~バベル中学高原エリア....
わいわいにゃあにゃあ
(放課後の大草原で遊ぶ多種族からなる生徒達。エリアの片隅では、切り株を囲む少女探偵団の面々と、何やら水槽を抱えたジュニア用ガノスZシリーズを纏った男子生徒の姿も見られ、またその光景を背後の大きな樹木の下より見守っているUBUとガイウス、コーネリアスの姿も確認出来る)
コーネリアス「・・・・・・・・・」カキカキカキカキ(大木の下に体育座りをかまし、羽ペンでダイアリーに何かを記している)
さて、突然の転入生に訪れた思いがけないハプニングとは。そしてその結末の先に待っているものとは・・。オジョウサスライアリのアンコさんは、見事その試練をクリア出来るのでしょうか。
UBU「じゃあなに?その「ありんごの」の転校生に、いきなり喧嘩を売った生徒がいるっていうの?」
コーネリアス「ええ・・。オジョウサスライアリと同じ、ピンク色のシミ目の子でしたが・・確かオサレシミ科と本人が言っていました」
ガイウス「それはまた珍しい紙魚(しみ)だな・・」ふむ・・
UBU「観察より、喧嘩を止めるのが大人の威厳ってもんじゃないの?」
ガイウス「問題を自分たちで解決し、成長していくのもまた彼女らの仕事だ。本当に度が過ぎた喧嘩と察したなら、まず君が黙っていないのでは?」ちら
UBU「どうだか・・」ふぁ~~あ
コーネリアス「大丈夫かなぁ・・」(心配そうに切り株を囲む一同を眺める)
サカナスキー「いいかい?勝負は一度きり。相撲に勝った方が勝者だ。いいね?シミッティ」
シミッティ「馴れ馴れしく呼ばないでくれる?チェリーボーイのくせして」ふん(切り株の上で上半身を立たせて腕を組んでいる桃色の紙魚。小さい虫だから声もちっさい)
すあま「頑張りや、アンコはん。あんな小生意気な紙魚、はっ倒してやりや」(セコンドのように切り株から顔を覗かせるおかっぱ頭の女子(子供用「セイラーシリーズ」を着用)
アンコ「でも・・なんでこんなこと・・」しょんげり(するショッキングピンクのサスライアリ。こちらも体同様、声がちっさい)
リカ「そうだよ。なんでアンコさんに突っかかるのか、理由くらい教えて・・」
シミッティ「だぁ~~っしゃい!!カマトト猫!!あんたんちの洋服ダンスに忍び込んで、繊維質のもん全部噛み切ってやるわよ!!」ひいいいいい(虫に怯える細谷リカ15歳)
トーマス「じゃあ、アンコさんが相撲に勝ったら、その理由を聞かせてもらうよ」ブクブクブク(水槽の中から喋るアジソン系男子生徒)
シミッティ「好きにすれば!?インテリ志向の魚眼ボーイ!!」ガガーーーン(それを受け、また水槽の水面に浮かぶトーマス)
アンコ「本当にやるのか・・・」ハァ・・
トンコ「負けるニャ、アンコさん」ふぁいと(アンコの後ろからでかい顔面を見せる)
ザンコ「そうですわ。あんな小生意気な紙魚、はっ倒してやるですわ」ふぁいと(同じくでかい顔を覗かせる)
アンコ「うん・・・」
UBU「ねぇ~?まだ終わんないのぉ~?あたち、これから大事なあんまん会議があるんだけどぉ~?」(と呼びかけるも悉く無視される、哀れなあんまん女)
ジュニャーナ「おや、どうしたんですか?こんなところで」ドシンドシン・・
UBU「よぉ般若先生。相変わらず、生徒を突風でぶっ飛ばしってっか?」
ジュニャーナ「まったくあなたという人は・・。それにそのへんな呼び名、恥ずかしいからやめてください」やれやれ
UBU「いいじゃんかよ。あたちなりに敬意を払ってるのよぉ~」にんまりあんまんフェイス
コーネリアス「お二人はお知り合いなんですか?」
ジュニャーナ「ええ。本校の教師にと、私を推薦してくれたのは、他でもない彼女なんです」
