~火山地区辺境、モンスターミリシア領土内
ズゴーーーーン!!ズゴゴゴゴ・・・
アングリーアッシュ「・・・・・・・・・」ドスンドスンドスンドスン(背にニャーク、UBUを乗せ火山地区の洞窟内を走る)
ニャーク「UBU、活力剤だ。飲め(自然治癒力増強でも無いよりはましだ)」くいっ(小瓶に入った活力剤を飲ませてやる)
UBU「んぐ・・んぐ・・んぐ・・・・」
ニャーク「よし・・・アングリーアッシュ。まだ目的地は遠いのか?」
アングリーアッシュ「その女がなぜディルク・エクスナーの名を知っているのかは別として、ディルク・・・いや、今はタイタンラスと名乗っているその者は、人目につくのが至極嫌いな奴でな・・我らミリシア領内の洞窟奥地に潜んでいる」ドスンドスンドスン
ニャーク「何者なのだ?ディルク・・いや、そのタイタンラスという者は」
アングリーアッシュ「それはその女に聞け。ひとつ言えるのは奴もまた、俺と同じく怒りに満ち溢れている者だということだ・・・それも俺とは種類の違う激怒をな」
ニャーク「・・・・・・。では質問を変えよう。UBUのかかった感染症だが、何か見覚えがあるか?」
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・・」
アングリーアッシュ「さぁな・・。だが安心しろ。お前たちが今乗っている背中の甲殻もまた、余が独自に体内で生成出来る鉱石の成分を体表に分泌した鉱油で覆われた耐熱殻だ。病原体が多少付着したところで問題はない。あとでマグマの中にもでも入ってしまえば完全に殺菌出来よう」
ニャーク「そうか。それならば安心だ。なにせUBUの感染したウイルスは人獣共通感染症(ズーノーシス)だからな。あとでこのボコボコした部分をよく熱で殺菌しておいてくれ(そうか・・UBUはアングリーアッシュのこのユニークスキルを知っていたからこそ、奴を呼び寄せ、自分を「運搬」させたのか・・・)」ちら
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・」
アングリーアッシュ「獣人族、貴様はなぜ感染しないのだ?一番その女の近くにいるのだろう?」
ニャーク「俺はニャーマノイドだ。簡略して説明するのならば、知的生命体種の古代鮫の頭脳を元に創られた人工生命体だからだ」
アングリーアッシュ「・・・・・・。人型というのは何処まで大陸が与えた生命を愚弄するのか。どちらにせよ、タイタンラスはお前に興味を抱くだろうな」
ニャーク「どうしてだ?そうか・・タイタンラスとは科学者なのだな?」
アングリーアッシュ「元・・な」
ニャーク「??」
UBU「はぁ・・・・はぁ・・・・・・」
アングリーアッシュ「その女の判断は正しい。タイタンラスならば、ウイルスの解毒方法を知っているかもしれないからだ」
ドスンドスンドスンドスン
アングリーアッシュ「奴のラボがあるエリアはもうすぐだぞ」
ニャーク「・・・・・・・・」
ボヘーーーーーーーーーーーーーーン
(火山洞窟の奥地に、石灰岩の断崖に挟まれた抜け道の様な通路が見える)
ニャーク「この断崖の先に、タイタンラスことディルク・エクスナーがいるのだな?」
アングリーアッシュ「そういうことだ」ずいずい(石灰岩の隙間をぬって進む)
ニャーク「なるほど・・まるでモンスターに用意された抜け道だな。このような隠れ家であれば人目にはつかないだろう」きょろきょろ(天井の美しい鉱石からなる鍾乳洞を見ている)
UBU「はぁ・・・・はぁ・・・・・・」(仰向けで寝転がり同じくその天井をおぼろげに眺めている)
アングリーアッシュ「着いたぞ」ぬっ(最後の断崖の隙間を通り抜ける)
ニャーク「!!」
アングリーアッシュ「ここが奴のラボだ」
バビーーーーーーーン!!
