪くはない。な、アンジェリカ」ザッ(鍬を片手にリノプロ軍団の下に駆け寄っていく)
大陸世界だけにあらず、我々の世界が抱える環境問題もまた実に深刻である。現代では多くの企業をはじめ、サステナブル経営は実践されており、砂漠地帯での農業の実現と海外展開を目標とした、地理的条件に限定されない農業ビジネスを創出しようとする動きが起こりつつある。今回ダニエル・カペラが推奨した、撥水甲を砂に変えるというアイデアの参考にさせて頂いたのは、パナソニックが京都大学と共同研究している「夢の砂」と、パナソニックが構想している「砂漠緑化」のイメージであることを言及しつつ、その多大なる成功と発展もまたここに願う。
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次回「あたちのモンハン日記」ザ・中継ぎ記事ダブルクロスはさ!?
3/21(火)0時更新 なんとなく決まってるけど断定出来るほど確定じゃあないファーファ
をお送りいたします♪ほんじゃあさ!次回もバイクに乗りながら読も見よう
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「Mosquito Amber Egg/PART15(完結)」
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