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Channel: あたちのモンハン日記
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Recollection No.1_03

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デーモン・ロザリーがその後どうなったか


大いなる竜の災厄を受け、強く根深い恐怖に支配されたかつての狂王は、押し寄せる絶望の強迫観念から遁逃するため、まだ赤子であった我が子を城内より連れ去り、命からがら領内より脱出する。


デーモンは盗賊時代の仲間を頼りに一路ヒンメルン山脈の麓を目指し、世俗から離れたその巣窟にて我が子を育てた。


子の名前はアーロン・ロザリー


生みの親である正室や育ての親である側室たちは、国王の手によって皆殺しにされてしまった。


私の予想では、デーモン・ロザリーはすべてを失うことを覚悟していたからこそ、自らの手で一族を殺害し、我が子にも手をかけた後、最後は自決することで族誅を完結させると思っていたので、奴が赤子を連れて逃亡したのは慮外の出来事であった。


このことからもデーモンは最初から闘争を選択せず、逃走を図っていたのであろう。


符に落ちないのは、あれほど私利私欲の限りを尽くしてきた利己主義者が、もともと溺愛していたとはいえ、なぜ、何もできない「重り」を連れて逃げるという不利益な選択を選んだのかであった。


簡単に想像がつくのは、暴君ゆえの韜晦(とうかい)術として、赤子を連れていた方が世俗の同情心を容易に誘うことができ、また、その対象がかつての仲間なら、そのコミニティに属する女たちが率先して赤子を育ててくれるだろうという期待感があったからであろう。


そしておそらくデーモンはかつての仲間にその意図を「単純に俗世から離れ、ほそぼそと我が子と暮らすためだ」と嘯いているに違いない。


ならばデーモン・ロザリーは喪失したかのように痴呆を装い、虎視眈々と何を企んでいるのか・・。


多くの人間を見てきたが、どうやらこのデーモン・ロザリーという奸智に長けた男は想像以上の強欲をまだまだ秘めているようだ。


なので私は「引き続き」契約が続行されていることを了解し、ロザリー親子を監視することにした。







Recollection No.1_03








~ヒンメルン山脈麓、樹海....

ガサガサガサ・・・
(一人称視点。行く手を遮る絡みつく巨木の根を掻き分けながら突き進む、その視界に映り込む両手がみせる瑞々しい形貌から、視点の主が若い女性であることが窺える)



ガサリ・・(薄暗い「根の洞窟」を抜け、神秘的な樹海の森に囲まれた光指す小さな盆地エリアへと抜けてくる)


「止まれ!」


・・・・・・・・・・・・・
(右斜めに向けた視線の先には、苔に覆われた岩の上で「如何にも山賊が身に纏っている」ちょっと肌が露出した蛮族的なハイドアーマー(衣類と鎧の中間的な毛皮混じりの軽鎧)を身に纏い、右手には狩猟武器とは程遠いあからさまにお手製の「簡素な石槍」を自慢げに立てている十代前半の少年の姿があった)


「どう?びっくりした?」(軽くウィンクしてみせる「年頃っぽい癖毛なダークブラウンヘアー」が実に初々しい山賊の少年)

「クスッ・・」(視線の主その少年の姿を見て笑う)

「はぁ・・。分かってるよ。やっぱり変だっていうんだろ?」スッ・・(簡素な石槍を恥ずかしそうに背中の後ろに隠す)

「ごめんなさい。笑うつもりはなかったの。ハンターさん」(その透き通るような甘い美声にはどこか聞き覚えがある)

「ほら。やっぱり馬鹿にしてる。さっきも親父たちに笑われたばかりだ。こんなんじゃ、ファンゴの一頭も仕留められないだろうってね」はぁ~~(と先端が「まあるくなった」石槍をざんない顔で見つめる少年の顔はすす汚れていることから、ファンゴをハントを実践してみたのであろう。そしてその結果は顔が示している通りであるようだ)

「貴方なら、すぐに立派な狩人になれますよ。アーロン・ロザリー」

アーロン「残念。俺はモンスターハンターには興味ないの。狩りをして生計を立てるより、悪い奴から奪った方が早いだろ?」チャッドキッ(と、クールに石槍を向けるも、そのさきっぽは可愛らしいくらいになんだかまあるい)