(暗がりの中、四方をエメラルドの鉱石壁に覆われた小型エリア。鉱石の光りで辺りは仄かに照らされ、まるで世界遺産の様な雰囲気さえ漂う)
ニャーク「これは・・なんと美しい・・・」
アングリーアッシュ「見かけはな。だが、下は見ないほうがいい」ドスン・・ドスン・・(ゆっくり天然のラボに入っていく)
ニャーク「・・・・・!?」ちら(下を覗く)
ビビャーーーーーーン!!
(美しい鉱石壁とは打って変わり、地面には人骨をはじめ、あらゆる種族の骨や頭蓋骨、腐乱死体が地面一杯に敷き詰められている)
ニャーク「これは・・・」
アングリーアッシュ「奴にとっての研究材料や「そうだったもの」だ。我らはこのエリアを「カタコンベラボ」と呼んでいる」ズシャッズシャッ(骨を砕きながら進む)
ニャーク「カタコンベ・・・地下墓所か・・。なるほど、相応しい名だ」
アングリーアッシュ「さぁ、お目当ての博士の登場だ」ズシャ・・(立ち止まる)
ニャーク「!?」
ガベーーーーーーン!!
「あたちのモンハン日記」
パンドラウイルスPSV脅威
ヌボーーーーーーン・・・・
(その砕竜はまるで魂が抜けてしまった抜け殻の様に上を向き、立ちすくんでいる)
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・」ちら(横になりながらその砕竜を見る)
ニャーク「・・・死んでいるのか?それともこれも実験台のひとつなのか?」
UBU「違う・・・・・」すっ(地面を指さす)
ニャーク「ん・・・・・」ちら(その方向を目で追う)
ぺちょり~~~~ん!!
(鉱石の壁に張り付いている蛍光グリーンの怪しい粘菌の固まり)
UBU「・・あれが・・・・ディルク・エクスナー・・・・」
ニャーク「なに!?」
アングリーアッシュ「ディルク・・・いや、タイタンラスとなり、珍客に挨拶してやれ」
ニャーク「??」
ゾゾゾゾゾゾゾゾ・・・・・
(粘菌が奇妙な動きをしながら鉱石の壁を移動していく)
ニャーク「バカな・・・粘菌が意志を持っているというのか・・・?」
ゾゾゾゾゾゾゾゾ・・・・・
(地面に下りた粘菌が棒立ちしている砕竜の足を登っていく)
ニャーク「何が始まるというのだ・・・?」
UBU「・・・・・・・・・・・」(虚ろな瞳で粘菌を追う)
ゾゾゾゾ・・・ゾゾゾゾゾゾゾゾ・・
(砕竜の甲殻にある空洞に入って消えていく)
ニャーク「・・・・・・・・・・」
UBU「・・・・・・・・・・」
ドュウィーーーーーーン
(両目があやしげに光る)
ニャーク「起動した・・!?」
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・」にやり
ギュオ・オ・オ・オ・オ・オ・オ
(静かに起動する砕竜)
ニャーク「これは・・・」
UBU「・・・・・・・・・・・」
ドウィーーーーーーーン!!