ガイウス「ほぉ・・興味深い話だな・・」じろ
UBU「余計なこと言うんじゃねぇよほれ!それよりあんたんとこの生徒が問題起こしてんぞ」あそこ(あんまんみたいにまあるい指のさきっぽで指す)
ジュニャーナ「あれはトンコさん達・・何をしてるのですかな?」
コーネリアス「なんでも今日転校してきたオジョウサスライアリの女生徒に、同じクラスのシミ目の女生徒が喧嘩を売ってきたらしいのです」
ジュニャーナ「シミ目の女生徒・・・・」
シミッティ「それじゃいくわよ!!」のしん(と、シコを踏む)
サカナスキー「二人共、見合って見合ってぇ~」
シミッティ「シャアアアアアア!!」しゃきーんしゃきーん(長い触角をハサミのように叩き合わせて威嚇する)
アンコ「はぁ~。やるしかないか・・」
サカナスキー「はっけよーい・・・のこったぁ~~!!」
シミッティ「おりゃああああああああ!!」シャカシャカシャカシャカ(実に素早い動きでにじり寄る紙魚)
アンコ「むん!」
がしっ
(紙魚の胴体をガッチリと前足で挟み込み、なんなく持ち上げるアンコ)
シミッティ「え~~~~~~!?」
すあま「流石、怪力無双の蟻やで!!一気にいったれぇ~~!!」
アンコ「え~~~~~~~い!!」ぶーーーーーん
シミッティ「きゃああああああああああ」
こてぇ~~~ん
(仰向けにひっくり返される紙魚)
サカナスキー「そこまでぇ~!!勝者、アンコさん!!」
トンコ「やったニャ♪」パァ~~ン(ザンコとハイタッチをかまして喜ぶ)
リカ「わぁ~♪すごぉ~い!アンコさん♪」
アンコ「ええ・・。でも・・」ちら
シミッティ「・・・・・・・・・」(腹部を見せながら空を見上げている)
ザンコ「死んだフリしてもダメですわよ。さ、大人しくどうしてアンコさんに喧嘩をけしかけたのか教えてもらいましょうか」
シミッティ「・・・・・・雲・・。自由な雲・・・そう。あたしは憧れてたのよ」
ザンコ「はぁ?」
UBU「決着がついたみたいよ」
ジュニャーナ「後はお任せを」のしんのしん・・(長い尻尾を引きずりながら生徒達の方へ向かっていく風牙竜の先生)
シミッティ「あたしはいつもあなた達が、楽しそうに授業を受けているのを教室の端っこから見ていた・・」
リカ「え・・・」
シミッティ「そう・・あたしは「もぐり」・・。仮の生徒を偽って、三年間、あなた達と共に授業を受けてきたのよ・・。こっそりと・・そして時にはひっそりと・・」
リカ「三年間って・・全然気づかなかったね」
ザンコ「ちっさいからですわ。それに黙ってれば普通の虫にしか見えないですし」ふん
トンコ「だからあたち達の事を知っていたんだニャ」サカナスキーがチェリーだということも・・(顔を赤らめるウブなサカナスキー君)
アンコ「どうして、三年間も黙っていたの?あなたもあたしと同じように、正式な生徒になれば良かったじゃない?」
シミッティ「そんなのシミ目のあたしが言えるわけないでしょ!!」
アンコ「!!」
シミッティ「世には害虫として知られる紙魚の・・しかも喋れる害虫なんて・・・生徒になれるわけないじゃない!!あたしはあんた達、「正統派」と違う生物なのよ!?」
アンコ「シミッティ・・・」
シミッティ「あんたに喧嘩をけしかけたのは、あたしを「連れ去って」もらいたかったから・・。好蟻性昆虫であるあたしをサスライアリの団体に・・・入れて欲しかったからなのよ・・・・」
サカナスキー「連れ去るって・・まさか餌として・・」ひ~~~
トーマス「物騒なこと言うなよ、サカナスキー君。紙魚は好蟻性昆虫の一種で、アリの巣によく「同居」していることで知られるんだ」
リカ「でも、他の種類の昆虫だから、アリさんに襲われたりするんじゃないの?」