「先日、ミナガルデの豪商がこのあたりで山賊の襲撃に遭ったと聞きましたが・・・お気をつけ下さい。ハンターズギルドに自警団が作られたようです」コソ・・

アーロン「仲間から聞いたよ。ギルドナイツって組織だろ?手に負えなくなった悪徳ハンターの誅殺や要人暗殺を請け負う傭兵集団だってね。それに関してはこんな噂もある。なんでも最近、ギルドを脅かすハンターが反乱を起こしたみたいで、こっち(旧大陸)にいるギルドナイトが総動員で別の大陸に移動したらしいんだ。ってことは、稼ぎ時だろ?」にや(真っ白に輝く歯を見せながら微笑む)

「フフ・・」


ちゅんちゅん・・(人気のない大自然の樹海エリアに二人だけの時間がゆっくりと流れる。アーロンはじっとこちらを見つめている)


「??」(視点の主が少し首をかしげると、慌てて視線を逸らすアーロン少年)

アーロン「あ~~~そのぉ~~~~・・・そうそう。ビジネスの話をしよう」こほん(えっらそうに咳払いをかます)

「注文通り。閃光玉にケムリ玉・・それからモドリ玉もご用意致しました。ボウガンの弾もご要望の数だけ揃えました」ぐいん(背中に背負っていたと思われる籠を地面に下ろす)

アーロン「悪いね。この前・・ほら、さっき言った襲撃の時、全部使い果たしちゃったんだ。森で集めるのが大変な素材もあるからね。助かるよ」


とすっDASH!(苔だらけの岩から颯爽と飛び降り、視点の主の前に歩いてくるアーロンの背丈は視点より少し低めである)


「また少し大きくなられたみたいで」フフ・・

アーロン「すぐに追い越すからね。ほら」スッ(よれよれになったゼニーの束を手渡す)

「両替もなさいますか?」(受け取った紙幣の束を懐にしまう)

アーロン「ああ、大丈夫。取引は他にないから・・って、そんなに大金持ち歩いてるの?」

「多少ならば」

アーロン「駄目だよあせる盗賊に狙われたらどうするのさ!?」

「それなら既に目の前に。ご安心を。取引相手の性質は心得ているつもりです」フフ・・

アーロン「・・・・・・・・・・・」ぽけぇ~~・・(すっかりこちらの笑顔に見とれている様子の思春期真っ只中のアーロン少年。チリ毛の上をにが虫が探索している)


スッ・・(視点の主がそのか細い左手で頭の上のにが虫を取ってやる)


アーロン「・・・・・・・・・・・」ハァ・・・(実にうっとりした顔で接近してきた「ちょっとだけ」背の高いこちら側を上目遣いで見上げている)


パッ・・(捕まえたにが虫をそっと払い除けてやると、左腕を覆う黒衣の袖が関節部まで落ちてくる。同時に彼女の腕に針跡のような刺し傷がいくつかあることに気づく)


アーロン「虫に刺された?」(心配そうに目の前の女性の腕を見つめている)

「すぐに良くなります。優しいのですね。アーロンさんは」スッ・・(右手でアーロンの頬に付着した汚れを落とすように撫でる)

アーロン「・・・・・・・・・・・・・」ぽっ(年上の女性に顔を触られ、ときめきを隠せない表情をみせるお年頃な少年)

「お父様のご容態は?」(少し距離を開けて話し出す)

アーロン「・・・・・・・・・・・」ぽけぇ~~・・

「もし?」

アーロン「はっ。そうそう。親父ね。この前持ってきてくれた薬が効いてるのか、すっかり元気だよ」

「そうですか・・。お父様はずっと拠点に?」

アーロン「ああ。おふくろは俺を生んですぐに死んじゃったからね・・。親父はそのショックを今でも引きずっているんだと思う・・。俺が生まれる前は、凄腕の狩人だったみたいだけど、今は見張り番に徹しているよ。だから襲撃は俺たちの仕事ってわけ」えっへん

「そうでしたか・・。アーロンさんは仲間の皆様に育てられたのですね」

アーロン「ああ。親父以外にもごつい父親代わりや母親代わりがたくさんいるから、怒られっぱなしさ。そうか・・いつもここで取引してるからね。俺たちのアジトには来たことがなかったんだっけ。そうだ!今度、アジトに招待するよ」

「大丈夫なのですか?」

アーロン「もう何度も取引してるからね。俺が説得すれば平気さ」ぽんはぁ(革鎧の胸を叩くと少しホコリが出る)