タイタンラス「ようこそ。私のラボへ」(その声はひどく濁っているガテラルボイス(水中で喋っているかのようなブクブク声のことをそう呼ぶ))
ニャーク「・・・・・(意志を持つ粘菌が、砕竜の肉体を通して喋っているのか・・)」
アングリーアッシュ「タイタンラス。早速だが、この女の容態を見てやって欲しい」すっ(身をかがめる)
タイタンラス「ほぉ・・珍しいな。人型嫌いのお前がよりによって女を連れてくるとはな」
アングリーアッシュ「この女には借りがある。それを返すまでだ」
タイタンラス「なるほど・・・ん・・・お前は確か・・何時ぞや、ミリシア領内をうろついていたハンターだな」
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・」
ニャーク「問答は勘弁してやって欲しい。彼女は今、生きるか死ぬかの瀬戸際にいるのだ。人獣共通感染症の一種だろう。消化器官が毒袋化している。緊急の対処を願いたい」
タイタンラス「なに・・・臓器が毒袋化しただと?」
ニャーク「そうだ。一度、毒液を多量に吐いている」
タイタンラス「・・・・・・・・・」
アングリーアッシュ「何か思い当たるか?」
タイタンラス「思い当たるも何も、この女の感染症状はかつて俺が在住した、暗黒商会の研究施設内において、別プロジェクトで製造されていたウイルス兵器によるものだ」
アングリーアッシュ「なんと・・」
ニャーク「元暗黒商会の研究員であったのならば、抗体の作り方を知っているのか!?」
タイタンラス「残念ながらこの人工的パンドラウイルス、コードネーム「Pサックウイルス」のワクチンは、現在の大陸医学では直接的な治療法は確立出来ない構造になっている。それ故に、PSV開発プロジェクトは中止になったと聞いていたのだがな」
ニャーク「どういうことだ?」
タイタンラス「抗体がないウイルスを培養したところで、それはただ大陸生物を減少させるただの殺戮ツールにしか過ぎない。暗黒商会というのは利益還元主義だ。ウイルスをまき散らしパンデミックを起こし、その抗体を売ることによる利益が得られなければ意味がないということだ」
アングリーアッシュ「なるほどな。仮に細菌兵器として戦場に用いたとしても抗体が無ければ取り扱いは困難・・自軍の兵士までもが感染してしまっては意味がない。つまり、それほど強力な病原体ということか」
ニャーク「では方法はないというのか?」
タイタンラス「狩猟者が使用する解毒剤、毒消し草、解毒ミート、解毒笛等はおろか、現在大陸で確認されている毒袋を体内に持つモンスターの抗体を血中から抽出することによって得られる解毒剤(血清)ではPサックウイルスの遺伝子配列と異なる為、解毒は不可能。ましてや現段階の医学力では不活化ワクチンやトキソイドといった予防や抗体精製出来る医療品が作れないことも大きい」
ニャーク「デトックス(体内から毒素や老廃物を取り除くこと)でもか?」
タイタンラス「Pサックウイルスは人体を宿主化することで毒素菌の子孫を広範囲に拡大、繁栄する。神経毒性を持つステロイドアルカロイドの一種、バトラコトキシンやトリカブトに含有されるアコニチンなどは古くから矢毒に使用されるが、生存本能が極めて高いPサックウイルスの毒性は人体を完全な栄養補給媒体とすることで、種の繁栄拡大を活動目的とするまさしく「寄生虫」だ。無理に毒液を吐けば、その分だけ新たに毒素が体内で増殖され、より臓器がウイルスに侵されていく。この女が今にも吐き出したい毒液を我慢して吐き出さないのはその為だ」
ニャーク「!!」バッ(慌ててUBUを見る)
UBU「ふぅ・・・ふぅ・・・・」ゴクリ・・(必死に口内のものを飲み込んでいる)
ニャーク「UBU・・・・・」
タイタンラス「おそらくはその女はハンターの優れた防衛本能でそうしたのだろう。それにむやみに毒液を吐けばそれだけウイルスを散布することになる。その女の現状での判断と処置は正しいといえよう」
ニャーク「・・・・・・・・」ちら
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・・・」ゴクリ
ニャーク「すまない・・・UBU・・・・・すべて俺の責任だ」スッ(仰向けに寝てるUBUの頭を抱く)