トーマス「大丈夫。紙魚は普段からアリに近寄っては体を擦り寄せて、その匂いを付けることでアリの仲間だと思わせているんだよ。その証拠に、アリが紙魚に口移しで餌を分け与えたりもするんだよ。そしてその見返りといってはなんだけど、紙魚もちゃんとお尻からアリの大好物である甘味を出して、恩返しをしているんだ。こうしてアリと紙魚は、相利共生とまではいかない不思議な関係だけれども、しっかり共存しているんだ」
アンコ「その証拠に、私達サスライアリもコロニーを移動する時は、一緒に住んでた紙魚さんを「持ち上げて」一緒に移住するくらいなのよ」
トンコ「にゃるほど・・。だからアンコさんも「手慣れた」感じで、シミッティをかちあげることが出来たというわけニャ・・」
サカナスキー「じゃあシミッティは、アンコさんが住むコロニーに連れて行って欲しかったのか・・でも、どうして?」
シミッティ「あたしには・・・家族がいないからよ・・」
サカナスキー「・・・・・・・・・・・」
シミッティ「この学園内で、普通種の両親に育てられたあたしは、良くも悪くも知的生命体種に生まれてきてしまった・・。話すことも、言語を理解すら出来ない両親に、いくらあたしが話しかけたところで答えはいつも同じ・・。「ぎぃ~ぎぃ~」。自分が特別であることを知らなかった幼い頃のあたしは、その鳴き声を聞く度に、お父さんとお母さんに嫌われていると思ったものよ・・」
リカ「・・・・・(紙魚って「ぎぃ~ぎぃ~」って鳴くんだ・・)」
シミッティ「そんなそっけない両親だったけど、共に立派な紙魚としての人生を全うして死んでいったわ・・。そして残されたあたしは、知的生命体種として生きる意味も分からないまま、生徒達の真似事をしては、孤独という恐怖から逃れていた・・。楽しそうに勉強をしているあなた達と、一緒にいれば・・・心が満たされたの・・・・」しくしく
すあま「・・・・・・・・・・・・」
シミッティ「だからあたしはあの自由な雲のようになりたかった・・・。三年B組の生徒になる「フリ」は出来ても、「染み」ついた生徒じゃないあたしに、友達なんて出来やしない・・だからいっその事、学園を飛び出して、自由な世界に旅立ちたかったのよ!!」
トーマス「いろんな大地を転々とする、サスライアリならそれも可能・・。そういうことだったんだね」
シミッティ「・・・・・・・・・・」こくり(小さく頷く)
ジュニャーナ「お話は聞かせてもらいましたよ」のしーーん(一同の真上から覗き込む般若のような顔面)
すあま「先生・・。せや、シミッティ!先生に入学を申し出ぇや!」
シミッティ「え・・・」
リカ「そうだよ!バベル中学に種族の偏見なんてない!だからあなたも正式な生徒の一員になって、一緒に勉強しようよ!!」
シミッティ「嘘!!そんな「しみ」ったれた冗談言わないで頂戴!!どうせあたしをからかっているんだわ!!」うわはぁ~~~ん(うつ伏せになって泣く)
アンコ「シミッティ」ぽん
シミッティ「・・・・・・・・・」しくしくしく
アンコ「一緒に勉強しよう。そしてあたしのいるコロニーで良ければ、一緒に暮らそう」にこ
シミッティ「え・・・」ぐすんぐすん
すあま「なぁ!先生!うちらからもお願いや!!シミッティを三年B組の生徒に入れたってぇ~!!」ぐいぐい(群青色の鋭牙を引っ張り懇願する)
リカ「私からもお願いします!」ぐいぐい(トンコ達と共に牙を引っ張る)
ジュニャーナ「こらこら、歯が抜けてしまいます」なぁ~頼むぅ~
アンコ「ジュニャーナ先生!お願いします!毎日の登下校は、私が責任を持ってシミッティを「運搬」しますから!!」
シミッティ「アンコ・・・・」
ジュニャーナ「シミッティ君と行ったね」ぐいぐいぐいぐい