「是非」

アーロン「あ、でも少し先になるかな・・」

「なにかあったのですか?」

アーロン「うん・・(少し小声で)実はね、最近、アジト内で盗難事件があったんだ」

「盗難?」

アーロン「ああ。貯蔵庫に隠してある財宝が足りないことに気づいたんだ。親父はこの前の襲撃で俺たちが出かけている間にやられたんじゃないかって言っている」

「拠点には誰もいなかったのですか?」

アーロン「体の悪いうちの親父と、あとは年寄りと子供だけ。つまり盗むチャンスだらけだったのさ。今までそんなことは一度もなかったらしいんだけどね。なんでも最近、ヒンメルンの山腹に怪しい連中が出入りしてるらしいんだ。きっとそいつらの仕業さ」

「怪しい連中?」

アーロン「村の子供たちが山で遊んでいる時に、白い装束を纏った男達を目撃したっていうんだ。なんでも武器を携帯していたらしいんだが、子供たちの証言から察するに、どうやらその得物っていうのは狩猟武器だと思われるんだよね・・」

「モンスターハンターでは?」

アーロン「かもしれないね。ここ近年、ミナガルデやドンドルマを中心に急増しているらしいからね。連中のスキルなら、財宝を盗むのも簡単だろうさ。見つけ次第、とっ捕まえてやるさ」

「・・・・・・・・・。皆様方の拠点はここから近いのですか?」

アーロン「ああ、それならこの森を抜けて、川沿いに進めば・・・」


「アーロン!!」バサバサバサバサ!!(けたたましい男の声と同時に小鳥たちも飛び立っていく)


バッ(視点の主が声が聞こえた方向に素早く首を向ける)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(薄暗い森の深淵より、ボロボロのフードコートを纏った長い白髪と白髭を蓄えた「腰の低い」老年男性がこちらに向かって手招きをしている)


アーロン「親父だよ。安心して。きっと俺が心配で見に来たんだ」(視点の主はアーロンの話を聞きながらも黙って森の奥へと消えていく「腰の曲がった」老人の後ろ姿を見届けている)

「・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(視点の主は老人にロックオンしたまま、少年の持つ石槍を手に取り、その柄を地面に突き刺すように音立てる)


ザシュッ!!


バッ!!(音と同時にこちらを「瞬時に」振り返る老年男性の眼は獲物をとらえる飛竜種の如く威圧感に満ちた殺気を放っている)


アーロン「・・・・・・・・・。なんでもないよ!親父!すぐに行く!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(それを聞き、何事もなかったかのように森の奥へ「へえこら」と歩いていく老年男性)


アーロン「どうしたの?」(こちらに向かって聞いてくる)


スッ・・(視点の主が地面を向き、石槍を上にあげると、柄で叩き潰された奇蟲の遺骸が見える)


アーロン「ゲゲゾンか・・・それも亜種だな・・。刺されると「確実に」死ぬんだよねあせる

ジーナ「それよりもお父様を」

アーロン「ああ。ありがとう」


ダッsss(石槍を片手に、父を追うように森の中へ入っていくアーロン少年)


アーロン「ああ、そうだ!次回の注文!!」

「??」(視点の主は「どうぞ」的な感じで軽く首を横にかしげる)

アーロン「都に「あんまん」っていう饅頭があるって聞いたんだけど、手に入る!?みんな食べたがってるんだ!!」

「必ず」

アーロン「フフ・・・。またね!ジーナさん!!」


タッタッタッタッタッタッ・・・(森の中へ消えていく少年を見届ける一人称視点)


ジーナ「狼顧の相・・・・どう思われますか?」



デーモン・ロザリー・・・・息子や仲間の目は欺けても、我が邪眼はそうはいかんぞ
(淀みの声が森を見つめるジーナの脳裏に響き渡ってくる)



ジーナ「では、このまま監視を続けます」



ちゅんちゅん・・ちゅんちゅん・・・(再び静寂が訪れるとそれを待っていたかのように小鳥達が安堵のさえずりを奏で出す中、再び蔦のダンジョンを黙々と掻い潜っていくジーナ視点の四方から、血飛沫を浴びたようなマゼンダのペイントが視界の色を余すことなく塗りつぶしていく)



To Be Continued







★次回ストーリーモードは12/20(木)0時更新予定です★





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