タイタンラス「そもそもハンターの人体自体に定義がない。いくら解剖したところで得られる結果は、狩猟者のレベルに応じ、肉体及びその機能に個人差があるということだけだ」ちら(地面の人骨や腐乱死体に目をやる)
ニャーク「この人骨と死体の山の研究成果とは一体なんなのだ?」
タイタンラス「結論には至っていない。だが、それも元の姿に還る為だ」
ニャーク「元の姿とは?」
タイタンラス「人型に戻ることだ」
ニャーク「なぜ・・今の姿になってしまったのだ?」
タイタンラス「俺は暗黒商会(ブラックギルド)の研究員だった。生体兵器を創生することに人生を捧げ、あらゆる非人道徳的な生体実験を繰り返してきた。そしてその代償が今の俺の姿というわけだ」
ニャーク「・・・・・・・・・・」
タイタンラス「それよりも驚くべきはこの獣人族・・いや、この猫型の優れた人工生命体だ。Pサックウイルスにも感染しない状態異常無効経路を開発したのか・・一体誰がどのようにして・・」
アングリーアッシュ「タイタンラス、悪いが今は時間が惜しい。考え得る解毒方法を教えてくれ」
タイタンラス「俺にはお前ほどの者がどうしてこの女にこうも肩入れするのかが疑問だ」
アングリーアッシュ「その答えは簡単だ。この女は俺の手で殺すからだ」
タイタンラス「・・・・・・・・」
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・」フッ・・(ニャークの胸の中でほくそ笑む)
タイタンラス「よかろう・・アッシュ、お前には俺をミリシアに受け入れてくれたという恩義がある」
アングリーアッシュ「うむ。してその方法とは?」
タイタンラス「これから教える解毒方法はあくまでも仮定論にしか過ぎん。助かるか、死ぬか・・おそらくそのどちらかだろう」
アングリーアッシュ「・・・・・・・・」
ニャーク「UBU。聞こえるか?」
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・・・」こそこそ
タイタンラス「なんと言っている?」
ニャーク「その方法でいいから教えろ、と言っている」
タイタンラス「よくもまぁ・・その状況で上からものを言える」ふん
アングリーアッシュ「フッ・・・・」
タイタンラス「いいだろう!お前を救うことの出来る可能性を秘めた者の名を教えよう!!」
UBU「・・・・・・・・・・」
タイタンラス「その者の名は・・暗黒鎧竜メガゼノス!!」
~火山地区、モンスターミリシア領内
アグニ「フォーーー!!待ってろよぉ~!!ファッキンクソ野郎共~!!」
ズシャアアアアアアアアアアア
(燃えたぎる背びれだけを地上に出したまま凄まじい速度で地中移動している)
アグニ「すぐに見つけ出して熱線地獄にしてやるぜぇ~!!カカカカカカ!!」
ゴオオオオオオオ・・・・・!!
(アグニが移動した地上跡には炎の滑走路が出来ている)
シュタッ(その滑走路のスタート地点に着地する人型の影)
アニシモフ「分かりやすい経路を作ってくれているものだ。これならば、やつの自動マーキングに引っかからない距離で追うことが出来る」
シュオオオオオオ・・・・・
(経路の炎が消えていく)
アニシモフ「とは言え、気は抜けないか・・・」
バッ
~モンスターミリシア領内、火山麓エリア
ドシンドシンドシンドシン!!
(背中にUBUとニャークを乗せ走る)
アングリーアッシュ「この麓付近にメガゼノスはいるはずだ!!」ドシンドシンドシン
UBU「はぁ・・・はぁ・・・・・・・」
ニャーク「頑張れ、UBU」グッ(手を握る)
アングリーアッシュ「よいかUBUよ!!」
UBU「はぁ・・・・はぁ・・・・・・」
アングリーアッシュ「俺が殺すまでは死ぬでないぞ!!それが分かったら持ちこたえてみせよ!!」
UBU「ぜえ・・・ぜえ・・・・・・・」フフ
To Be Continued..ひと読みしたならボチっとな
次回「あたちのモンハン日記」中継ぎ記事は・・
5/27(火)0時更新 「MHP2G☆G級訓練所とあたち」のコーナーだぞ
果たしてあたちは兄貴を倒し、次のステップへ進めるのかなんなのか
お楽しみに
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パンドラウイルスPSV脅威~PART6
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