シミッティ「は、はい・・・」
ジュニャーナ「あなたは毎朝、誰よりも早く教室に来ては、前日のゴミ当番が忘れていった紙くずを食べ、みんなを庇っていましたね」
シミッティ「ど、どうしてそれを・・・」
ジュニャーナ「抜け殻です。太古より姿形を変えない無変態のあなた達は、蛹などの段階を踏まず、そのままの姿で脱皮を繰り返し成長しますよね?思春期のあなたなら、当然、脱皮の回数も多いはず・・。ある朝、教卓の上に、B組の生徒のものではない抜け殻があったのを、先生、見逃しませんでしたよ」にこ
シミッティ「先生・・・・」
ザンコ「無骨な男子生徒が捨て忘れた紙くずを、たった一人で食べていてくれたなんて・・学級委員長として心から礼を申し上げますわ。シミッティさん」へこり
シミッティ「そ、そんな・・お礼なんて・・はつかしい・・」ポッ(ピンクの顔を更に赤らめる)
トンコ「恥ずかしいのはあたち達の方ニャ!三年間も一緒だった友達に気づいてやれなかったんだからニャ!!自害もんだニャ!!」ガバッ(ベリオSネコ包丁を取り出し切腹しようとするも、リカに止められる)
サカナスキー「シミッティ。今までごめんよ」
トーマス「これからは同じ三年B組の仲間さ!」
シミッティ「みんな・・・・・」
ジュニャーナ「あなたがどうして知的生命体種として生まれ育ち、孤独という試練を与えられたのか・・。それも智慧が齎す理知がある故。私はこうしてあなたと話している今も、生きている喜びを実感しています。そして自分は独りではないということもまた、あなたというかけがえのない隣人に教えられているのです。あなたはどうですか?シミッティ」にこ
シミッティ「先生・・・・・あたしは・・・・あたしは・・・!!」うるうる
ジュニャーナ「ええ。あなたは今も立派に、そしてしっかりと生きています。さぁ、これで今日からあなたも三年B組の生徒です」にこり
シミッティ「はい!!」
「あたちのモンハン日記」
~借りぐらしのアンコさん~
あはははははははは
(ジュニャーナ先生の大きい翼膜に包まれながら微笑むB組の生徒達)
UBU「流石、砂漠の風牙明王ね。まんまと治めたみたい」
ガイウス「・・・・・。コーネリアス。転入生はオジョウサスライアリと言ったな」
コーネリアス「はい。そうですけど・・」
ガイウス「森に行く。護衛をしたければついてこい」ザッザッザッザッザッ
UBU「はぁ?なによ、あれ」偉そうに
コーネリアス「さぁ・・・・」ちら
あはははははははは
(切り株の上でシミッティを抱きかかえるアンコを見て微笑む一同。その頭上から黙って頷く風牙竜の先生の堂々とした顔面)
何はともあれ、アンコさんは登校初日のハプニングを見事B組の生徒達とクリアし、新たな友人も迎え、そして絆を深めることに成功したのでした。そして・・良かったね、シミッティ。
シミッティ「アンコ!ありがとう!!大好き♪」
アンコ「私もよ、シミッティ!あはははははは♪」くるくるくるくる(泣いて喜ぶシミッティを抱いたままくるくる回っている)
To Be Continuedランキング参加中なんだ!みんなの激アツ一票で応援してくれよな!!
次回「あたちのモンハン日記」ザ・中継ぎ記事ダブルクロスは!?
12/7(水)0時更新 ほぼ決まってないです
をお送り致します♪ほいじゃあさ!次回も運搬スタイル決め込んでしっかり読も見ようよ
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「借りぐらしのアンコさん/PART2」
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